本場
本場がいくつもある料理
ひとつの料理に、本場とされる土地が複数ある例を、ジャンル別にまとめました。土地ごとに、本場とされる理由を一文で添えています。
焼き鳥1
- 北海道室蘭市昭和初期、軍靴などの材料として養豚が奨励された時代に、豚のモツを串焼きにして提供したのが室蘭やきとりの始まりと伝わる。今も鶏でなく豚肩ロースと玉ねぎの串を洋がらしで食べる文化が続くとされる。
- 埼玉県東松山市昭和30年代、当時は食肉としての価値が低かった豚のカシラ肉を近隣の食肉センターから安く仕入れられたことから、屋台での串焼きが始まったと伝わる。安定供給のため全国で初めて「焼鳥組合」が結成されたとされ、白みそベースの辛味噌だれとともに独自の文化が守られてきた。
- 福岡県久留米市久留米では鶏に限らず豚・牛・馬まで串にし、内臓には「ダルム」のような独特の呼び名も残る。城下町として栄えた土地の食肉文化が、鶏だけに縛られない串焼きの幅広さにつながったとされる。
寿司1
そば2
- 福島県喜多方市山都町つなぎを使わない十割そばを、飯豊山からの伏流水と冷涼な気候というそば栽培に適した土地条件のもとで打ち続けてきたとされる産地であるため。
- 福島県檜枝岐村つなぎを一切使わない十割の生地を、布を裁つように重ねて切る「裁ちそば」という独自の技法で受け継いできたとされる産地であるため。
魚40
- 大分県佐伯市豊後水道の速い潮流にもまれて回遊せず居着くため、身が締まり脂がのった「関あじ」となる。
- 福井県小浜市「鯖街道」の起点として、若狭湾で獲れたアマダイに一塩を施し徒歩で京都へ運んだ歴史を持つ。
- 茨城県大洗町黒潮と親潮がぶつかる好漁場に面し、吊るし切りとあんこう鍋の食文化が根付いた港町とされる。
- 富山県氷見市対馬暖流に乗って回遊するブリが越冬前に富山湾で脂を蓄えるため、定置網漁で「ひみ寒ぶり」として揚がる。
- 滋賀県近江八幡市琵琶湖の固有種ニゴロブナを塩と米飯で長期熟成させる、なれずしの製法が今も受け継がれている。
- 秋田県男鹿市雷鳴とともに産卵のため接岸する習性から「鰰」の字が当てられ、県魚として食文化の核をなす。
- 北海道根室市冷たい親潮の恵みを受ける海域に面し、開き干しの一夜干し文化とともに水揚げ量全国有数を誇る。
- 千葉県銚子市親潮と黒潮がぶつかる好漁場に面し、水揚げ量で全国トップを争う漁港として知られる。
- 高知県黒潮が沖合を通る土佐湾で、一本釣り漁が伝統的に盛んで、藁焼きたたきの発祥地とされる。
- 鹿児島県薩摩川内市甑島周辺の澄んだ海が漁場となり、鮮度が命の刺身文化とともにキビナゴ漁の中心地として知られる。
- 北海道羅臼町知床沖の水深数百メートルの深場が漁場となり、刺し網や延縄で漁獲される高級魚として知られる。
- 静岡県下田市相模灘の急深な海底が漁場となり、一本釣りで漁獲される「地金目」として稲取・下田で知られる。
- 福島県郡山市明治期に安積疏水の整備で湧いた養魚池を活かしてコイ養殖が発展し、生産量で全国有数となった。
- 高知県大月町柏島周辺の黒潮に面したリアス式海岸が漁場・養殖場となり、クエの一大産地として知られる。
- 北海道函館市津軽海峡に面し、江戸期から続く昆布〆や鍋文化と結びついた鱈漁が盛んな土地として知られる。
- 広島県瀬戸内海の岩礁域が好漁場となり、広島県はメバルを「県の魚」に定めるほど食文化に根付く。
- 宮城県気仙沼市三陸沖の好漁場に面し、近海はえ縄漁を主体にメカジキの水揚げ量で全国有数を占める港として知られる。
- 佐賀県鹿島市干満差が国内最大級の有明海の広大な干潟に生息域が限られ、突き漁など独自の漁法が伝わる。
- 埼玉県吉川市中川など水郷地帯の川魚食文化を受け継ぎ、「なまずの里」として養殖と町おこしに取り組む。
- 静岡県富士宮市富士山からの湧水を利用した養鱒が明治時代に始まった地とされ、「ニジマス発祥の地」を掲げる。
- 北海道小樽市かつて群来と呼ばれる大群の産卵で沿岸が白く染まるほどの漁獲があり、鰊御殿群として今に残る。
- 島根県浜田市日本海の急深な地形にある好漁場を抱え、一本釣り・底引き網で揚がる「どんちっち」ブランドで知られる。
- 北海道根室市秋にサンマの群れが接岸しやすい海域に面し、棒受け網漁で水揚げ量全国上位を占める。
- 岡山県瀬戸内海の好漁場を抱え、サワラの水揚げ量が全国有数で、祭り寿司の具として食文化に根付く。
- 愛媛県愛南町宇和海の穏やかな海域を利用した養殖が盛んで、シマアジの生産量で全国有数を占める。
- 静岡県静岡市駿河湾の深い海底地形が湧昇流を生み、由比・用宗の漁港でシラス漁が盛んな土地として知られる。
- 島根県松江市汽水湖の宍道湖は餌のプランクトンが豊富で、シラウオを含む「宍道湖七珍」の一つとして食文化に根付く。
- 北海道むかわ町生息域が北海道太平洋沿岸に限られるため、鵡川など河口域での秋の遡上時が唯一の漁期となる。
- 千葉県富津市東京湾奥の汽水域は稚魚の育成場となり、江戸前を代表する出世魚として漁が続けられてきた。
- 鹿児島県指宿市黒潮に近い海域で一本釣りされる指宿のタチウオは、型が大きく「山川一本釣りたちうお」として知られる。
- 長崎県対馬市対馬海流に面し、あごだしの原料として干して焼く「焼きあご」加工の伝統が続く。
- 山口県下関市関門海峡に面したふぐ専門の南風泊市場を擁し、取扱量で全国一を占めるふぐの取引拠点とされる。
- 高知県黒潮に面した漁場が近く、硬い皮を活かすから揚げなど独自の下処理技術が郷土料理として根付いた。
- 茨城県土浦市汽水湖の霞ヶ浦は餌となるプランクトンが豊富で、帆引き船漁の伝統とともにワカサギ漁が続く。
貝・甲殻類・イカタコ6
- 三重県桑名市木曽三川が注ぎ込む伊勢湾の汽水域で育ち、殻が薄く身がふっくらするとされ、江戸期から「その手は桑名の焼き蛤」の洒落で知られてきた。
- 宮城県女川町入り組んだリアス式海岸と親潮・黒潮が混ざる海域が養殖に適しているとされ、国内養殖の中心地として知られる。
- 兵庫県明石市明石海峡は潮流が速く餌となるカニやエビが豊富で、流されまいと踏ん張る分、足が太く短く締まったタコに育つとされる。
- 静岡県静岡市急深な駿河湾特有の海洋条件から資源量の変動が大きく、由比港・大井川港の2港に限って春秋2回、期間を区切った操業が行われている。
- 島根県松江市宍道湖は淡水と海水が入り混じる汽水湖で、この環境がヤマトシジミの生育に適しているとされ、全国有数の漁獲量を誇る。
丼物2
- 北海道函館市函館朝市は函館駅・函館港に近い立地で戦後まもなく発展した市場で、1956年創業のきくよ食堂など、水揚げされた魚介をそのまま丼で提供する食堂が集積しているとされる。
- 北海道小樽市小樽駅前の三角市場は鮮魚店が軒を連ねる市場で、店先で買った魚介をその場で調理してもらいオリジナルの丼を作れる構造になっており、仕入れと提供が同じ場所で完結する点が背景にあるとされる。
- 北海道釧路市釧路の和商市場では、市場内で好みの魚介を選んでご飯にのせる「勝手丼」の食べ方が根付いており、水揚げに近い市場でそのまま鮮魚を丼にできる環境が土台にあるとされる。
- 石川県金沢市金沢の近江町市場は金沢中央卸売市場に近く、市場内の海鮮丼専門店には毎朝せり場に足を運んで地元産の魚介を仕入れる店もあり、仕入れ先との近さが提供につながっているとされる。
揚げ物1
粉もの1
漬物4
- 福井県三方郡美浜町(若狭地域)サバなどの魚を塩漬けにしたあとさらに糠漬けにする「へしこ」が、厳しい冬を越すための貴重なたんぱく源として伝わってきた
- 福岡県北九州市小笠原藩の保存食だった糠床が旧家に代々受け継がれ、青魚を炊く「ぬかみそ炊き」の文化として今に伝わっている
- 熊本県阿蘇市寒冷な気候と火山灰の大地で育つ阿蘇高菜を、収穫後すぐに塩と唐辛子で漬けてきた土地
- 福岡県みやま市瀬高町温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれ、中国由来の青菜と在来種を掛け合わせた三池高菜の栽培が明治期に定着した土地
- 三重県中南勢地域(伊勢市周辺)日照量の多い中南勢地域で育つ御薗大根を漬け込むことから「伊勢たくあん」の名で呼ばれている
- 東京都練馬区辛みが強く少し苦い練馬大根が干し大根に向いていたため、江戸時代に契約農家がたくあん用の大根を仕込んでいた
練り物2
日本酒1
町中華2
洋食1
ご飯のお供2
和菓子2
日本茶2
焼酎・泡盛2
鍋料理3
粉もの1
焼きもの1
- 千葉県成田市印旛沼という漁場に恵まれ、江戸時代から成田山新勝寺への参詣客をうなぎ料理でもてなしてきたと伝わる。表参道には代々タレを継ぎ足す老舗の料理店が軒を連ね、これほどの密度でうなぎ屋が集積する例は全国でも珍しいという。
- 愛知県名古屋市蒲焼を刻んでご飯に混ぜ、そのまま・薬味を添えて・だし茶漬けにしてと三通りで食べる「ひつまぶし」が名物とされる。名古屋観光コンベンションビューローの公式サイトでも、なごやめしを代表する一品としてひつまぶしが位置づけられている。
- 静岡県浜松市汽水湖の浜名湖でシラスウナギが豊富に獲れたことから養鰻業が発達し、蒲焼の名産地として知られる。市の観光ポータルでも「浜名湖育ちのうなぎは格別」と紹介され、夏のスタミナ食として市を挙げて発信されている。