魚介 ── 魚
コイ
Koi
内陸の川魚で、うま煮や鯉こくとして冬に食べられてきた。泥臭さを抜く「臭み抜き」の技術が伝わり、湧水を利用した養魚池で育てるほど臭みが少なく、内陸の食文化を支える貴重なタンパク源とされてきた。
- 川魚
系譜
コイフナ
何でできているか
内陸の川や池に棲む魚で、うま煮や味噌仕立ての鯉こくとして冬に食べられてきた。身は淡白ながらほんのりとした甘みがあり、皮のまわりにはコラーゲンを思わせるとろみが残る。丁寧に育てられた個体ほど臭みが少なく、上品な味わいになるとされる。骨まで軟らかく煮ることで、丸ごと一尾を余さず食べる料理として親しまれてきたといい、鱗のまわりのゼラチン質にも独特のとろみと旨みがあるとされる。かつては祝いの席で振る舞われる格式ある魚でもあったという。
どう作るのか
泥臭さを抜く「臭み抜き」の技術が伝わり、数日から数週間、清らかな水にさらしてから調理するという。湧水を利用した養魚池で育てると、そもそも臭みが少ない個体に育つとされ、甘辛く煮つけるうま煮や、味噌仕立てで煮込む鯉こくとして食卓に上る。輪切りにしてじっくり煮込むことで、骨まで箸で崩せるやわらかさになるという。
なぜこの形になったのか
明治期に安積疏水が整備されたことで、内陸のこの土地に湧水を利用した養魚池が広がったとされる。海から遠い内陸では魚のタンパク源が限られていたため、池で育てられるコイは貴重な食材として重宝され、養殖技術の蓄積とともに全国有数の産地に育っていった。用水路が張り巡らされた地形そのものが、養殖の土台になったといえる。
食べに行く前に
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この土地の食材と料理
本場
- 福島県 郡山市 本場
明治期に安積疏水の整備で湧いた養魚池を活かしてコイ養殖が発展し、生産量で全国有数となった。
使う
- 鯉のあらい小骨が多いためさばくのが難しく鮮魚店で購入するのが一般的な、新鮮なコイをそのまま食べる郡山の料理。からし酢味噌をつけて食べるのが定番で、猪苗代湖のミネラルで育つみずみずしい鯉だからこそ生で味わえるという。
- 鯉のうま煮輪切りにしたコイを醤油、酒、砂糖で甘辛く煮る置賜地域の祝い料理。上杉鷹山が内陸で乏しい水産資源を補うために養殖を勧めたのが始まりとされ、正月や結婚式など祝いの席に並んできたという。
- 鯉こく切り身の鯉をきくらげや豆腐、ねぎと煮込み、味噌で味を調える郡山の汁物。だしに鯉のうまみがしっかり染み込む一杯で、出産後の母乳がよく出るようにと願いを込めた栄養食として作られることが多いという。
- 鯉の甘煮血抜きして輪切りにした鯉を、酒と砂糖、醤油でじっくり甘辛く煮付けた内陸地方のごちそう。清水で育った鯉は泥臭さが少なく、「来い」に通じることから嫁取りの祝いに出されてきたと伝わる。
- 鯉の甘露煮ぶつ切りにしたコイを砂糖と水あめ、醤油、酒でじっくり煮こみ、一晩置いて味を含ませる郡山の料理。猪苗代湖の水を引いた溜め池で養殖される臭みの少ない鯉を使い、もとはハレの日の料理だったと伝わる。