発酵・保存 ── 漬物
梅干し
Umeboshi
梅を塩に漬けたのち天日で干す、日本の食卓に古くからある保存食。和歌山県南部では年貢を逃れるためやせ地に自生していた梅の栽培が奨励され、産地として広がっていったと伝わる。
何でできているか
梅を塩で漬け込み、天日で干して仕上げる。強い酸味と塩気が持ち味で、青魚を煮付ける際に加えると臭みが和らぐとされる。大粒で肉厚な品種「南高梅」は、長年の系統選抜を経て昭和40年に品種登録されたものだという。梅の花が咲き誇る様子は地元で「一目百万、香り十里」と表現されるほどだと伝わり、早春の風物詩になっている。
どう作るのか
塩漬けにした梅を夏の土用の時期に天日干しする「土用干し」をおこない、干した梅の一部はその年のうちに梅酢に漬けて食べ、残りは蔵で保存して非常食にする慣習があったと伝わる。家庭ごとに漬け方の工夫があり、それぞれの「我が家の味」として受け継がれているという。明治以降は日清・日露戦争や第二次世界大戦の軍用食として需要が増えた時期もあった。
なぜこの形になったのか
江戸時代、紀州藩田辺領は稲作に向かないやせ地が多く年貢に苦しんでいたため、城代家老がやせ地に自生する「やぶ梅」の栽培を奨励したのが本格的な梅栽培の始まりとされる。温暖な気候と日当たりのよい山あいの風土が栽培に適していたことから、県南部一帯に産地が広がり、江戸でも「田辺梅」として評判を呼んだと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
本場
- 和歌山県 みなべ町 本場
年貢を逃れるためやせ地に自生する「やぶ梅」の栽培が奨励されたことが、梅の産地として広がる出発点になったとされる
- 和歌山県 田辺市 本場
みなべ町と並ぶ江戸時代の紀州藩田辺領で、日当たりの良い山あいの気候風土が梅の栽培に適していたとされる
対比
- 奈良漬け塩漬けにしたしろうりなどを熟成させた酒粕に繰り返し漬け替える、粕漬けの代名詞とされる漬物。あめ色に仕上がるまで漬け替えを重ねる、手間のかかる製法で古くから知られている。
- 生姜の佃煮細切りにした生姜を醤油とみりんで煮詰めた保存食で、ぴりっとした辛みと甘辛さが同居するのが持ち味とされる。箸休めとしてご飯に添えられるほか、佃煮の応用型のひとつという。
- らっきょう漬けらっきょうを塩漬けしたのち甘酢などに漬け込む、鳥取砂丘周辺の名産品。生命力が強く砂丘地でも育つらっきょうが、江戸時代の参勤交代で持ち帰られたのが栽培の始まりと伝わる。
- ぬか漬け米ぬかに塩を加えた「ぬか床」に野菜などを漬け込む発酵漬物の総称。ぬか床の乳酸菌と酵母の働きで独特の酸味が生まれ、日々かき混ぜて育てる家庭の味として親しまれてきたという。