麺 ── そば
十割そば
Juwari Soba
そば粉と水だけで打ち、小麦粉などのつなぎを一切使わないそば。生粉打ちそばとも呼ばれる。生地がまとまりにくく切れやすいぶん打ち手の技術が問われるが、そば本来の香りと風味が薄まらずに出るとされる。
何でできているか
材料はそば粉と水だけで、小麦粉のグルテンという骨格を借りない。生地はぽろぽろとほどけやすく、まとめる感覚だけが頼りになるとされる。噛むとまず立つのはそばの実そのものの香りと、かすかな苦みを含んだ風味で、つなぎに丸め込まれていない分だけ味が薄まらずそのまま届くという。喉ごしよりも、噛みしめて香りを味わう食感に近いと語られることが多い。
どう作るのか
そば粉に水を少しずつ加えてこね、生地を延ばして包丁で細く切る。つなぎがない分、水回しと延ばしの加減がそのまま仕上がりを左右するとされ、打ち手の技量が味に直結するという。茹で時間も短く、湯から上げる呼吸が難しいと語られる。江戸時代には、こうした手間のかかる生粉打ちが「生蕎麦」の看板として、むしろ質の高さを誇る売り文句に使われていたとされる。
なぜこの形になったのか
そばに小麦粉をつなぎとして加える工夫が広まったのは元禄期以降とされ、それ以前のそばはもともと十割が当たり前だったという。つなぎ入りのそばが主流になった背景には、当時のそば粉の品質を安定させる狙いがあったとも伝わる。近年になって十割そばを掲げる店が増えている理由は、製粉技術そのものが向上し、つなぎなしでも安定して打てる粉が手に入りやすくなったことにあるとされる。
食べに行く前に
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この土地の食材と料理
本場
- 福島県 喜多方市山都町 本場
つなぎを使わない十割そばを、飯豊山からの伏流水と冷涼な気候というそば栽培に適した土地条件のもとで打ち続けてきたとされる産地であるため。
- 福島県 檜枝岐村 本場
つなぎを一切使わない十割の生地を、布を裁つように重ねて切る「裁ちそば」という独自の技法で受け継いできたとされる産地であるため。