土地
広島県
50件
●生まれた料理 44件(あなご飯、あずま、美酒鍋 ほか)・●育てる食材 3件(東広島こい地鶏、広島牛、瀬戸内六穀豚)・●仕込む 3件(広島の酒、広島菜漬け、藻塩)・○本場 2件
この土地で生まれた44
- あなご飯Anago Meshiかば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずまAzuma酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋Bishu Nabe水炊き・ちり系鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きEbamakiご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼きFuchu-yaki広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。
- がんすGansu魚のすり身をパン粉で揚げた広島・呉の練り物。昭和20年代、蒲鉾製造で出るすり身の余りを活用する方法として考案されたとされ、揚げかまぼこにフライ衣をまとう独特の組み合わせを持つ、地元で長く愛される味である。
- 魚飯Gyohan焼いてほぐした白身魚と錦糸卵、えびなどをご飯に盛り、その骨でとっただしをかけて食べる竹原の料理。塩田で栄えた町の「浜旦那」がもてなしに用いた膳が、途絶えかけたのち文献で再現されたと伝わる。
- 八寸Hassun安芸門徒の多い地域で、祭りや法事に魚屋を招いて出た「あら」と野菜を煮合わせたのが始まりという煮物。祝儀は器を朱に具を奇数に、不祝儀は黒の器に偶数と、盛り方に細かな決まりが伝わる。
- 広島ラーメンHiroshima Ramen豚骨豚骨をベースに醤油と野菜を合わせ、角の取れた味に仕上げる。
- 広島牡蠣ラーメンHiroshima Kaki Ramen塩牡蠣の旨味を煮出した塩ベースのスープに、ソテーや蒸しにした牡蠣を乗せる広島のラーメン。牡蠣の産地として知られる土地の海産物を、中華麺のスープに生かした一杯とされる。
- 煮菜Nina千切りにした大根を油揚げ、根深ねぎ、いりことしょうゆで炒り煮にする福山の日常菜。名に「煮」とあるが実際は炒め物に近く、食材の水分だけで仕上げるため手早く旨味が濃いと伝わる。
- 大平Ohira鶏肉と里芋、れんこんなどの根菜を乱切りにし、汁ごといただく大竹の煮物。大きく平たい椀に盛ることから名がつき、具の種類を奇数にして祭りや盆正月の縁起物として振る舞われてきたと伝わる。
- 広島お好み焼きHiroshima Okonomiyaki薄く延ばした生地の上にキャベツ・豚肉・そばやうどんを山盛りに重ね、蒸し焼きにしてから卵の上に返す広島の重ね焼き。店が暮らしの中に密に根づいており、地元では〆の一品としても食べられている。
- 汁無し担々麺Shirunashi Tantanmen醤油・味噌・塩・豚骨以外山椒と花椒の痺れる辛さを効かせた、汁をほとんど張らない広島の担々麺。供されたら客自身がよく混ぜてから食べるのが習わしとされ、四川の味を学んだ店主が生んだと伝わる。
- たこめしTakomeshi漁師が船上でぶつ切りのたこを飯に炊き込んだのが始まりという三原の料理。速い潮流にもまれて足が太く締まる三原沖のたこを、ごぼうやにんじんとともにだしじょうゆでじっくり炊き込む。
- 広島つけ麺Hiroshima Tsukemen醤油醤油ベースの辛口だれに冷やした中華麺をくぐらせて食べる、広島発祥のつけ麺。茹で野菜とゆで卵が添えられるのが特徴で、八丁堀の中華料理店が発祥という説が伝わる、広島の中華麺文化を代表する一杯とされる。
- うずみUzumi里芋やえび、鯛などをだしで煮て椀に入れ、上からご飯を盛って隠す福山の料理。江戸時代、贅沢を控えるため具をご飯の下に埋めたのが始まりと伝わる、秋の実りを祝う一皿である。
- いが餅Igamochi米粉の皮で小豆あんを包み、ピンクや緑に染めたもち米の粒を乗せて蒸す呉の菓子。栗のいがに似ることが名の由来のひとつとされ、亀山神社の秋祭りの屋台で今も蒸したてが売られている。
- イギス豆腐Igisu Dofuイギスという赤い海藻を生大豆粉とともに煮溶かし、寒天のように自然に固める瀬戸内の一皿。酢みそやしょうが醤油であえ、盆や祭りに親戚が集まる際によく作られてきたと伝わる。
- いんおこIn-oko広島県尾道市因島の「いんおこ」は、うどんを主体にしたお好み焼き。造船とかんきつ栽培の島で、麺料理としても軽食としても食べられる、うどん入りが主流の型が定着したとされる。
- かき飯Kaki Meshi酒でいりつけた牡蠣を、にんじんやごぼう、油揚げとともにだしで炊き込む江田島の炊き込みご飯。うまみをたっぷり蓄える12〜2月の牡蠣が特においしいとされ、駅弁としても親しまれている。
- かきの土手鍋Kaki no Dotenabe味噌仕立て土鍋のふちに赤白の味噌を土手のように塗り、崩しながら味を調える広島湾の牡蠣鍋。潮の流れと川の栄養が交わる湾で育つ身の大きな牡蠣を、冬の味覚として一般家庭でも飲食店でも楽しんでいる。
- かき雑煮Kaki Zoni煮干しや昆布のすまし汁に丸もちと牡蠣、ぶりを入れる広島湾沿岸の雑煮。ぶりは年末に一尾さばいた残りを使う習慣があり、牡蠣は「福をかき寄せる」縁起物として正月に食されると伝わる。
- 角寿司Kaku Zushi四角い木型に酢飯と具を詰めて押す芸北地域の押し寿司。しめさばや錦糸卵を上に彩りよく並べ、中にはやや辛めに煮た野菜を仕込み、食べ進めると味の変化が楽しめると伝わる。
- きなこむすびKinako Musubi梅干しや塩吹き昆布を包んだおむすびにきなこをまぶす、田植えの合間の一品。ユネスコ無形文化遺産「壬生の花田植」で今も振る舞われ、丸く握るのは秋の豊作への願いと伝わる。
- 小いわしの刺身Koiwashi no Sashimi広島湾のプランクトンで大きく育ったカタクチイワシを、しょうゆとおろししょうがで食べる呉の夏の味。鮮度が命の魚のため、水揚げが多い6〜8月にスーパーへ並ぶと家庭でさばいて食すと伝わる。
- ふわふわ納豆焼Fuwafuwa Natto-yaki広島県熊野町の「ふわふわ納豆焼」は、お好み焼きの生地に納豆と卵、山芋を加えてふわりと焼き上げる。粘りの強い食材を重ねることで、他の広島焼きにはないやわらかな口当たりが生まれるとされる。
- 呉の肉じゃがKure no Nikujagaメークインと牛肉、糸こんにゃく、玉ねぎを甘辛く煮る呉の一皿。イギリス留学中のビーフシチューを艦上食に仕立てようとした東郷平八郎の逸話にちなみ、旧海軍の料理として伝わる。
- 呉冷麺Kure Reimen戦後、呉市中通の屋台から始まった「珍来軒」が、看板だったワンタン麺に代わる一杯として1955年に考案。中華そばの麺をそのまま使うと「冷やし中華」になってしまうため、コシのある特注の平打ち麺を作り、甘みと辛みを効かせ酸味を抑えたスープに仕立てた。
- 呉焼きKure-yaki広島県呉市の名物で、広島お好み焼きに地元の細うどんを使い、生地を二つ折りにした半月形に仕上げる。造船所の職工が休憩時間に手早く食べられるようにという理由から生まれたとされる。
- くわいの甘煮Kuwai no Amani鮮やかな藍色から「田んぼのサファイア」と呼ばれる青くわいを、だし汁と砂糖、くちなしの実で甘く煮る福山の一品。芽が伸びる姿から「芽が出る」縁起物として、おせちに欠かせないと伝わる。
- 三原焼きMihara-yaki広島県三原市のお好み焼きは、具に鶏モツを加える。養鶏が盛んだった土地柄から、麺やキャベツに加えてコリコリとした鶏の内臓が層に加わるとされ、噛むごとに違う食感が現れる。
- 三次唐麺焼Miyoshi Karamen-yaki広島県三次市の「三次唐麺焼」は、唐辛子を練り込んだ麺を使う辛口のお好み焼き。内陸の盆地特有の寒暖差が育てた土地の食習慣が、麺そのものに辛さを仕込む型を生んだとされる。
- もぶりMobiri広島の方言「もぶる(混ぜる)」に由来する混ぜご飯。ごぼうやしいたけ、黒豆を炊き込み、農作業の合間や祝い事の際に大きなおむすびにして近所へ配る風習が大竹市などに伝わっている。
- ねぶとの唐揚げNebuto no Karaage瀬戸内海でとれる3〜5センチほどのテンジクダイ「ねぶと」に片栗粉をまぶして揚げ、塩を振る福山の一皿。頭が硬く丸ごとは食べにくいため頭を落として揚げ、おやつや酒の肴に親しまれる。
- 煮ごめNigome大根やごぼうなど根菜を小豆とさいの目に切って煮る精進料理。親鸞聖人の命日「御逮夜」に作られ、肉や魚を使わず何度も煮返しながら3日間食べ継ぐと伝わる、安芸門徒の行事食。
- 尾道ラーメンOnomichi Ramen醤油瀬戸内の小魚でとった出汁の醤油スープに、背脂を浮かせる。平打ちのストレート麺を合わせる。
- 尾道焼きOnomichi-yaki広島県尾道市のお好み焼きで、砂肝とイカ天を具に加える。海運と造船で栄えた港町らしく、魚介の練り物と鶏の内臓という組み合わせが土地の食材事情を映しているとされる。
- 庄原焼きShobara-yaki広島県庄原市のお好み焼きで、麺の代わりに庄原産の米を使い、ソースの代わりにポン酢で食べる。稲作が盛んな内陸の土地柄が、海側の重ね焼きとは違う味付けを育てたとされる。
- 鯛めん/鯛そうめんTaimenゆでたそうめんに、しょうゆで薄く煮た鯛の姿煮を乗せる祝いの膳。鯛は「めでたい」、そうめんは「長く続く」に通じるとされ、棟上げや結婚式など瀬戸内の祝い事に欠かせないと伝わる。
- 鯛めしTaimeshiうろこと内臓を取った鯛を丸ごと釜に入れ、米と炊き込む瀬戸内の漁師料理。岩礁の多い海底と潮流が鯛の産卵に適し、約380年前に始まったという鞆の浦の鯛しばり網漁とともに伝わってきた。
- 純米吟醸たけはら焼きJunmai Ginjo Takehara-yaki広島県竹原市の「純米吟醸たけはら焼き」は、生地に酒粕や日本酒を練り込んだお好み焼き。「安芸の小京都」と呼ばれる酒どころならではの発想で、生地そのものに地元の酒蔵の香りをまとわせているとされる。
- わけぎのぬたWakegi no Nutaくせがなく甘みのあるわけぎを白みそ、砂糖、酢であえた一皿。球根が次々分かれて増える性質から子宝の縁起物とされ、産地として知られる尾道を中心に桃の節句に食べられてきたと伝わる。
- ワニの刺身Wani no Sashimi中国地方の山間部で「ワニ」と呼ばれるサメを刺身にした一皿。海から遠い備北の地では日持ちするサメが重宝され、しょうがじょうゆで香りを抑えて食べる。秋祭りや正月に欠かせない一品と伝わる。
この土地が育てる3
- 東広島こい地鶏Higashihiroshima Koi Jidori広島大学と東広島市の共同研究で作られた「広大鶏」の雄とロードアイランドレッドの雌を掛け合わせて2021年に誕生したとされる、県内唯一のブランド地鶏という。約130日、平飼いで育てられる。
- 広島牛Hiroshima Gyu広島県北部、中国山地の穏やかな気候の中で育つ黒毛和種。筋繊維が細かく余分な脂肪が少ないとされ、県内で最も長く飼養された牛だけが「広島牛」を名乗れる。上品な脂肪の香りとまろやかさが特徴とされる。
- 瀬戸内六穀豚Setouchi Rokkoku-butaとうもろこし・マイロ・米・大麦・小麦・大豆の六種の穀物を配合した飼料で育てる広島県の銘柄豚。県のHACCP準拠農場で一貫生産され、脂の甘みと軽い後味につながるとされる。
この土地が仕込む3
- 広島の酒Hiroshima no Sake軟水では酒が腐造しやすいという弱点を、麹をしっかり育て低温でゆっくり発酵させる「軟水醸造法」で克服したとされる広島の酒。この技法は後の吟醸酒の誕生にも影響を与えたと伝わる。
- 広島菜漬けHiroshimana-zuke白菜の仲間である広島菜を浅漬けにした、広島市周辺だけで栽培される菜漬け。繊維が少なく歯切れがよいのが特徴で、太田川中州の肥沃な土地で古くから育てられてきたという。
- 藻塩Moshio海藻(ホンダワラ)を海水に浸して焼き、塩を採る古代の製塩法にちなむ塩。広島県呉市蒲刈町で古墳時代の製塩土器が発見されたことをきっかけに1998年に製法が復元され、万葉集にも詠まれた技法として知られる。
この土地が本場4
- 真牡蠣Magaki名産地冬が旬の養殖牡蠣。広島が全国の6割を占め、宮城・岡山が続く。
- メバルMebaru白身目が大きく突き出た岩礁性の魚で、春を告げる魚とされる。煮付けで骨まで味を含ませて食べるのが定番で、瀬戸内海の岩礁域など潮通しの良い漁場に面した土地では県の魚に定めるほど食文化に根付く。瀬戸内海の岩礁域が好漁場となり、広島県はメバルを「県の魚」に定めるほど食文化に根付く。
- カキフライKaki Fry名産地むき身の牡蠣にパン粉をつけて揚げた洋食。牡蠣の一大産地・広島県では家庭で日常的に作られる料理とされ、県外ではとんかつ屋などで季節限定のごちそうとして扱われる違いがあるという、土地によって顔が変わる一皿。広島県は全国有数の牡蠣の産地で、県民にとってカキフライは家で作られる日常の家庭料理として親しまれてきたとされる。
- お好み焼きOkonomiyakiだしで溶いた小麦粉の生地にキャベツや豚肉を合わせ、鉄板で焼く料理。大阪では具材を生地に混ぜ、広島では重ねて蒸し焼きにするなど、焼き方そのものが土地ごとに分かれるとされる。人口あたりのお好み焼店の密度が高い土地とされ、重ね焼きという広島独自の型がそのまま土地の看板になっている。