肉
和牛
43種
和牛は日本で改良されてきた肉用牛の系統で、多くの銘柄は黒毛和種にあたる。松阪牛は未経産の雌牛だけを長期肥育したもの、神戸ビーフは但馬牛のうち厳格な基準を満たした肉だけに与えられる称号というように、銘柄ごとに定める条件が異なる。仙台牛のように肉質等級が最高でなければ名乗れない銘柄もあれば、但馬牛の系統が神戸ビーフなど複数の銘柄の素になっている例もある。ここでは銘柄ごとの基準と系統のつながりを辿る。
土地ごとの料理43
- 会津牛Aizu Gyu福島県 会津若松市会津盆地で育つ黒毛和種の去勢・雌牛。地元産の稲わらを中心とした飼料を与えられ、盆地特有の寒暖差の大きい気候が肥育に適するとされる、福島県を代表する銘柄。首都圏での引き合いも増えているという。
- 阿波牛Awa Gyu徳島県徳島県内で肥育される血統明確な黒毛和種。昭和37年の東京食肉市場での共励会出品を機に評価を高めたとされ、しっとりときめ細かな肉質と適度な脂が特徴という。格付けはA5・A4・B5・B4規格に限られるとされる。
- 淡路ビーフAwaji Beef兵庫県 淡路市淡路島で育つ純血の但馬牛系統。1986年に生産者らが立ち上げた銘柄で、霜降りの量よりも赤身と脂の調和を重視して選ばれる、出荷頭数の少ない牛肉とされる。淡路牛と呼ばれる一般呼称とは区別される、希少な銘柄という。
- びらとり和牛Biratori Wagyu北海道 平取町日高地方・平取町で育つ黒毛和種。昭和37年に島根県から導入された繁殖牛を礎とし、冬の厳しい寒さの中でじっくりと肥育され、味の濃さに定評があるという。札幌をはじめ道内で広く親しまれる銘柄になったという。
- 千屋牛Chiya Gyu岡山県 新見市岡山県新見市で育つ黒毛和種。江戸時代からの最古級の蔓牛(系統牛)の血統を受け継ぐとされ、高梁川の清らかな水と肥沃な土壌の恩恵を受けて育つという。全国の和牛銘柄のルーツのひとつに数えられるという。
- 博多和牛Hakata Wagyu福岡県福岡県内の登録生産者約50戸が育てる黒毛和種。九州各地の産地から導入した子牛を、県産の稲わらを主体とした専用飼料で約20か月かけて丁寧に肥育するという。格付け三等級以上のものだけが名乗れる基準という。
- 飛騨牛Hida Gyu岐阜県一頭の名種雄牛「安福号」の系統が礎を築いた。飛騨の山あいで育つ。
- 広島牛Hiroshima Gyu広島県広島県北部、中国山地の穏やかな気候の中で育つ黒毛和種。筋繊維が細かく余分な脂肪が少ないとされ、県内で最も長く飼養された牛だけが「広島牛」を名乗れる。上品な脂肪の香りとまろやかさが特徴とされる。
- 常陸牛Hitachi Gyu茨城県茨城県内で指定生産者が育てる黒毛和種。江戸期に水戸藩が桜野牧で牛を飼育した記録が残る土地柄で、長期肥育によりきめ細かなサシと柔らかな肉質を持つとされる。近年は海外の高級店にも輸出されているという。
- 伊賀牛Iga Gyu三重県三重県伊賀地域で12か月以上肥育される未経産の黒毛和種雌牛。盆地特有の寒暖差が大きい気候が肥育に向くとされ、干し肉が戦国期の兵糧になったとも伝わる土地柄。「肉の横綱」とも称される鮮やかな肉色が特徴という。
- 伊万里牛Imari Gyu佐賀県 伊万里市佐賀県伊万里市のJA管内で肥育される黒毛和種。佐賀牛と同じ但馬牛の血統をルーツに持つが、平成19年のJAさが発足で組織が分かれ、別の銘柄として残ったと伝わる。枝肉格付けとBMS値の基準を満たす必要があるという。
- 石垣牛Ishigaki Gyu沖縄県 石垣市沖縄県石垣市・八重山郡で生後20か月以上肥育された純粋な黒毛和種。年間平均気温24度前後という温暖な気候の中でのびのびと育ち、脂はさっぱりしているとされる。2000年の沖縄サミット晩餐会でも供されたと伝わる。
- いわて短角和牛Iwate Tankaku Wagyu岩手県 久慈市霜降りの黒毛和種とは異なる品種、日本短角種。岩手の山あいで春から秋にかけて放牧され、寒暖差の中で赤身に旨み成分のアミノ酸を蓄えるとされる、脂肪の少ない牛肉。全国の飼育頭数の約4割を岩手県が占めるとされる。
- 上州牛Joshu Gyu群馬県黒毛和種と乳用種を交配させた牛で、群馬の丘陵地で放牧気味に育つ。山から湧き出る清らかな水を与えられることで、赤身の締まった、うまみの強い肉質になるとされる。地域団体商標としても登録されている銘柄である。
- 鹿児島黒牛Kagoshima Kuroushi鹿児島県鹿児島県内での飼養期間が最も長く、県内を最終肥育地とする黒毛和種。不飽和脂肪酸のバランスが良く、融点の低い霜降りが口の中でとろけるような食感につながるとされる。
- 神戸ビーフKobe Beef兵庫県但馬牛のうち、霜降りなどの厳格な基準を満たした肉だけが名乗れる称号。
- 甲州牛Koshu Gyu山梨県山梨県内で育つ黒毛和種のうち、格付け等級が上位のものだけが名乗れる銘柄。富士山や南アルプス水系の伏流水を与えられ、まろやかな脂と鮮やかな肉色を持つとされる。生産者による血統管理と流通管理が徹底されているという。
- くまもとあか牛Kumamoto Akaushi熊本県 阿蘇市熊本県で育つ褐毛和種。全国で飼育される褐毛和種の約7割が熊本産とされ、発祥の阿蘇地域では放牧が中心。赤身に脂が控えめに入り、旨みが強い肉質になるという。地理的表示(GI)にも登録されている品種という。
- 熊野牛Kumano Gyu和歌山県和歌山県南部・熊野地方で育つ黒毛和種。かつて農耕用の労働力として飼われていた土地柄で、昭和59年に食用牛として銘柄化され、三重県で肥育する生産者もいるという。紀北地方など生産地域は熊野に限らないとされる。
- 京都肉Kyoto Niku京都府京都府内で最も長く飼養された黒毛和種。1310年の書物『国牛十図』に丹波牛として記されるほど古い歴史を持つ土地柄で、格付け上位のものだけが名乗れる。京都市中央卸売市場第二市場での加工が条件とされる。
- 前沢牛Maesawa Gyu岩手県 奥州市北上川沿いの前沢で育つ、東北を代表する霜降りの銘柄。
- 松阪牛Matsusaka Ushi三重県 松阪市未経産の雌牛だけを長期肥育する。霜降りの代名詞として「肉の芸術品」と呼ばれる。
- 三河牛Mikawa Gyu愛知県愛知県三河地方で育つ黒毛和種。江戸時代に新城で飼われ「杉平牛」として四国へ移出された歴史を持つ土地柄で、戦後の食肉需要の高まりとともに銘柄化されたという。現在は県全域に広がる銘柄として流通している。
- 宮崎牛Miyazaki Gyu宮崎県全国和牛能力共進会で最高賞を重ねてきた、県を挙げて育てる銘柄。
- 長崎和牛Nagasaki Wagyu長崎県長崎県内の登録生産者が育てる黒毛和種。半島と離島が入り組む複雑な海岸線を持つ土地柄で、潮風の当たる牧草地を含む自然環境が肥育に生かされているとされる。1,980戸ほどの生産者が飼育を担っているとされる。
- 能登牛Noto Gyu石川県石川県・能登半島で育つ黒毛和種。明治25年に兵庫県但馬地方から導入した種雄牛3頭がルーツとされ、脂肪にオレイン酸を多く含む上品な口溶けが特徴だという。全国有数のオレイン酸含有量を持つとも言われる。
- オリーブ牛Olive Gyu香川県 小豆島町讃岐牛のうち、オリーブ油を搾った後の果実を乾燥させた飼料を一定期間与えられた香川県産黒毛和種。小豆島の農家による飼料化の試みから県内全域に広まったとされる。循環型農業の一環としても位置づけられているという。
- 近江牛Omi Gyu滋賀県日本最古級の食用牛ブランド。彦根藩が味噌漬けにして将軍家へ献上した歴史を持つ。
- 佐賀牛Saga Gyu佐賀県きめ細かな霜降りを基準に選ばれる、九州を代表する銘柄のひとつ。
- 讃岐牛Sanuki Gyu香川県香川県内で育つ血統明確な黒毛和種。明治15年頃、小豆島で肥育が始まった全国でも早い産地とされ、大正期には京阪神で「讃岐牛」の愛称が定着したと伝わる。現在は血統と肥育期間を定めた基準で選定されている。
- 仙台牛Sendai Gyu宮城県肉質等級が最高の「5」でなければ名乗れない、基準の最も厳しい銘柄のひとつ。
- しまね和牛Shimane Wagyu島根県島根県内で育つ去勢・未経産の黒毛和種の総称。県内各地の生産者がそれぞれの飼育方法にこだわりながら育て、きめ細かな霜降りとさらっとした脂を持つとされる。地域や生産者ごとに個別の銘柄でも流通しているという。
- 信州プレミアム牛Shinshu Premium Gyu長野県長野県が認定する農場で育つ黒毛和種のうち、脂肪交雑に加えてオレイン酸含有率という県独自の基準を満たした牛肉。口どけの良さと香りを重視した選抜だとされる。脂肪の質を重視した長野県独自の認定制度による。
- 白老牛Shiraoi Gyu北海道 白老町太平洋に面した白老町で、昭和29年頃から飼育が続く黒毛和種。小麦やおから、ビール醸造の副産物を加えた飼料で育てられ、きめ細かな霜降りと深いコクを持つとされる。現在は繁殖・肥育を合わせ数千頭規模まで拡大したとされる。
- 但馬牛Tajima Ushi兵庫県神戸ビーフをはじめ多くの銘柄の素となる系統。谷ごとに血統が守られてきた。
- とちぎ和牛Tochigi Wagyu栃木県栃木県内の指定生産者が育てる黒毛和種。地元産の稲わらや米を交えた飼料を与えながら、約30か月という長い期間をかけて肥育され、風味を引き出しているという。地元産の米を与える点も風味向上の一因とされる。
- 十勝和牛Tokachi Wagyu北海道 帯広市北海道内で生まれ、畑作地帯として知られる十勝平野で長期肥育される黒毛和種。地域団体商標にも登録された銘柄で、まろやかな脂と赤身の旨みのバランスが特徴とされる。十勝産の飼料資源を積極的に活用している点も特色という。
- 土佐あかうしTosa Akaushi高知県和牛4品種のうち褐毛和種・高知系と呼ばれる系統で、高知県内でしか改良されていない。赤褐色の被毛が特徴で、28か月ほどかけて肥育され、赤身の旨みとジューシーさを持つとされる。
- 鳥取和牛Tottori Wagyu鳥取県鳥取県内で育つ黒毛和種。1966年の全国和牛能力共進会で最高位となった種雄牛「気高号」の系統を受け継ぐとされ、2011年から脂肪のオレイン酸値を測定しているという。近年はオレイン酸55%以上の牛肉のみを別枠で認定しているという。
- 若狭牛Wakasa Gyu福井県 小浜市福井県内で12か月以上肥育される血統明確な黒毛和種。平安時代には牛車を引く牛として知られた土地柄で、脂の口どけの良さと後味のさっぱりとした風味が特徴とされる。オレイン酸含量の特に高いものは別枠で認証されるという。
- 山形牛Yamagata Gyu山形県山形県内で最も長く肥育・育成された黒毛和種の総称。米沢牛をはじめ各地域の銘柄を束ねる呼び名で、日本食肉格付協会の定める等級を満たしたものだけが名乗れるという。西川牛や天童牛など地域固有の呼び名も含む総称である。
- 大和牛Yamato Gyu奈良県奈良県内で血統から飼料まで一元管理されて育つ黒毛和種。『国牛十図』にも良牛として描かれた歴史を持ち、オレイン酸を多く含み脂肪の口溶けが良いとされる。2003年に流通推進協議会が設立され管理体制が整えられたという。
- 米沢牛Yonezawa Gyu山形県 米沢市明治初期、招かれた英国人教師が味を伝えて広まったとされる。寒暖差の大きい置賜盆地で育つ。
食べに行く前に
チェーンの味の元になった料理
全国チェーンの味は、特定の土地の料理がもとになっているとされます。チェーン名から元の料理を見られます。
牛角の大衆的な焼肉スタイルは、カルビ・ハラミなど定番部位を手頃な価格で楽しむ、焼肉の大衆化の流れを汲むとされる。
焼肉きんぐの食べ放題形式は、カルビ・サーロイン・ハラミなど幅広い部位を気兼ねなく食べ比べられる構成とされる。
安楽亭の焼肉は、カルビ・ハラミ・タンなど定番部位を中心に、関東で育った大衆焼肉の系統に連なるとされる。
あみやき亭は国産牛へのこだわりを掲げ、東海地方で育った焼肉チェーンの系統にあたり、三河牛など地元の銘柄牛ともつながりが深いとされる。
叙々苑のタン塩は、焼肉店でタンをメニュー化する提供様式を広めたとされ、上質な部位を少量ずつ味わう高級焼肉の系統にあたる。
焼肉ライクは1人1台の無煙ロースターで、カルビ・ハラミなど定番部位を1人でも気軽に楽しめる構成にしたとされる。
いきなり!ステーキは、立ち食い・量り売りという形式でサーロインやヒレなど厚切りステーキを気軽に楽しめるようにしたとされる。
ブロンコビリーは和牛にこだわる郊外型ステーキハウスで、名古屋・東海地方の牛肉文化と地続きの味づくりとされる。