肉 ── 和牛
飛騨牛
Hida Gyu
一頭の名種雄牛「安福号」の系統が礎を築いた。飛騨の山あいで育つ。
- 発祥: 岐阜県
- 東京から西へ約230km
系譜
飛騨牛
何でできているか
岐阜県内で14カ月以上肥育された黒毛和種のうち、肉質等級3等級以上のものを指す。全国トップクラスの霜降りで知られ、赤身にきめ細かなサシが均一に入り込み、脂の甘みと肉そのものの香りのバランスが良いと評される。とろけるような口当たりと、後味に残る肉の香りの両立が持ち味とされ、赤身の旨みが脂の甘さに埋もれてしまわない点が支持されている。
どう作るのか
昭和56年に兵庫県から導入された種雄牛「安福号」の子が次々と優れた産肉成績を残し、"飛騨牛の父"と呼ばれるようになったとされる。今も安福号の血を引く種雄牛が現役で使われ続けており、銘柄推進協議会に登録された生産者が、その血統を軸に一頭ずつ丁寧に育て上げている。登録農家であることが、飛騨牛を名乗るための欠かせない前提条件になっている。
なぜこの形になったのか
一説によると、広い大地と澄んだ水、季節や昼夜の寒暖差といった岐阜の自然の恵みが飛騨牛を育ててきたとされるが、決定的だったのは兵庫から迎えた一頭の種雄牛の血統だったと読める。但馬から来たその血が、のちに全国各地の銘柄牛のルーツとしても語られるほど広く行き渡ったとされる。一頭の牛の導入という小さな決断が、山あいの小さな銘柄を全国区へと押し上げた。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
使う
同じ岐阜県
- 赤だつの酢ぶて里芋の赤紫色をした葉柄「赤だつ」の筋を取り、塩もみしてから合わせ酢で和える山県市の一品。石灰質のやせた土壌が芋の栽培に適した土地に伝わり、産後の体力回復を願って食べさせたとも言われている。
- 鮎なれずし秋に川を下る子持ちの落ち鮎を塩漬けし、炊きたてのご飯を腹に詰めて桶で2ヶ月ほど乳酸発酵させる岐阜市のなれずし。長良川鵜飼で獲れた鮎を使った鮎鮓は江戸期に将軍家へ献上されたと伝わるという。
- 鮎ぞうすい香ばしく素焼きにした鮎を、ほぐしながらだし汁とご飯でさっと煮た岐阜県の川魚料理。漁で傷がつき市場に出しにくくなった鮎をおいしく食べる工夫が始まりとされ、鮎料理を出す食事処で締めの一品として供されることが多いという。
- 鮒味噌素焼きにした鮒を戻した大豆と時間をかけて煮て、豆味噌とざらめで仕上げる西濃地域の川魚料理。旨味の強い豆味噌が鮒特有の臭みを和らげるとされ、身がほろほろになるまで煮込んで冬の保存食とするという。
- 鮎の塩焼鮎全体に塩をふり、ひれと尾に化粧塩をして炭火で両面を焼く岐阜県の鮎料理。1300年の歴史を持つ長良川鵜飼や、川をせき止めて魚を追い込む伝統漁法「ヤナ」で獲れた新鮮な鮎を使うのが特徴という。
- 五平餅つぶした米を串に刺し、くるみや落花生入りのたれで炙り焼く東濃・飛騨地域の一品。中山道を境に北は醤油味、南は味噌味が多いとされ、新米の収穫祝いや客をもてなす日のご馳走として供されてきたという。