肉 ── 和牛
松阪牛
Matsusaka Ushi
未経産の雌牛だけを長期肥育する。霜降りの代名詞として「肉の芸術品」と呼ばれる。
- 発祥: 三重県松阪市
- 東京から西へ約320km
三重県松阪市
何でできているか
出産経験のない黒毛和種の雌牛だけが名乗れる牛肉。長期間かけてじっくり肥育された肉はきめ細かな霜降りで知られ、「肉の芸術品」とも称される。脂は口の中でするりと溶け、赤身との層が髪の毛ほど細かく交差する見た目そのものが、この牛の売りになっている。出産を経た雌牛は脂の質が落ちるとされ、その一点だけで呼び名が変わってしまうほどの厳しさがある。
どう作るのか
但馬地方から生後7、8カ月ほどの選び抜いた子牛を導入し、稲わらや大麦、ふすま、大豆粕などを中心に、約3年という長い時間をかけて一頭ずつ手をかけて肥育する。食欲を増すためビールや焼酎で体をマッサージする農家もあるとされ、導入から出荷まで36項目にわたるデータが個体ごとに記録され続ける。この記録の蓄積が、松阪牛という名の裏付けになっている。
なぜこの形になったのか
未経産の雌牛だけに絞り、出荷までの期間を長くとる——この二つの制約が、時間をかけて脂を細かく行き渡らせる肥育を可能にしてきたと読める。但馬から素質のよい子牛を選んで導入し、松阪の地で三年かけて育て上げるという分業の形も、この牛の質を長く支えてきたとされる。産地と肥育地を分けたこと自体が、松阪牛という名前の骨格になっていると言える。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ三重県
- あほだき味や匂いが落ちてきた古漬けのたくあんを塩抜きし、醤油だれで炊き直す北勢地域の常備菜。美味しい時期を過ぎてから食べる「あほなことをしている」との自嘲めいた名の由来が伝わる、食品を無駄にしない知恵の料理。
- あらめ巻き水で戻したアラメ(褐藻の一種)でイワシやサンマを幾重にも巻き、醤油と砂糖で煮付けた鳥羽の郷土料理。伊勢神宮にも献上されてきたアラメを使い、地域によって巻く魚が変わると伝わる。
- 盆汁ごぼうやなす、かぼちゃなど旬の野菜をたっぷり煮込んだ味噌汁。お盆に殺生を避ける禅宗の教えから、かつお節や煮干しのだしを使わず、油揚げと具材の多さで旨みを出すのが特徴とされる。
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- ちゃつ大根や人参、れんこん、昆布、油揚げを千切りにし、酢と砂糖で煮た朝日町の料理。精進料理を盛った朱漆塗りの器「ちゃつ」に由来する名とされ、白く仕上げるため醤油を使わないのが特徴という。
- ふき俵大豆を炊き込んだご飯をふきの葉で米俵のかたちに包んだ伊賀地域の行事食。田植えの際、田の神に豊作を祈って供えるほか、農作業の合間の携帯食としても食べられてきたと伝わる。