魚介
魚
56種
魚は身の質や生活史によって、青魚・白身・赤身・川魚とおおまかに分けて捉えられることがある。青魚は脂の乗りや鮮度が味の決め手になりやすいと語られ、白身は淡白な味わいから昆布締めや薄造りとの相性が話題になりやすい。赤身は血合いの風味や熟成による変化が語られることが多く、川魚は育つ清流の水質や塩焼きの香ばしさとともに紹介されることが多い。同じ魚でも見方によって分類が揺れることもある。
白身29
- アイナメAiname岩礁に棲む白身魚で、江戸前で刺身や煮付けにされる。動きが少なく居着く性質から地域ごとに味の違いが出やすく、東北の港では肝も珍味として食べられるなど、地魚として親しまれてきた。
- アマダイAmadai上品な甘みを持つピンク色の魚で、京都では「ぐじ」と呼ばれる。若狭湾で獲れたものに一塩を施し、鯖街道を通して京都まで運んだ歴史から、若狭の一塩ものが京料理で珍重されるようになった。
- トラフグTorafugu毒を持つため調理には専門免許が必要な高級魚で、薄造りの刺身「てっさ」や鍋で食べられる。速い海峡の潮流にもまれる海域で育つ個体は身の締まりが強く、市場が集まる港ほど処理の技術が磨かれてきた。
- ハタHata暖かい海に棲む大型魚の総称で、締まった白身は鍋や刺身に向く。水温の高い南方の海域に多く生息するため西日本の漁場で獲れやすく、クエをはじめ種類ごとに珍重される高級魚の一群。
- ハタハタHatahata雷が鳴る初冬に沿岸へ押し寄せる魚で、秋田の県魚。しょっつる鍋やから揚げ、飯寿司で食べられ、産卵のため接岸する回遊の習性が「鰰」の字の由来ともなり、県を代表する冬の味覚として根付いている。
- ヒラマサHiramasaブリに似た姿だが体高があり平たく、夏が旬の高級魚。回遊性が強く黒潮沿いの島嶼部で漁獲されることが多く、寿司職人の間ではその身質からブリより上とされることもある。
- ヒラメHirame「左ヒラメに右カレイ」で見分ける平たい魚で、冬に脂がのる。荒波にもまれて育つ天然物はコリコリとした食感が強く、刺身では薄造りにして昆布締めにすると旨みが増すとされる高級魚。
- ホウボウHobo胸びれを翼のように広げて海底を歩く魚で、冬に脂が乗る。上品な白身は刺身や潮汁で楽しまれ、海底が砂泥質の穏やかな内湾に多く生息するため、そうした港では地魚として昔から食べられてきた。
- ホッケHokke北海道の居酒屋で開きの塩焼きとして親しまれる魚で、冷たい親潮の海域で育つほど脂がのりやすい。鮮魚での流通が難しいため一夜干しの開き干しにする加工文化が発達し、旨みが凝縮されるとされる。
- イサキIsaki梅雨時期に脂が乗る白身魚で、「梅雨イサキ」と呼ばれ塩焼きや刺身で食べられる。産卵前に沿岸へ寄る性質があるため、この時期の内湾に面した港では水揚げが増え、脂の乗りも最も良くなるとされる。
- カマスKamasu細長い体をした沿岸魚で、水分が多く身が傷みやすいため干物にすると旨みが増すとされる。港に近い漁場で獲れてすぐ加工できる産地ほど、干物としての評価が高くなる傾向がある。
- カンパチKanpachiブリに似るが身が締まり脂は控えめな高級魚で、夏が旬とされる。天然物は黒潮に近い海域で獲れ、養殖物は穏やかな湾内で育てられるため、産地によって身の締まりと脂のりの傾向が異なるとされる。
- カレイKarei「左ヒラメに右カレイ」で見分ける平たい魚の総称で、煮付けや唐揚げで親しまれる。冷たい海域で育つ種類ほど脂がのりやすく、種類ごとに旬も産地も異なるため、選び方一つで食味が変わるとされる。
- カサゴKasago岩礁に棲む頭の大きな魚で、骨から出汁が出るため煮付けや潮汁で丸ごと使われる。動きが少なく居着く性質のため漁場ごとに味の個体差が出やすく、地元で消費される地魚として扱われることが多い。
- カワハギKawahagi皮を丸ごと剥いで捌く魚で、それが名の由来ともなる。淡白な身と濃厚な肝を和えて食べる「肝あえ」が名物で、水温の低い時期ほど肝が肥大するため、冬場の産地では特に高値で取引される。
- キンキKinki北の海の深場に棲む赤い魚で、脂が非常に多く煮付けにすると濃厚な旨みが出る高級魚。冷たい深海に生息するため漁獲量が少なく、水深数百メートルの好漁場を持つ港でのみ安定して水揚げされる。
- キンメダイKinmedai深海に棲む鮮やかな赤い魚で、脂の乗りが良く煮付けや刺身にされる。急に深くなる海底が漁場となる沿岸では一本釣りが伝わり、船から港までの距離が近いほど鮮度を保ったまま高値で出荷できるとされる。
- キスKisu砂地の浅瀬に棲む白身魚で、天ぷらのネタとして知られる。淡白でクセがなく身が薄いため揚げても火が通りやすく、遠浅の内湾に面した産地では投げ釣りの対象魚としても親しまれてきた。
- クエKue「幻の魚」とも呼ばれる大型のハタ科の魚で、冬に旬を迎え鍋や刺身で高値がつく。黒潮に面したリアス式の岩場は稚魚の隠れ場となるため、天然物も養殖物もその海域の産地が中心となっている。
- マナガツオManagatsuo菱形に近い平たい体を持つ白身魚で、関西では祝い魚として西京焼きや正月料理に使われる。骨が少なく脂も上品なため扱いやすく、瀬戸内海に面した産地では古くから縁起物の魚として重宝されてきた。
- メバルMebaru目が大きく突き出た岩礁性の魚で、春を告げる魚とされる。煮付けで骨まで味を含ませて食べるのが定番で、瀬戸内海の岩礁域など潮通しの良い漁場に面した土地では県の魚に定めるほど食文化に根付く。
- メカジキMekajiki剣のように長く伸びた吻を持つ大型魚で、ステーキのような厚切りの切り身で照り焼きやフライにされる。近海はえ縄漁で獲れる三陸沖の漁場に面した港ほど水揚げが多く、全国有数の産地となっている。
- ノドグロNodoguro喉の奥が黒いことからの通称を持つ深海魚で、脂が乗り、あぶり寿司や塩焼きで高級魚として扱われる。日本海側の急深な地形に面した港では一本釣りや底引き網で揚がり、地域ブランドとして売られる。
- シマアジShimaajiアジ科の中でも高値で取引される高級魚で、天然物は希少。コリッとした食感の刺身が寿司ネタとして人気で、潮通しの良い穏やかな湾では養殖が発達し、天然物との身質の違いが語られる。
- シラウオShirauo体が透き通った針のように細い魚で、踊り食いや卵とじで食べられる。汽水域の湖や川に春に群れをなすため、そうした湖のほとりの町では郷土の珍味「七珍」の一つとして古くから食されてきた。
- スズキSuzuki成長で名前が変わる出世魚で、夏が旬。淡白な白身は洗いや塩焼きで食べられ、河口の汽水域で稚魚期を過ごすため、そうした湾の奥に面した港では出世魚としての漁が古くから続けられてきた。
- タチウオTachiuo銀色に光る太刀のような細長い魚で、皮ごと食べられる。塩焼きやムニエルで脂の乗った身を楽しみ、黒潮に近い海域で一本釣りされる型の大きな個体ほど脂のりが良く、高値で取引される。
- マダイMadai祝いの席に欠かせない紅い魚で、淡白な白身は刺身・鯛めし・塩焼きと幅広く使われる。速い潮流にもまれて身が締まる天然物と、穏やかな湾で育てる養殖物とで、産地ごとに食感の評価が分かれる。
- タラMadara「たらふく食べる」の語源とされる冬の魚で、鍋の具、白子、たらこの親としても親しまれる。冷たい海峡に面した港では昆布〆にする文化が根付き、身の淡白さを引き立てる保存の知恵が伝わる。
青魚10
- アジAji一年中出回る青魚で、刺身・たたき・フライと家庭料理の定番。回遊せず一つの海域に居着いた個体は速い潮流にもまれて身が締まり脂もよくのるため、そうした漁場では高級ブランドとして一本釣りされる。
- ブリBuri成長に伴い呼び名が変わる出世魚で、冬に脂がのった「寒ブリ」は刺身・照り焼き・ぶり大根で好まれる。越冬前に湾内で脂を蓄えてから定置網で揚がる産地ほど、脂の質と歩留まりの高さが評価される。
- イワシIwashi群れで回遊する小型の青魚で、刺身・梅煮・つみれと安価に食べられる。脂の質は漁場の潮境に左右され、寒流と暖流がぶつかる海域に面した港ほど水揚げ量が多く、乾燥させれば出汁の要となる煮干しになる。
- キビナゴKibinago体側に銀色の帯を持つ小魚で、手開きにした刺身を菊の花のように盛る「菊花造り」で知られる。鮮度落ちが早いため島の周りの澄んだ海で獲れてすぐ食べる文化が根付き、鮮度が命の魚とされる。
- ニシンNishin明治から昭和初期に大漁が続き、北海道沿岸に「鰊御殿」を建てた魚で、数の子はその卵にあたる。群れの産卵で海が白く染まるほどの豊漁だった歴史が、身欠きニシンなど保存加工の文化を今に残す。
- サバSaba秋から冬にかけて脂がのる青魚で、塩焼き・味噌煮・しめさばと調理法が幅広い。速い潮に揉まれて回遊せず居着いた個体は身が締まり脂も強く、そうした産地ではブランド名を掲げて一本釣りで水揚げされる。
- サンマSanma秋に旬を迎える細長い回遊魚で、内臓ごと丸ごと塩焼きにするのが定番。群れが接岸する海域に面した港ほど水揚げが多く、脂の乗りと苦みのある内臓の風味が、その年その港の漁模様を映すとされる。
- サワラSawara「魚へんに春」と書く字の通り春が旬の細長い魚で、西京焼きや刺身で食べられる。瀬戸内海の穏やかな内海で回遊が滞留しやすく、水揚げの多い産地では祭り寿司の具として食文化に根付いている。
- シラスShirasuイワシなどの稚魚を指し、釜揚げや天日干しのしらす干しとして、ご飯や大根おろしと合わせて食べられる。海底の地形が湧昇流を生む湾に面した漁港ほど群れが集まりやすく、水揚げの中心地となっている。
- トビウオTobiuo胸びれを広げて海面を飛ぶように滑空する魚で、あっさりした白身は焼き物になる。傷みが早いため沿岸で獲れてすぐ干して焼く加工が発達し、その乾物はあごだしとして出汁文化を支えている。
ほかの系統5
- アンコウAnko冬に脂が乗る深海魚で、吊るし切りという独特の解体法で捌かれる。あん肝と鍋の具として食べられ、黒潮と親潮がぶつかる好漁場に面した港ほど水揚げが多く、鍋文化として根付いてきた。
- ハモHamo小骨が多く骨切りの技術を要する魚で、梅雨の水を飲んで美味くなるとされる。京都の祇園祭に欠かせない夏の味とされ、京へ運びやすい近海の産地ほど需要が集まり、骨切りの技が磨かれてきた。
- ムツゴロウMutsugoro有明海の干潟だけに生息する魚で、「がね漬け」や蒲焼で食べられる。干満差が国内最大級の干潟に生息域が限られるため他の海では代わりが利かず、突き漁という独自の漁法とともに地域の味として残った。
- シシャモShishamo北海道太平洋沿岸のみに生息する小魚で、子持ちししゃもとして丸ごと焼いて食べる秋の味覚。生息域が限られるため漁期は河口への遡上時のみに限られ、本物は流通量が少なく別種の輸入品と区別される。
- ウツボUtsubo見た目は獰猛だが、高知など一部地域では郷土料理として親しまれる魚で、から揚げやたたきで食べられる。硬い皮を持つため下処理に技術が要り、黒潮に近い漁場を持つ土地ほど食べる文化が根付いてきた。
川魚10
- アユAyu清流の石についた苔を食む川魚で、西瓜に似た独特の香りを持つ。塩焼きや友釣りの対象として夏を代表し、水の透明度が高い川ほど香りが際立つとされ、清流の名を冠したブランド鮎も多い。
- ドジョウDojo水田や小川の泥に棲む細長い川魚で、丸のままの柳川鍋や、素焼きにして甘辛いたれで食べる。生命力が強く水質の変化に強いため、都市近郊の水路でも古くから庶民の味として親しまれてきた。
- フナFuna琵琶湖固有種のニゴロブナを含む川魚で、米飯で乳酸発酵させる「ふなずし」は寿司の原型とされる。固有種が育つ湖でしか本来の味は出せないとされ、長期熟成させるなれずしの技術が今も受け継がれている。
- イワナIwana渓流の最上流部に棲む川魚で、警戒心が強く岩陰に隠れることが名の由来ともされる。人里から離れた冷たい源流部ほど生息し、塩焼きにすると淡白な身に上品な脂がにじむ渓流釣りの人気魚。
- コイKoi内陸の川魚で、うま煮や鯉こくとして冬に食べられてきた。泥臭さを抜く「臭み抜き」の技術が伝わり、湧水を利用した養魚池で育てるほど臭みが少なく、内陸の食文化を支える貴重なタンパク源とされてきた。
- ナマズNamazuひげを持つ川魚で、地震を起こすとする俗信でも知られる。天ぷらや蒲焼で、うなぎの代替としても食べられ、水郷地帯の水路網が育てやすい環境となるため、養殖に取り組む町おこしの動きも見られる。
- ニジマスNijimasu北米原産で明治期に移入された川魚で、養殖が全国に広がった。湧水を使う養殖場では水温が安定するため一年を通して身が締まりやすく、塩焼きやフライのほか刺身でも食べられる。
- ウナギUnagi蒲焼として夏の土用の丑の日に食べられる魚で、関東は背開きで蒸してから焼き、関西は腹開きで直焼きにする。シラスウナギが豊富に獲れた汽水湖のほとりでは、養鰻業が発達し名物として定着した。
- ワカサギWakasagi湖に棲む小魚で、冬の氷上穴釣りの対象として知られる。汽水湖など餌となるプランクトンが豊富な水域で群れをなし、丸ごと天ぷらや南蛮漬けにすると小骨まで気にせず食べられる。
- ヤマメYamameサクラマスが川に残留した陸封型で、渓流釣りの人気対象。塩焼きにすると身の締まりと上品な脂が楽しめ、冷たく澄んだ源流に生息するほど体側の朱点が鮮やかになるとされる美しい川魚。
赤身2
食べに行く前に
- スーパーの使い方惣菜や刺身、パック寿司の選び方から値引きシールが貼られる時間帯の目安、量り売りの利用法、レジでの会計と袋詰めの流れ、試食のマナーまで、地元のスーパーを楽しむための基本をまとめました。
- 道の駅・直売所・市場の使い方産地に近い場所で食材を買う楽しみ方、朝市や魚市場を見学・利用するときの目安、直売所で旬を見分けるコツ、道の駅で出会えるご当地食まで、現地で食材を買うための基本をまとめました。
- 春に出会う味覚初鰹や筍、桜餅とお花見弁当、新茶、ふきのとうなどの山菜まで、例年春先から初夏にかけて魚屋や和菓子店、産地の直売所で出会いやすい食べものと、探すときのおおまかな時期の目安をまとめたガイドです。
チェーンの味の元になった料理
全国チェーンの味は、特定の土地の料理がもとになっているとされます。チェーン名から元の料理を見られます。