甘味
和菓子
38種
小豆を煮た餡、蒸したり搗いたりした米、海藻から作る寒天、そして長らく貴重だった砂糖――限られた素材の組み合わせから、驚くほど多様な形が生まれてきた菓子の総称。茶の湯の点前に添える一品として磨かれてきた系統もあれば、節句や祭礼のたびに供えられてきた系統、街道の宿場や門前町で旅人に売られてきた系統もあるとされる。同じ餡と米でも、土地の気候や水、行事の暦が違えば、まったく違う菓子に育ってきたと言えそうだ。
羊羹・寒天6
- あんみつAnmitsu東京都 中央区賽の目に切った寒天に、赤えんどう豆や餡、黒蜜をのせた甘味。もとは蜜と豆だけの「みつ豆」に、昭和初期の銀座の甘味処が自家製の餡をのせたのが始まりと伝わり、和菓子と喫茶文化が交わった型とされる。
- 葛切りKuzukiri葛粉を水に溶いて型に流し、加熱して固めたのち麺状に細く切った菓子。黒蜜をかけて食べることが多く、葛餅と同じ葛粉から作られながら、食感と食べ方が対照的な型とされる。
- 葛餅Kuzumochi葛粉を水と砂糖で溶かし、透明になるまで練り上げた餅状の菓子。厳冬期の地下水にさらして精製する「吉野晒し」という製法が知られ、きな粉や黒蜜をかけて食べることが多いとされる。
- 水羊羹Mizu Yokan寒天と糖度を抑え、水分を多くしてなめらかに仕上げた羊羹の型。練り羊羹に比べて日持ちが短いため、かつては涼しい時期に作られてきたとされ、今は夏の涼菓としても親しまれているという。
- 練り羊羹Neri Yokan餡と砂糖、寒天を長く練り上げて水分を飛ばし、ぎっしりと詰まった密度に仕上げる羊羹の型。江戸期に寒天が発見されたことで生まれたとされ、日持ちがよく土産物として街道筋に広まったと伝わる。
- 羊羹Yokan餡を寒天で固め、切り分けて食べる菓子。中国から茶とともに伝わった羊肉入りの汁物「羹」が起源とされ、肉食を避ける精進料理として餡を用いる形に変わり、寒天の発見によって練り羊羹として完成したと伝わる。
干菓子11
- あられArareもち米の餅を細かく刻んで焼くか揚げるかした、一口サイズの米菓。鍋で炒る音や跳ねる様子が空から降るあられに似ていることが名の由来とされ、宮中の歯固めの儀式と結びつく説もあるという。
- 岩おこしIwa Okoshi大阪府 大阪市膨らませた米に黒砂糖などを加え、岩のように硬く板状に固めた干菓子。大阪道頓堀の粟おこしを改良し、米と黒砂糖を使って硬い歯ざわりに仕立てたのが始まりと伝わり、その硬さが評判を呼んだとされる。
- 雷おこしKaminari Okoshi東京都 台東区蒸して乾燥させた米を炒って膨らませ、水飴や砂糖で固めた干菓子。寛政七年に浅草寺の雷門が再建された際、名物として売り出されたのが始まりと伝わり、浅草の門前菓子として定着したとされる。
- かりんとうKarinto小麦粉の生地を棒状にして揚げ、砂糖の蜜をからめたカリカリとした菓子。江戸中期の上菓子ブームのなかで生まれたとされ、深川あたりで天秤棒に担いで売り歩いたのが庶民に広まる始まりと伝わる。
- 金平糖Konpeito砂糖の蜜をイラの実などの核にかけ続けて育てる、突起のある小さな球形の干菓子。16世紀にポルトガルから伝わった南蛮菓子の一つとされ、ポルトガル語で糖菓を意味する言葉が名の由来と伝わる。
- 南部せんべいNanbu Senbei青森県 八戸市小麦粉に塩と水を加え、丸い鉄型で焼いた厚みのある煎餅。冷害の多かった南部地方で米に頼らない保存食として各家庭で焼かれてきたと伝わり、青森・岩手の両県にまたがる郷土の味とされる。
- おかきOkakiもち米を蒸して固めた餅を割り、焼くか揚げるかして作る米菓。鏡餅を手や槌で割って食べたのが始まりとされ、刃物を使わず欠いたことから「おかき」と呼ばれるようになったと伝わる。
- 落雁Rakugan穀物の粉に砂糖と少量の水を混ぜ、木型に押し固めて乾かした干菓子。中国伝来の菓子「軟落甘」が由来とする説などがあり、口に入れるとほろりと崩れる食感と、木型の意匠の美しさが身上とされる。
- 煎餅Senbeiうるち米の粉を蒸して薄く延ばし、焼いて乾かした米菓。同じもち米のおかき・あられに対し、原料の米の違いで区別されるとされ、醤油や塩などで味付けする素朴な型が各地に根づいているという。
- 州浜Suhama京都府 京都市大豆などの粉に水飴を加えて練り上げた干菓子。切り口の模様が海辺の州浜紋に似ていることから名がついたと伝わり、鎌倉時代の京都で考案されたという説があるほろほろとした食感の型とされる。
- 八ツ橋Yatsuhashi京都府 京都市左京区米粉に砂糖とシナモンを合わせて薄く焼き、反らせて固めた干菓子。箏の名手・八橋検校にちなみ、琴の形を模して作られたのが始まりと伝わり、聖護院の門前で売られたのが起こりとされる。
餅・団子8
- おはぎ・ぼたもちOhagi / Botamochi軽く搗いた米粒にあんをまとわせた菓子。彼岸に供える習わしがあり、粒あんの小豆が点々と散る様子を萩の花に見立てて「おはぎ」、春は牡丹に見立てて「ぼたもち」と呼び分けたとされる。
- 大福Daifuku搗いた餅で餡を包んだ、もっとも基本的な形の一つ。江戸時代には塩気のある厚い餅菓子「腹太餅」が食べられており、これが小ぶりに改良されて「大福餅」と呼ばれるようになったと伝わる。
- 団子Dango米粉を練って丸め、蒸すか茹でるかして作る素朴な菓子。団子の原型は縄文時代までさかのぼるとされ、木の実の粉を水で練って丸めたものが始まりという説がある。行事や祭礼の供え物として各地に根づいてきたと伝わる。
- きびだんごKibidango岡山県 岡山市求肥に似たもちもちとした食感の一口菓子。かつて黍の粉で作る素朴な団子だったものが、江戸期以降に茶席向けの菓子へ改良されたと伝わり、桃太郎伝説と結びついて土産菓子として知られるようになったという。
- 草餅Kusamochiよもぎを練り込んだ餅であんを包んだ、春先の菓子。もとは母子草を使ったとされ、のちに香りの強いよもぎに替わっていったという説がある。ひな祭りに供える地域が多いとされる。
- みたらし団子Mitarashi Dango京都府 京都市左京区焼き目をつけた団子に、醤油と砂糖の甘辛いたれをからめた串団子。下鴨神社の御手洗池に湧く水泡を模して作られたのが始まりと伝わり、境内の祭礼で厄除けとして食べられていたという。
- 三色団子Sanshoku Dango京都府 京都市伏見区桃色・白・緑の三色を一串に並べた団子。安土桃山時代、京都の醍醐寺で催された花見の席で、豊臣秀吉が女性も楽しめる彩りの団子を考案させたのが始まりという説が伝わる型とされる。
- わらび餅Warabimochiわらびの根から採れるでんぷんを水と砂糖で練り上げ、冷やし固めた菓子。わらび粉は採取と精製に手間がかかるため古くから高価な食材とされ、きな粉や黒蜜をかけて食べるという。
饅頭・焼き菓子8
- どら焼きDorayakiカステラ生地に似た小さな丸い焼き皮二枚で餡を挟んだ菓子。打楽器の銅鑼に形が似ていることから名がついたとされるが由来には諸説あり、丸く厚みのある今の形が定着したのは大正期からと伝わる。
- 今川焼き・大判焼きImagawayaki / Obanyaki円形の型に生地を流し込み、あんを挟んで焼き上げる菓子。江戸の今川橋近くの店で売り出されたのが名の由来という説があり、1777年刊の江戸の刊行物にすでに名が見えるとされる。
- 薯蕷饅頭Joyo Manjuすりおろした山芋を皮に練り込んで蒸す饅頭。もとは身分の高い者だけが口にできたことから「上用」の字が当てられたとされ、饅頭のなかでも技量が表れる型として祝儀・仏事に用いられるという。
- カステラKasutera長崎県 長崎市小麦粉と卵、砂糖と水飴だけで作る厚みのあるスポンジ状の焼き菓子。16世紀にポルトガルから長崎へ伝わった南蛮菓子が起源とされ、長崎の菓子職人が日本人の味覚に合わせて作り替えていったと伝わる。
- きんつばKintsuba大阪府 大阪市寒天で固めた餡に薄く小麦粉の衣をつけて鉄板で焼く菓子。大阪で生まれた当初は「銀鍔」と呼ばれ、江戸に伝わって小麦粉の焼き色が金色に見えることから「きんつば」と呼ばれるようになったと伝わる。
- 饅頭Manju小麦粉などの皮で餡を包み、蒸すか焼くかして作る菓子。中国から伝わった点心が起源とされ、肉食を避ける禅僧の食事にあわせて餡を詰める形に変わったと伝わる。蒸し饅頭と焼き饅頭に分かれ、無数の型を生んできたという。
- 温泉饅頭Onsen Manju群馬県 渋川市黒糖などで茶色く色づけた皮で餡を包み蒸した饅頭。伊香保温泉の湯の花まんじゅうが元祖の一つとされ、温泉の湯の色を映したような焼き色が特徴で、各地の温泉地で土産として広まったと伝わる。
- 鯛焼きTaiyaki今川焼きの生地を鯛の形の型で焼いた菓子。明治後期、今川焼きの生地をめでたい魚の形にして焼く工夫が編み出されたのが始まりと伝わり、一匹ずつ焼く一丁焼きの店も今なお残るとされる。
ほかの系統5
- 最中Monakaもち米から作るパリッとした皮であんを挟んだ菓子。平安時代の和歌集に見える「最中の月」という表現に由来するとされ、丸い皮が満月に見立てられたことが名の起こりと伝わる。
- 生八ツ橋Nama Yatsuhashi京都府 京都市左京区八ツ橋の生地を焼かずに蒸したまま仕立てた、もちもちとした半生菓子。餡を包んで三角形に折るものが定着し、昭和35年の茶会で供されたことが京菓子として広まる契機になったと伝わる。
- 練り切りNerikiri白あんに求肥や山芋などのつなぎを練り込み、四季の花や風物を模して仕立てる上生菓子。手や道具だけで形を作るため職人の技量が直に表れるとされ、茶席で二、三日のうちに食べる生菓子として扱われている。
- おしるこOshiruko小豆をこして作った汁気の多い餡に、餅や白玉を沈めた温かい菓子。関西ではこしあんの汁物を指すのに対し、関東では汁気のある小豆の菓子全般を指すなど、ぜんざいとの呼び分けが地域で異なるとされる。
- ぜんざいZenzai島根県 出雲市小豆を甘く煮て餅を沈めた汁物。出雲地方の神在祭で振る舞われた「神在餅」がなまって「ぜんざい」になったとする説があり、関東と関西で汁気やあんの粒・こしの定義が入れ替わるとされる。
食べに行く前に
チェーンの味の元になった料理
全国チェーンの味は、特定の土地の料理がもとになっているとされます。チェーン名から元の料理を見られます。