肉
地鶏
35種
地鶏は在来種の血を一定割合以上受け継ぎ、平飼いなど定められた飼育条件を満たした鶏の呼称で、成長の早いブロイラーより長い日数をかけて育てられる。比内地鶏のように国の天然記念物にあたる在来種を親に持つ系統や、東京しゃも・川俣シャモのように闘鶏用の軍鶏の血を引く系統など、由来はさまざまである。会津地鶏のように一度絶滅寸前まで数を減らし、そこから復元された銘柄もあるという。ここでは系統と地域ごとの銘柄を辿る。
土地ごとの料理35
- 会津地鶏Aizu Jidori福島県 会津若松市平家の落人が会津に持ち込んだと伝わる系統で、絶滅寸前だったところを福島県が保護し交配・改良を重ねて作出したとされる。90〜170日ほどかけて丁寧に肥育されるという。
- 天草大王Amakusa Daio熊本県 天草市明治・大正期に天草で飼われた大型の肉用鶏が昭和初期に途絶えたのち、熊本県が約10年かけて復元したとされる。120〜150日齢で出荷され、日本最大級の地鶏という。
- 青森シャモロックAomori Shamorock青森県 五戸町シャモと横斑プリマスロックを掛け合わせ、青森県畜産試験場が約20年の研究の末に開発したとされる。雄で約100日、雌で約120日と、一般的なブロイラーより50〜60日長く育てられるという。
- 阿波尾鶏Awa Odori-dori徳島県徳島に古くからいた赤笹系の軍鶏を改良・固定し、白色プリマスロックと交雑して作られたとされる。JAS規格の基準どおり75日以上かけて育てられ、出荷羽数は全国有数という。
- 長州黒かしわChoshu Kurokashiwa山口県 長門市山口・島根両県原産で国の天然記念物とされる黒柏鶏の血を生かして山口県の試験場が開発した地鶏をもとに、養鶏場が仕上げて名付けたとされる。80〜100日ほど平飼いで育てられるという。
- 大山どりDaisen-dori鳥取県 米子市大山の麓で種鶏の育成から処理まで一貫して手がける生産者による銘柄鶏とされる。抗生物質を用いない専用飼料で通常より長く平飼いされ、脂と旨みのバランスを狙うという。
- 伊達鶏Date-dori福島県 伊達市フランスのブレス地方を視察した生産者が「南東北の気候風土に合った鶏を」と3年ほど研究を重ねて生まれたとされる銘柄鶏。両親ともに赤鶏という珍しい系統で、シャキシャキとした食感が特徴という。
- はかた地どりHakata Jidori福岡県 福岡市郷土料理の水炊きやがめ煮に合う地鶏として、軍鶏をもとに福岡県の試験場が開発したとされる。飼育期間は80日以上と定められ、実際の出荷日齢は平均85日ほどになるという。
- 東広島こい地鶏Higashihiroshima Koi Jidori広島県 東広島市広島大学と東広島市の共同研究で作られた「広大鶏」の雄とロードアイランドレッドの雌を掛け合わせて2021年に誕生したとされる、県内唯一のブランド地鶏という。約130日、平飼いで育てられる。
- 比内地鶏Hinai-jidori秋田県 大館市国の天然記念物「比内鶏」の雄とロードアイランドレッドの雌を交配して作られた一代雑種とされる。放し飼いで150日前後かけて育てるため、歯ごたえと出汁の出やすさが強いといわれる。
- 北海地鶏Hokkai Jidori北海道 新得町名古屋種を父に、大型シャモとロードアイランドレッドの掛け合わせを母に用いた三元交雑鶏として道立の試験場が開発したとされる。28日齢以降120日以上、平飼いで育てられるという。
- 伊勢赤どりIse Akadori三重県 伊勢市フランス産の赤鶏「レッドブロー」を導入して開発されたとされる銘柄鶏で、開放鶏舎で運動させながら通常より長い70〜75日ほど飼育するという。地域団体商標にも登録されている。
- 伊予路しゃもIyoji Shamo愛媛県 松山市輸入鶏肉の拡大と消費者の高品質志向を背景に、愛媛県養鶏研究所が開発したとされる高品質な肉用鶏。放し飼いに強く、120日ほどかけて育てるため歯ごたえが出るという。
- 川俣シャモKawamata Shamo福島県 川俣町絹問屋が栄えた福島県川俣で闘鶏用に親しまれてきたシャモを、食用としておいしく育てる研究を重ねて生まれたとされる。地理的表示(GI)にも登録されている福島の銘柄鶏。
- 紀州うめどりKishu Umedori和歌山県 みなべ町梅の産地みなべ町の梅加工業者と県が共同で、梅酢から塩分を除いて抽出した成分を飼料に加えて育てる銘柄鶏として開発したとされる。臭みが少なく柔らかい肉質になるという。
- 熊野地鶏Kumano Jidori三重県 熊野市三重県原産のシャモ「八木戸」と銘柄鶏「伊勢赤どり」に名古屋コーチンを掛け合わせて作られたとされ、現在も熊野市周辺でのみ飼養されるという。平均115日ほど、低密度で育てられる。
- 黒さつま鶏Kuro Satsuma-dori鹿児島県 鹿児島市闘鶏用に作られた薩摩鶏を父に、在来種の横斑プリマスロックを母に持つ地鶏で、鹿児島県畜産試験場が6年かけて開発したとされる。平成23年度から本格的に出荷されているという。
- 京地どりKyo Jidori京都府 京丹後市横斑プリマスロックと軍鶏を掛け合わせ、京都府が畜産技術センターと共同開発したとされる比較的新しい地鶏。JAS規格の在来種50%基準を上回る在来種100%にこだわるという。
- みつせ鶏Mitsuse-dori佐賀県 佐賀市佐賀・福岡県境の山あい三瀬村にちなんで名付けられた銘柄鶏で、フランスで開発された赤鶏の種鶏をひなの時に空輸して自社種鶏場で育てているとされる。約80日間の長期飼育を行うという。
- みやざき地頭鶏Miyazaki Jitokko宮崎県 川南町霧島山麓で古くから飼われ、美味しさから地頭に献上されたことが名の由来とされる在来種「地頭鶏」をもとに開発された。オス4か月・メス5か月ほどかけて育てられるという。
- 名古屋コーチンNagoya Cochin愛知県 名古屋市明治期に旧尾張藩士の兄弟が在来種を改良して作出し、日本で最初に実用品種として認定されたとされる地鶏。一般的なブロイラーの倍以上、120〜150日ほどかけて丁寧に育てられるという。
- 南部かしわNanbu Kashiwa岩手県 盛岡市天然記念物の岩手地鶏や軍鶏の血を引く系統と、成長の早いコーニッシュ系を掛け合わせて岩手県農業研究センターが作出したとされる。雌で120日以上かけて育てられるという。
- 岡崎おうはんOkazaki Ouhan愛知県 岡崎市肉質のよい横斑プリマスロックと産卵性のよいロードアイランドレッドを掛け合わせ、国の家畜改良センター岡崎牧場が開発したとされる純国産の卵肉兼用種。ひなから120日ほどかけて育てられるという。
- 奥久慈しゃもOkukuji Shamo茨城県 大子町闘鶏用として気性が荒いシャモを、茨城県の試験場が繁殖力と肉質を高めるよう改良して生まれたとされる。雄で125日、雌で155日ほどかけて育てられ、鶏として初めて地理的表示(GI)に登録されたという。
- 奥美濃古地鶏Okumino Kojidori岐阜県 郡上市国の天然記念物「岐阜地鶏」をもとに、県の養鶏試験所が「おいしい卵と鶏肉づくり」を掲げて開発したとされる地鶏。28日齢以降は平飼いとし、平均84日ほどかけて育てられるという。
- 近江しゃもOmi Shamo滋賀県 大津市ニューハンプシャーと横斑プリマスロックの母鶏にシャモを交配して滋賀県畜産技術振興センターが作出したとされる。140日以上とブロイラーの約2.5倍の期間をかけて育てられるという。
- 讃岐コーチンSanuki Cochin香川県 高松市中国原産のコーチン種をもとに、香川県畜産試験場が独自に改良して1993年に誕生したとされる地域ブランド鶏。ブロイラーの50日に対し、80〜90日ほどかけて育てられるという。
- 薩摩地鶏Satsuma Jidori鹿児島県 鹿児島市国の天然記念物である薩摩鶏の血を引く地鶏で、薩摩藩の時代から観賞・闘鶏用に飼われてきたとされる系統をもとに作られたという。120〜150日ほどかけて育成される。
- 信州黄金シャモShinshu Ogon Shamo長野県 長野市シャモと名古屋種を掛け合わせ、ブロイラーの血を一切含まない在来種100%として長野県畜産試験場が開発したとされる。オス112日以上、メス120日以上かけて育てられるという。
- 丹波地どりTanba Jidori兵庫県 丹波篠山市京都・兵庫にまたがる丹波地域で飼育される地鶏で、フランス由来の種鶏をもとに改良されたとされる。地鶏JAS規格に沿い、通常のブロイラーの約1.5倍の期間をかけて育てられるという。
- 東京しゃもTokyo Shamo東京都 青梅市江戸に伝わった軍鶏の血を引く東京の愛好家の系統をもとに、都の畜産試験場が交配様式を確立したとされる肉用鶏。飼育期間は120日以上とブロイラーの3倍近い長さになるという。
- 土佐はちきん地鶏Tosa Hachikin Jidori高知県 高知市高知原産の土佐九斤と大シャモ、白色プリマスロックを掛け合わせて高知県畜産試験場が完成させたとされる。「はちきん」は高知の快活な女性を指す方言に由来するという。飼育期間は80日という。
- 土佐ジローTosa Jiro高知県 高知市国の天然記念物「土佐地鶏」の雄とロードアイランドレッドの雌を交配して生まれたとされる小柄な地鶏。1980年代から高知県内で飼育が広がり、120〜150日かけて育てられるという。
- 長崎対馬地どりNagasaki Tsushima Jidori長崎県 対馬市対馬に伝わり朝鮮通信使のもてなしにも使われたと伝わる在来種を県の試験場が導入・改良し、軍鶏の血を引く系統と交配して作られたとされる。110日以上かけて育てられるという。
- 大和肉鶏Yamato Nikudori奈良県 奈良市戦前に京阪神で評判だった「大和かしわ」の味を復活させようと、奈良県畜産試験場が大型軍鶏・名古屋種・ニューハンプシャーの3種交配で作出したとされる。120〜140日ほどかけて育てられるという。