ごはんもの
きなこむすび
Kinako Musubi
梅干しや塩吹き昆布を包んだおむすびにきなこをまぶす、田植えの合間の一品。ユネスコ無形文化遺産「壬生の花田植」で今も振る舞われ、丸く握るのは秋の豊作への願いと伝わる。
- 発祥: 広島県北広島町
- 東京から西へ約670km
広島県北広島町
何でできているか
丸いおむすびに梅干しや細く切った塩吹き昆布を入れ、きなこをまぶした素朴な一品とされる。田植え作業の合間でも食べやすいよう、きなこはしっかりとまぶすのがこつとされる。ほんのりとした甘さと梅の酸味が、疲れた体にやさしく染み渡る。田植えの合間の空腹を満たしながら、豊作への願いも込められた行事食として親しまれてきた。
どう作るのか
おむすびに梅干しや細く切った塩吹き昆布などを入れ、丸く握ってからきなこをまぶす。黒豆を混ぜ込んだ俵形のむすびを作る地域もあり、それぞれの土地で少しずつ形が異なるという。「さんばい」や「さんばい飯」とも呼ばれ、田の神への祈りとともに振る舞われるという。地域によって形や具材に少しずつ違いがあるという。田植えの手を止めずに食べられる大きさに握るのもこつとされる。
なぜこの形になったのか
植えつけた苗が秋に丸々と実るようにという願いを込めて丸く握ったと伝わる。田植え作業の合間や、作業の終わりを意味する「代みて」の際に、太鼓や笛を鳴らしながら田植えをする「はやし田」の行事とともに振る舞われてきたとされ、なかでも北広島町壬生の「花田植」は特に華やかな行事として知られている。壬生の花田植は地域の保存活動によって今も受け継がれ、その行事食であるきなこむすびも共に伝えられているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ広島県
- あなご飯かば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずま酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼き広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。
- がんす魚のすり身をパン粉で揚げた広島・呉の練り物。昭和20年代、蒲鉾製造で出るすり身の余りを活用する方法として考案されたとされ、揚げかまぼこにフライ衣をまとう独特の組み合わせを持つ、地元で長く愛される味である。