惣菜
八寸
Hassun
安芸門徒の多い地域で、祭りや法事に魚屋を招いて出た「あら」と野菜を煮合わせたのが始まりという煮物。祝儀は器を朱に具を奇数に、不祝儀は黒の器に偶数と、盛り方に細かな決まりが伝わる。
- 発祥: 広島県
- 東京から西へ約670km
何でできているか
鶏肉や魚のあら、里芋、れんこん、にんじん、大根、ごぼうなど山の幸と海の幸を組み合わせて煮込んだ煮物とされる。名前は盛りつける漆器の直径が八寸ほどであることや、多くの種類の具材を使うことに由来すると伝わる。祝儀の席では具の種類を奇数にして朱色の器を使い、不祝儀では偶数にして黒の器を使うなど、地域独自の決まりがあるとされる。
どう作るのか
鶏肉、水で戻した干ししいたけ、れんこん、こんにゃく、ごぼう、にんじん、里芋などを食べやすい大きさに切って下処理する。鍋で炒めてから水、しょうゆ、酒、みりん、砂糖を加え、あくを取りながらじっくりと煮込む。不祝儀の際は動物性の食材を使わず、厚揚げや油揚げで代用するという。祝儀の際は鶏肉や魚のあらなど動物性の食材を加え、彩りよく仕上げるのがこつとされる。
なぜこの形になったのか
安芸門徒の多い地域で、祭りや正月、法事など人が集まる際に魚屋を自宅に招いて刺身を用意する風習があり、そのとき出た魚のあらと家の野菜を煮込んだのが始まりと伝わる。同じ地域の郷土料理である「煮ごめ」が動物性のものを使わない精進料理であるのに対し、「八寸」は魚介類や鶏肉を入れて作る点で異なるとされる。会席料理や懐石料理にも同じ名の料理があるが、これらとは異なる広島独自のものだという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ広島県
- あなご飯かば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずま酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼き広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。
- がんす魚のすり身をパン粉で揚げた広島・呉の練り物。昭和20年代、蒲鉾製造で出るすり身の余りを活用する方法として考案されたとされ、揚げかまぼこにフライ衣をまとう独特の組み合わせを持つ、地元で長く愛される味である。