粉もの ── 粉もの
いんおこ
In-oko
広島県尾道市因島の「いんおこ」は、うどんを主体にしたお好み焼き。造船とかんきつ栽培の島で、麺料理としても軽食としても食べられる、うどん入りが主流の型が定着したとされる。
- 発祥: 広島県尾道市(因島)
- 東京から西へ約620km
広島県尾道市(因島)
系譜
いんおこ
何でできているか
キャベツと豚肉を重ねる基本の型は共通するが、いんおこは麺にうどんを使うのが主流とされ、他の広島焼きに比べて麺の量そのものが多い傾向があるという。うどんのもちっとした食感がキャベツの甘みと絡み、麺料理としての満足感が強い一皿になるとされる。生地の割合が相対的に薄くなるぶん、麺の存在感がより前に出るともいわれる。
どう作るのか
生地とキャベツ、豚肉を重ねてから、たっぷりのうどんをのせて蒸し焼きにする点が広島市内の作り方と共通するが、うどんの分量が多いぶん蒸し焼きの時間をやや長めにとるといわれる。仕上げの卵とソースは通常の広島お好み焼きと変わらない。うどんのゆで加減は店によって異なり、コシの強弱も一皿ごとに違うとされる。
なぜこの形になったのか
因島は造船業とかんきつ栽培で栄えた瀬戸内海の島で、造船所の労働者にとって腹持ちのよいうどん入りの一皿が好まれたと考えられている。麺料理としての性格が強いのは、島という限られた食材事情のなかで、うどんが手に入りやすい主食だったためともいわれる。同じ広島の重ね焼きでも、島の暮らしという条件が麺の比重を高めたとされる。この島の暮らしが育てた麺主体の型は、今も因島の食卓にしっかりと根づいているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
源流
同じ広島県
- あなご飯かば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずま酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼き広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。
- がんす魚のすり身をパン粉で揚げた広島・呉の練り物。昭和20年代、蒲鉾製造で出るすり身の余りを活用する方法として考案されたとされ、揚げかまぼこにフライ衣をまとう独特の組み合わせを持つ、地元で長く愛される味である。