生食
ワニの刺身
Wani no Sashimi
中国地方の山間部で「ワニ」と呼ばれるサメを刺身にした一皿。海から遠い備北の地では日持ちするサメが重宝され、しょうがじょうゆで香りを抑えて食べる。秋祭りや正月に欠かせない一品と伝わる。
- 発祥: 広島県
- 東京から西へ約640km
何でできているか
中国地方の山間部で「ワニ」と呼ばれるサメを刺身にした一品とされる。アンモニアを多く含むため日持ちがよく、半月ほど刺身のまま食べられるとされる。種類によって肉の色は異なり、赤みの強いものはカジキに似て脂肪分が少なく淡泊な味わいだ。日にちがたつとアンモニア臭が強まるため、しょうがしょうゆで食べるのが定番とされる。
どう作るのか
サメをそぎ切りにして刺身に仕立て、しょうがとしょうゆをつけて食べる。砂糖しょうゆで食べる家庭もあり、刺身以外にも煮物、フライ、天ぷら、煮こごり、湯引き、かば焼き、南蛮漬けなど多彩な調理法で親しまれている。臭みが気になる場合はにんにくを効かせることもある。料理店やスーパーでも手に入り、年末になるとニュースの話題になるなど冬の風物詩ともなっている。
なぜこの形になったのか
海から離れた三次市周辺の山間地域ではかつて新鮮な魚介類の入手が難しく、日持ちのするサメが重宝されたとされる。江戸時代に日本海側の商人が持ち込み、明治30年代後半からは島根県の漁民が運ぶようになって、家庭でも刺身として食べられるようになったと伝わる。秋祭りや正月など人が多く集まるハレの日のもてなし料理として定着していったようだ。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ広島県
- あなご飯かば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずま酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼き広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。