酒 ── 日本酒
広島の酒
Hiroshima no Sake
軟水では酒が腐造しやすいという弱点を、麹をしっかり育て低温でゆっくり発酵させる「軟水醸造法」で克服したとされる広島の酒。この技法は後の吟醸酒の誕生にも影響を与えたと伝わる。
- 発祥: 広島県東広島市
- 東京から西へ約660km
広島県東広島市
系譜
何でできているか
広島の水は、酵母の栄養となるミネラル分が少ない軟水であるとされる。灘の宮水のような中硬水に比べ発酵が進みにくく、かつては腐造による損失に悩まされたと伝わるが、麹を米の内部までしっかり育てる工夫により、軟水でも安定して発酵を進められる酒質が確立されたといい、以後、軟水地帯での酒造りの手本として扱われてきたとされる。
どう作るのか
1898年に完成したとされるこの醸造法は、麹が米の内部まで行き渡るよう麹をしっかり育てることと、醪を低温でゆっくりと発酵させることの二点を特徴とする。三浦仙三郎という醸造家がこの方法を確立し、改良醸造法として文書にまとめ広く公開したと伝わり、技術を独占せず広めたことが各地への波及を後押ししたという。
なぜこの形になったのか
軟水の土地で酒造りを始めた蔵が、原因不明の腐造による損失を重ねる中で、原因が水質のミネラル不足にあると突き止めたことがきっかけになったとされる。低温でじっくり発酵させるこの技法は、香り高い酒を生む工夫として磨かれ、後の吟醸酒という区分の成立にも影響を与えたと伝わり、今日も吟醸酒に力を入れる蔵が多い土地として知られており、酒どころ広島の名を今に伝えているといい、全国の蔵からも参考にされてきたとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ広島県
- あなご飯かば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずま酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼き広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。
- がんす魚のすり身をパン粉で揚げた広島・呉の練り物。昭和20年代、蒲鉾製造で出るすり身の余りを活用する方法として考案されたとされ、揚げかまぼこにフライ衣をまとう独特の組み合わせを持つ、地元で長く愛される味である。