粉もの ── 粉もの
ふわふわ納豆焼
Fuwafuwa Natto-yaki
広島県熊野町の「ふわふわ納豆焼」は、お好み焼きの生地に納豆と卵、山芋を加えてふわりと焼き上げる。粘りの強い食材を重ねることで、他の広島焼きにはないやわらかな口当たりが生まれるとされる。
- 発祥: 広島県熊野町
- 東京から西へ約670km
広島県熊野町
系譜
ふわふわ納豆焼
何でできているか
キャベツと豚肉を重ねる基本の型に、納豆と卵、すりおろした山芋が加わるのがふわふわ納豆焼の特徴とされる。納豆と山芋の粘りが生地全体を包み込み、箸を入れると糸を引くほどのとろみが感じられるという。焼き上がりは他の広島焼きよりもふっくらと軽い口当たりになるとされ、崩すと湯気とともに納豆特有の匂いが立つ。
どう作るのか
生地にあらかじめ納豆と山芋、卵を混ぜ込んでおき、キャベツと豚肉を重ねて蒸し焼きにする点は広島市内の作り方と共通する。納豆の粘りが強いため、生地がだれないよう手早く広げて焼くのがこつだといわれる。仕上げのソースと青のりは通常の広島お好み焼きと変わらないが、粘りの強さから食べる際に糸を引くことがある。
なぜこの形になったのか
熊野町は書道用の筆づくりで知られる町だが、地元の家庭料理として納豆を混ぜ込む食べ方が親しまれてきたと考えられている。山芋を合わせてふわりと仕上げる工夫は、粘りの強い食材同士を重ねることで軽い食感を狙ったものだといわれる。同じ広島の重ね焼きでも、地場産業ではなく家庭の味付けの工夫が土地の型として残った例とされる。納豆と山芋の組み合わせは、他の広島焼きにはない熊野町ならではの味として今も残っているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
源流
同じ広島県
- あなご飯かば焼きにしたあなごをそぎ切りにし、だしで炊いたご飯に敷き詰める宮島の一皿。速い潮流にもまれて脂がのる「瀬戸のあなご」を使い、明治34年に宮島口駅の駅弁として売られたのが始まりと伝わる。
- あずま酢でしめたママカリを、酢飯の代わりに味付けしたおからで握る沿岸部の寿司。米が貴重だった時代、手に入りやすいおからで代用したのが始まりとされ、祭りや正月に振る舞われてきた。
- 美酒鍋鶏肉や砂ずり、豚肉を塩こしょうと日本酒だけで仕立てた鍋。銘醸地・西条の杜氏が酒造りの合間に食べたまかない料理が始まりで、利き酒の邪魔をしない薄味が特徴と伝わる。
- 江波巻きご飯に広島菜漬けとかつおぶし、白ごまをあえ、焼きのりで巻いた江波地区ののり巻き。片手で漕ぎながら食べられるよう両端を閉じることもあり、のり漁師の船上食として広まったと伝わる。
- 府中焼き広島県府中市に伝わるお好み焼きの一種で、豚バラ肉の代わりに牛や豚のひき肉を生地に混ぜ込んで焼く。ひき肉が生地全体に広がるため、噛むたびに肉の旨みが感じられるとされる。
- がんす魚のすり身をパン粉で揚げた広島・呉の練り物。昭和20年代、蒲鉾製造で出るすり身の余りを活用する方法として考案されたとされ、揚げかまぼこにフライ衣をまとう独特の組み合わせを持つ、地元で長く愛される味である。