練り物・豆腐・こんにゃく
練り物
24種
魚のすり身を蒸し、焼き、茹で、揚げて固めた加工食品の総称。板に盛って蒸せばかまぼこ、棒に巻いて焼けばちくわになるといい、平安時代の古文書に載る最初の形は今のちくわに近かったと伝わる。港ごとに獲れる魚とすり身に混ぜるもの(昆布や豆腐)が違うため、同じ「かまぼこ」でも蒸して仕上げる土地と焼き抜く土地とで形が分かれる。ここでは地域ごとの型と製法の違いを辿る。
土地ごとの料理13
- あごちくわAgo Chikuwa鳥取県鳥取でトビウオを指す「あご」のすり身を焼き上げるちくわ。表面の硬い焼き皮に包丁を入れると香ばしい音が響き、色濃く仕上がるのが普通のちくわとの違い。産卵期の春から夏が旬の初夏の味覚という。
- あご野焼きAgo-yaki島根県 出雲市トビウオ(あご)のすり身を串を使わず焼き上げた出雲地方の野焼き。パリッとした表面と上品な甘みが、島根の定番土産として好まれているという。焼き上げる際に立つ香ばしいにおいも魅力のひとつという。
- アルマドArumado長崎県 平戸市食紅で色付けしたゆで卵をすり身で包んで蒸した練り物で、切り口がピンク色に縁どられるのが特徴。平戸の名物とされ、佐世保では「アリマド」、長崎では「竜眼」と呼ばれる同種の練り物があるという。
- ごぼう巻きGobomaki山口県 萩市かまぼこ作りで残るエソの皮をごぼうに巻きつけ、たれにつけて焼く萩の一品。焼き抜きかまぼこの高級魚エソを使うため、水産加工会社がかまぼこと一緒に作ることが多く、祭りや花見の弁当に欠かせないと伝わる。
- かに風味かまぼこKani Kamaboko石川県 七尾市すり身にアルギン酸などを加え、カニ肉に似せた繊維状に仕立てた練り物。1972年に石川県七尾市のスギヨが世界で初めて発売し、今や世界的な輸出品とされる。焼き色をつけた「刻みタイプ」など、より本物に近い製品も登場したという。
- 黒はんぺんKuro Hanpen静岡県 静岡市サバやイワシのすり身を骨や皮ごと使い、半月形に仕立てた静岡の練り物。青灰色の見た目と魚そのものの風味が持ち味で、おでんの具としても定番とされる。そのまま食べる以外に、焼いたりフライにしたりと調理の幅も広いという。
- なるとNarutomaki静岡県 焼津市白と赤の二色のすり身を渦巻き状に巻いた円筒形の練り物。断面の「の」の字が特徴で、消費量の9割ほどが静岡県焼津市で作られるとされる。断面の渦をきれいに見せるため、巻き方に細かな工夫があるとされる。
- 野焼きNoyaki島根県 出雲市串を使わず直火で焼き上げる出雲地方の練り物。焼き抜きの一種で、表面は香ばしく中はふっくらとした食感を持つとされ、日持ちのよさに長けるという。焼く強さと時間は職人の経験に頼る部分が大きいとされる。
- おび天Obiten宮崎県 日南市イワシやアジなどの近海魚をすり身にして豆腐と合わせ、味噌や黒砂糖で味付けして揚げる日南市飫肥の練り物。江戸期の飫肥藩で考え出されたとされ、薩摩揚げに似るが豆腐入りでふわりとやわらかいのが持ち味。
- 小田原かまぼこOdawara Kamaboko神奈川県 小田原市相模湾で揚がる新鮮な白身魚と、東海道の宿場町として栄えた立地で発展した蒲鉾。歯切れのよい弾力と上品な白さが特徴とされ、老舗の直売店が並ぶ。相模湾で揚がったその日の魚を選ぶことも工夫のひとつという。
- 笹かまぼこSasa Kamaboko宮城県 仙台市すり身を笹の葉の形に整え、串を使わず焼き上げた仙台の蒲鉾。表面は香ばしく焼け、中はふっくらとした弾力を持ち、生産量は全国有数とされる。1972年に名称が商標登録され、県内業者が使えるようになったと伝わる。
- とうふ竹輪Tofu Chikuwa鳥取県 鳥取市魚のすり身に木綿豆腐を混ぜて蒸し上げた鳥取のちくわ。漁港整備が遅れ魚が貴重だった土地で、大豆を生かして生まれ、今も郷土の味として親しまれるという。カレー味やレモン味など変わり種の商品も開発されているという。
- 豊橋ちくわToyohashi Chikuwa愛知県 豊橋市太平洋と三河湾に挟まれた豊橋で、江戸時代後期から作られてきたちくわ。東海道の宿場町として物流に恵まれ、190年を超えて同じ製法が続くとされる。190年を超え、焼き加減の見極めは今も職人の経験に頼るという。
発祥の土地を特定しないもの11
- ちくわChikuwa魚のすり身を棒に巻いて焼き上げた筒形の練り物。断面が竹を切った跡に似ることが名の由来とされ、板付きのかまぼこより先にあった形と伝わる。焼き加減や太さで地域ごとに弾力の出方が変わるとされる。
- 伊達巻Datemaki白身魚やエビのすり身に卵とだしを加えて焼き、巻き簾で巻いた甘い練り物。名前の由来は伊達者説と伊達政宗説など諸説伝わり、正月の御節に欠かせない。はんぺんで代用してもよいとされ、卵焼きに近い工程で仕立てられる。
- 魚肉ソーセージGyoniku Sausage冷凍すり身に豚脂と香辛料を加えてケーシングに詰めたソーセージ型の練り物。マグロの余剰を活かす加工品として戦後に広まり、学校給食にも定番だったとされる。略して「ギョニソ」とも呼ばれ、学校給食の定番にもなったと伝わる。
- はんぺんHanpenサメなど白身魚のすり身に山芋を加えて泡立て、半月形に茹で上げたふわふわの練り物。名前は駿河の料理人にちなむという説など諸説が伝わる。白さと軽さの出方は、店ごとの製法の見極め次第で変わるとされる。
- 板わさItawasa板付きの蒲鉾を刺身のように厚めに切り、わさびと醤油を添えて食べる肴。蕎麦屋の酒肴として定着した食べ方とされ、切り方や薬味に店ごとの流儀があるという。切り方や薬味の添え方に、店ごとの流儀が表れるとされる。
- かまぼこKamaboko白身魚のすり身に塩を加えて練り、板の上に盛って蒸し上げた練り物。プリッとした弾力と魚の淡い甘みが持ち味で、蒸すか焼き抜くかなど地域ごとに仕上げ方が分かれる。祝いの席に出す高級品だった時代もあるという。
- 昆布巻きかまぼこKobumaki Kamaboko蒲鉾を昆布で巻いた富山の練り物。北前船の中継地として昆布に恵まれた土地の食文化が、魚が乏しかった時代の蒲鉾文化と結びついて生まれたとされる。昆布の巻き方は店ごとに工夫が異なり、見た目にも違いが出るとされる。
- 白焼蒲鉾Shirayaki Kamabokoエソや小鯛のすり身を、焼き色をつけずに焼き上げた山口の蒲鉾。表面に縮緬状のしわが寄るのが特徴で、白さを保つ焼き加減に職人の技量が表れるという。笹かまぼこなど焼き色をつける仲間とは対照的な仕立てとされる。
- すり身Surimi魚をすりつぶした練り物の基となる素材。1959年ごろ北海道で確立した冷凍技術により、遠洋の魚でも全国どこでも通年で加工できるようになったとされる。冷凍前のすり身は日持ちが短く、水揚げ地近くでしか加工できなかったとされる。
- つみれTsumireイワシやアジなど青魚のすり身を、成形せず手やスプーンで摘み取って茹でた練り物。地域によりトビウオなど使う魚が異なり、鍋物の具として親しまれるという。生姜などの薬味で青魚特有の臭みを抑える工夫がされているという。
- 細工かまぼこZaiku Kamaboko鯛など縁起物の形にすり身を彩色し仕立てた富山の祝儀用蒲鉾。婚礼や出産祝いの席で贈られ、大きいものは体長60センチ近くにもなる職人技の一品という。一つの作品に数日をかける、工芸品に近い手仕事とされる。