肉
牛肉の部位
30種
牛肉の部位は、サーロインやヒレなど精肉として食べる部分と、ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラのように四つある胃やレバー・ハツなどのホルモンとに大別される。同じ精肉でもヒレは脂肪が最も少なく火を通しすぎると硬くなりやすい一方、バラ(カルビ)は赤身と脂が層をなし、部位ごとに向く火入れが異なるという。ハラミやサガリのように精肉として扱われても実は横隔膜にあたる部位もある。ここでは精肉から内臓まで、部位ごとの違いを辿る。
発祥の土地を特定しないもの30
- ネックNeck首筋にあたる部位で、よく動く筋肉のため肉質は硬めだがコクと旨みが強い。ひき肉やコンビーフなど加工用として使われることが多く、精肉としてはあまり店頭に並ばない部位とされる。
- スネSune前脚・後脚の運動量が多い部位で、筋やスジが多く硬めの肉質を持つ。長時間煮込むとゼラチン質が溶け出し、シチューやスープに向く。前脚側は特に柔らかく、焼肉としても提供される。
- バラ(カルビ)Bara (Karubi)肋骨の間から取れるばら肉。焼肉の「カルビ」は本来この部位を指す語で、赤身と脂が層になり、噛むほどに濃厚な味わいが広がる。骨付きのまま扱われる部分は「タテバラ」とも呼ばれる。
- ヒレHire背骨の内側にある運動量の少ない筋肉で、牛肉のなかで最も脂肪が少なく柔らかい。加熱しすぎると硬くなりやすく、火入れの見極めが味を左右する。中心部だけを使う「シャトーブリアン」は特に希少とされる。
- カイノミKainomiばら肉のなかでもヒレに近い位置にある部位で、赤身の歯応えを持ちながら柔らかい。さっぱりとした上品な甘みがあり、焼肉で人気がある。1頭から取れる量が少なく、精肉店でもあまり見かけない。
- ザブトンZabuton肩ロースの中でも特に霜降りが入る部位で、座布団のような形からこの名がついた。柔らかく上品な味わいがあり、焼肉店では「特上ロース」として出ることもある。1頭から取れる量はごくわずかとされる。
- 肩ロースKata Rosu肩からリブロースにかけての部位で、赤身と脂がほどよく層になる。よく動く筋肉のためコクが強く、すき焼きや焼肉、煮込みまで幅広く使われる。特に霜降りの入る部分は「ザブトン」として別に扱われる。
- ギアラGiara牛の第四胃で、赤みを帯びた色から「赤センマイ」とも呼ばれる。他の胃に比べて脂を多く含み、噛むほどに甘みのある濃厚な味わいが広がる。他のホルモンに比べ流通量が少なく、珍重される。
- ハツHatsu牛の心臓で、脂肪が少なく高タンパクな部位。臭みが少なく、コリコリとした歯切れのよい食感が特徴で、焼肉や串焼きで食べられる。厚みのある部分と薄い部分で食感が異なることも知られる。
- かた(肩)Kata前脚の付け根にあたる部位で、よく運動する筋肉のためきめが粗く硬めの肉質を持つ。薄切りや角切りにして、煮込み料理によく使われる。ひき肉や加工品の原料として使われることも多い。
- コブクロKobukuro牛の子宮にあたる部位。牛は一度に1頭しか出産しないため流通量はごくわずかとされる。脂やくせが少なく、コリコリとした弾力が特徴で、下処理の丁寧さが味に直結するとされる。
- マメ(腎臓)Mame牛の腎臓で、そら豆に似た形から「マメ」と呼ばれる。脂肪が少なく淡白な味わいで、下処理として表面の皮と白い尿管を取り除いてから調理される。香りにわずかな独特のクセが残るとされる。
- レバーReba牛の肝臓で、鉄分やビタミンを豊富に含む。新鮮なものは臭みが少なく、焼き加減や下処理によって食感が大きく変わる部位とされる。かつては生食もされたが、現在は加熱調理が前提とされている。
- タンTan牛の舌の部位で、1頭から取れる量は2キログラムほどとごくわずかとされる。根元は脂がのって柔らかく、先端はやや硬め。薄切りにして塩で焼く「牛タン塩焼き」の食べ方が定番として知られる。
- ハチノスHachinosu牛の第二胃で、内側が蜂の巣状の網目模様になっていることが名前の由来。コラーゲンを多く含み、弾力のある食感とコクのある味わいを持つ。下処理に手間がかかるため下茹で済みで売られることが多い。
- ハラミHarami横隔膜のうち肋骨側の部位。見た目や食感は赤身肉に近いが、内臓に分類される。肉厚でジューシーな脂を持ち、焼肉の定番として親しまれる。サガリと隣り合うが、流通量はこちらの方が多いとされる。
- ホホニク(頬肉)Hohoniku牛の頬にあたる部位で、よく動かす筋肉のため肉質は硬め。ゼラチン質を多く含み、じっくり煮込むことで濃厚な旨みが引き出される。1頭から取れる量が少なく、あまり店頭には並ばない。
- しんたまShintamaもも肉の一部で、脂肪が少なく赤身が中心の部位。きめはやや粗いが、薄切りや煮込み、ローストビーフなど幅広い料理に使われる。「シンシン」と呼ばれる特にきめ細かい部分もある。
- 小腸(マルチョウ)Marucho牛の小腸で、裏返して焼く食べ方から「マルチョウ」の通称で呼ばれる。外側はコリコリとし、噛むと中から脂があふれる食感が持ち味とされる。下処理の丁寧さが味を大きく左右する部位でもある。
- ミノMino4つある牛の胃のうち最も大きい第一胃。切り開いた形が蓑に似ることが名前の由来とされる。厚みがありコリコリとした歯応えで、味は淡白。脂を挟んだ厚い部分は「ミノサンド」として区別される。
- テールTail牛の尾の部位で、骨の周りに筋の多い肉がついている。1頭から取れる長さは50〜60センチほどとされる。長時間煮込むとゼラチン質が溶けてとろりとした食感になり、スープや煮込みに使われる。
- リブロースRib Roast肩ロースとサーロインの間に位置し、きめ細かな霜降りが特徴。ステーキやすき焼きに使われることが多く、焼くと脂の香りが際立つ。骨付きのまま切り分けた「リブアイロール」として扱われることもある。
- ランプRump尻に近いもも肉の一部で、赤身が多くきめ細かい肉質を持つ。適度な脂があっさりとした上品な旨みを支え、ステーキやローストに向く。隣接するイチボと合わせて「らんいち」として取引されることもある。
- サガリSagari横隔膜のうちハラミと隣り合う部位。見た目はよく似るが脂は控えめで、赤身らしいさっぱりとした味わいを持つ。流通量はハラミより少なく、精肉店でも見かける機会が限られるとされる。
- センマイSenmai牛の第三胃で、幾重にも重なったヒダの形が名前の由来とされる。脂肪が少なくシコシコとした歯応えがあり、刺身や酢の物でも食べられる。黒い表皮を取り除いた白いものが主に流通する。
- 大腸(シマチョウ)Shimacho牛の大腸で、縞模様の見た目から「シマチョウ」と呼ばれる。小腸より脂は少なめだが厚みがあり、噛みごたえのある食感を楽しめる。もつ鍋や煮込みに使われることも多い部位とされる。
- サーロインSirloin腰の上部にあたる部位で、きめ細かな霜降りが入りやすい。ステーキの定番として扱われ、脂の甘みと赤身の旨みを一度に味わえる。1頭からの歩留まりは限られ、厚切りで塊のまま焼く食べ方が好まれる。
- ミスジMisuji肩甲骨の内側から取れる部位で、1頭から3キログラムほどしか取れない希少部位とされる。霜降りが入りやすく柔らかいため、ステーキで好まれる。中心を通る筋を境に食感が変わることも知られている。
- イチボIchiboランプに続く臀部の部位で、もも肉でありながらサーロインに近い味わいを持つ。適度な霜降りがあり、ステーキとして提供されることが多い。1頭から取れる量が少なく、希少部位に数えられる。
- トモサンカクTomosankakuランプとイチボの間に位置する部位で、もも肉の中ではヒレに次ぐ柔らかさとされる。赤身と脂身のバランスがよく、焼肉やステーキに使われる。三角形に近い形をしていることが名前の由来とされる。