酒
焼酎・泡盛
26種
焼酎・泡盛は米や芋、麦、黒糖などを麹で糖化させてから単式蒸留機にかける蒸留酒である。稲作に向かない台地や高温多湿な気候の南九州・沖縄で、日本酒のような醸造酒よりも保存が利く酒として育ったとされる。泡盛には海を越えて伝わったタイ米と黒麹が使われ、九州の焼酎には黒麹から分かれた白麹や、味噌・醤油にも使う黄麹が使い分けられてきたという。銘柄ではなく、原料・麹・蒸留法という型と、それぞれの産地の水や気候を辿る。
黒糖・泡盛6
- 奄美黒糖焼酎Amami Kokuto-jochu鹿児島県 奄美市鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 泡盛Awamori沖縄県タイ米と黒麹だけを使い、米のすべてを麹にする全麹仕込みで造る沖縄の蒸留酒。黒麹由来のクエン酸のおかげで高温多湿の気候でももろみが腐敗しにくいとされ、単式蒸留機で仕上げる焼酎の仲間だという。
- 古酒(クース)Kusu3年以上貯蔵した泡盛を指す呼び方。かめや甕で長く寝かせるうちにアルコールの角が取れて丸くなり、バニラのような芳香が育つとされ、「仕次ぎ」という注ぎ足しの技法で百年単位の古酒を保つ蔵もあるという。
- 花酒Hanazake沖縄県 八重山郡与那国町日本最西端の与那国島でのみ製造される、アルコール分60度前後の蒸留酒。原料や製法は泡盛と同じだが、度数が泡盛の上限を超えるため酒税法上は「スピリッツ」として区別されているという。
- 黒糖焼酎Kokuto-jochuサトウキビから作る黒糖と米麹を原料にする焼酎。黒糖由来のコクのある甘い香りを持ちながら、米麹で発酵させて蒸留するため甘ったるくは残らないとされ、酒税法上の特例で奄美群島だけで製造が認められているという。
- 琉球泡盛Ryukyu Awamori沖縄県タイ米を原料に、黒麹で米のすべてを麹にする全麹仕込みを行い、沖縄県内で仕込み・蒸留・容器詰めまで行った泡盛だけが名乗れる呼び方。地理的表示として県内での一貫した製造が求められるという。
ほかの系統9
- 長期貯蔵焼酎Choki Chozo Shochu3年以上貯蔵した原酒を総量の50%以上使うと表示できる、焼酎(泡盛を除く)の貯蔵年数の基準。泡盛の場合は3年以上の貯蔵酒を指して「古酒(クース)」と呼ぶなど、表示のルールが分かれているという。
- 常圧蒸留と減圧蒸留Joatsu / Genatsu Jouryu焼酎を単式蒸留機にかける際の圧力の違い。外気と同じ圧力で沸かす常圧蒸留は原料の香りが濃く出るコクのある酒質に、気圧を下げて低い温度で沸かす減圧蒸留はすっきりとした軽い酒質になるとされる。
- かめ壺仕込みKame-tsubo Jikomi陶器の甕を発酵容器に使う昔ながらの仕込み方法。甕を地中に半分ほど埋めることで温度が一定に保たれやすく、長年使われた甕の気孔には微生物が住み着いて複雑な風味を助けるとされる。
- 樫樽熟成Kashi-daru Jukusei焼酎をウイスキーのような樫の木樽で貯蔵・熟成させる技法。樽材の成分が溶け出して琥珀色に色づき、バニラや木の香りが加わるとされ、色の濃さは国税庁の着色度規制の範囲内に収める必要があるという。
- 麹の違い(黒麹・白麹・黄麹)Kuro-koji, Shiro-koji, Ki-koji焼酎・泡盛造りに使われる黒麹・白麹・黄麹という3種の麹菌。クエン酸を多く生むかどうかで酒質が大きく変わるとされ、どの麹を選ぶかが焼酎の輪郭を決める最初の分かれ道になるという。
- 甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)Korui Shochu連続式蒸留機で繰り返し蒸留し、アルコール分36度未満に仕上げる焼酎。無色透明でクセがほとんど無いとされ、レモンサワーなど割り材と合わせるチューハイのベースとして広く使われているという。
- 前割りMaewari焼酎と水をあらかじめ合わせて数日から数週間寝かせておく飲み方。水と焼酎の分子がなじんで角が取れ、口当たりが驚くほどまろやかになるとされ、お湯割りや水割り、ロックといった飲み方もこの延長で語られるという。
- 乙類焼酎(本格焼酎)Otsurui Shochu単式蒸留機で一度だけ蒸留する焼酎の総称。芋や麦、米など原料由来の香味がそのまま残るとされ、一定の条件を満たすものは1962年から「本格焼酎」という呼称も使えるようになったという。
- そば焼酎Soba-jochu宮崎県 西臼杵郡五ヶ瀬町そばの実を主原料にする焼酎。そば湯を思わせる香ばしい香りとやさしい甘みを持つとされ、1973年に宮崎県五ヶ瀬町の蔵元が麦焼酎の製法をもとに開発した、比較的新しい型の焼酎だという。
麦3
- 壱岐焼酎Iki Shochu長崎県 壱岐市長崎県壱岐島の水で仕込み、島内で蒸留・容器詰めまで行った麦焼酎だけが名乗れる呼び方。大麦2に対し米麹1というおおよその比率が伝統的に使われてきたとされ、麦焼酎発祥の地として知られているという。
- 麦焼酎Mugi-jochu大麦を主原料に、米麹または麦麹で仕込む焼酎。香ばしい穀物の香りとクセの少ない軽やかな口当たりが持ち味とされ、長崎県壱岐が発祥の地、大分県が麦100%スタイルを広めた土地として知られるという。
- 大分麦焼酎Oita Mugi-jochu大分県大麦と麦麹だけで造る麦100%焼酎という現代的なスタイルを牽引した大分県の麦焼酎。1973年に県内の蔵元が開発したとされ、香りが穏やかで飲みやすい酒質が全国的な麦焼酎ブームを生んだという。
芋5
- 芋焼酎Imo-jochuさつまいもと米麹(または麦麹)を原料に単式蒸留機で仕上げる焼酎。ふかし芋のような甘い香りと厚みのある甘みが特徴とされ、黄金千貫という品種が主原料として広く使われているという。
- 伊豆諸島の焼酎(島酒)Izu Shoto Shochu (Shima-zake)東京都 八丈島東京都の伊豆諸島で「島酒」とも呼ばれる芋焼酎。1853年に薩摩から流された人物が蒸留器とさつまいもの苗を持ち込んで伝えたとされ、米が乏しい島の事情から麦麹を使うのが特徴だという。
- 宮崎の芋焼酎Miyazaki Imo-jochu宮崎県鹿児島と並ぶ芋焼酎の産地として知られる宮崎県の芋焼酎。黄金千貫を中心に、ジョイホワイトなど宮崎で育成された品種も使われるとされ、地域ごとの気候や土壌の違いが酒質に出るという。
- 薩摩焼酎Satsuma Shochu鹿児島県鹿児島県産のさつまいもと水を原料に、県内(奄美市・大島郡を除く)で単式蒸留し容器詰めまで行った芋焼酎だけが名乗れる呼び方。2005年に世界貿易機関の地理的表示として認められたという。
- 種子島の芋焼酎Tanegashima Imo-jochu鹿児島県 西之表市ほか(種子島)鉄砲伝来の地として知られる種子島の芋焼酎。1698年、島主が琉球王国から甘藷を譲り受けたとする説が伝わり、甘藷(さつまいも)伝来の地のひとつとして語られているという。
米3
- 粕取り焼酎Kasutori Shochu清酒を搾った後に残る酒粕を原料にする焼酎。米粒そのものではなく酒粕を蒸留するため独特の香ばしい香りを持つとされ、北部九州で古くから五月の早苗饗祭の酒として親しまれてきたという。
- 米焼酎Kome-jochu米だけを原料に米麹で仕込む焼酎。日本酒と同じ米という原料を使いながら蒸留することで、米由来のほのかな甘みを残しつつ雑味の少ない軽い酒質になるとされ、熊本県の球磨地方が中心産地として知られるという。
- 球磨焼酎Kuma Shochu熊本県 人吉市熊本県球磨郡・人吉市の地下水で仕込み、米だけを原料に同地域内で蒸留・容器詰めまで行った米焼酎だけが名乗れる呼び方。1995年、日本で最初に地理的表示として指定された焼酎だという。