発酵・保存
発酵調味料
20種
発酵調味料は、麹や微生物のはたらきで大豆・米・麦などを発酵させて作る調味料の総称で、醤油と味噌がその中心をなす。醤油は大豆と小麦を使う濃口を基本に、色を抑えた淡口、とろりと濃い溜、二度仕込む再仕込みなど造り方で個性が分かれ、味噌も米味噌・麦味噌・豆味噌など原料と地域で色や塩味が変わる。淡口は素材の色を活かしたい料理に、溜は刺身にといった使い分けもあるという。ここでは系統ごとの銘柄を辿る。
土地ごとの料理14
- 銚子醤油Choshi shoyu千葉県 銚子市紀州の商人が江戸初期に興したとされる、関東を代表する醤油の産地。黒潮と親潮が交わる沖合の影響で夏冬の寒暖差が小さく高湿多湿な気候が、麹菌や酵母の働きに適していたとされ、江戸の食を支えた。
- 越後味噌Echigo miso新潟県 長岡市精白した丸米を使うため麹粒が味噌の中に浮いて見えることから「浮麹味噌」とも呼ばれる、新潟県の赤色辛口味噌。上越・中越・下越・佐渡それぞれで気候風土に応じた作り方の違いがあるとされる。
- 江戸甘味噌Edo amai miso東京都 中央区三河の豆味噌の旨味と京都白味噌の甘さを兼ね備えるよう考案されたと伝わる、麹を贅沢に使う甘口味噌。熟成期間が短く日持ちしない新鮮さが江戸っ子に好まれたとされ、東京都地域特産品にも認証されている。
- 御膳味噌Gozen miso徳島県 徳島市阿波藩主・蜂須賀家政の御膳に供されたことが名の由来と伝わる、麹を多く使うやや甘口の米味噌。藍の栽培の裏作として大豆が育てられていたことも背景にあるとされ、1966年に組合商標として登録された。
- 八丁味噌Hatcho miso愛知県 岡崎市岡崎城から西へ八丁(約870メートル)の地区で造られてきたことに名が由来する豆味噌。大豆と塩水のみを原料に木桶と重石で2年以上熟成させ、黒に近い色と渋みを伴う濃厚な旨味を持つとされる。
- 西京味噌Saikyo miso京都府 京都市京都所司代の依頼で宮中料理用に献上されたのが始まりと伝わる、塩分5%前後の低塩・甘口の白味噌。京都府味噌工業協同組合が原料や産地を定めて認定する呼称で、西京焼きなど京料理に欠かせない。
- 再仕込醤油Saishikomi shoyu山口県 柳井市できあがった生揚げ醤油に、もう一度麹を加えて仕込み直す濃厚な醤油。山口県柳井市の醸造家が江戸中期に生み出し藩主に献上したところ「甘露、甘露」と称えられ「甘露醤油」とも呼ばれるとされる。
- 仙台味噌Sendai miso宮城県 仙台市仙台藩祖・伊達政宗が城下に専用の味噌蔵を設けたのが始まりと伝わる、赤褐色で塩気の強い長期熟成味噌。朝鮮出兵の際に他藩の味噌が腐敗する中、仙台藩の味噌だけが変質しなかったとの逸話が伝わる。
- 信州味噌Shinshu miso長野県 長野市鎌倉時代に禅僧が製法を伝えたとの言い伝えを持つ、淡い黄色と軽い酸味が特徴の米味噌。長野県は出荷量・出荷額とも全国一とされ、国内で流通する味噌のおよそ半分を信州味噌が占めるとされる。
- 白醤油Shiro shoyu愛知県 碧南市小麦を主原料に大豆をわずかしか使わず仕込む、琥珀色に近い薄い色と強い甘みが特徴の醤油。愛知県碧南市が発祥の地とされ、白だしなど色を淡く仕上げたい料理の下味に使われる。
- 小豆島醤油Shodoshima shoyu香川県 小豆島町約400年前に紀州湯浅の醸造技術が伝わったとされる、瀬戸内海・小豆島の醤油。温暖な気候と海運の便に恵まれ最盛期には島内に400軒の蔵があったとされ、現存する木桶仕込みの多くを今も小豆島産が占める。
- 溜醤油Tamari shoyu愛知県 半田市大豆を主原料に小麦をほとんど使わずに仕込む、とろみと濃厚な旨味が特徴の醤油。愛知・三重・岐阜の東海3県、なかでも知多半島の半田周辺が主産地とされ、豆味噌文化と地続きの醸造技術から生まれたとされる。
- 津軽味噌Tsugaru miso青森県 弘前市弘前藩が軍需備蓄として麹屋の営業を奨励したことから広まったとされる、色濃い赤色辛口の米味噌。足かけ3年におよぶ長期熟成と、寒冷な気候に合わせたやや高めの塩分が特徴とされる。
- 淡口醤油Usukuchi shoyu兵庫県 たつの市兵庫県たつの市(旧龍野)で寛文年間に考案されたと伝わる、色の淡い醤油。揖保川の軟水と播州平野の大豆・小麦、赤穂の塩に恵まれ、素材の色や出汁の風味を活かす関西の食文化とともに発達したとされる。
発祥の土地を特定しないもの6
- 濃口醤油Koikuchi shoyu国内のしょうゆ出荷量の約8割を占めるとされる、最も一般的な醤油。大豆と小麦をほぼ同量用いて造られ、赤みを帯びた色と強い香りを持つ。煮物からかけ用まで幅広く使われ、地域を問わず食卓の基本となっている。
- 米味噌Kome miso米麹を使って仕込む味噌で、国内生産量の約8割を占めるとされる最も一般的な分類。信州味噌や江戸甘味噌など、産地ごとに塩分や熟成期間、色合いが異なる多様な地域味噌を含む大きな括りとなっている。
- 九州甘口醤油Kyushu amakuchi shoyu砂糖や甘味料を加えて仕込む、九州各地で好まれる甘口の醤油。江戸期の南蛮貿易で砂糖が早くから流通したことや、新鮮な魚を甘みで引き立てる食習慣が背景にあるとされ、刺身醤油として定着している。
- 九州麦味噌Kyushu mugi miso温暖な気候により熟成期間が短く、色が淡く甘口に仕上がるとされる九州の麦味噌。米作りより麦の裏作が根付いていた土地の事情から広まったとされ、塩分は全国平均より低めのものが多いとされる。
- 豆味噌Mame miso大豆のみを原料に麹を造る、色濃く渋みのある味噌。愛知・三重・岐阜の東海3県を中心に生産されるとされ、八丁味噌に代表される長期熟成の力強い風味は、豆味噌文化圏に共通する特徴とされる。
- 麦味噌Mugi miso麦麹を使って仕込む味噌で、九州や中国・四国地方など米作りが難しい土地で自家用に広まったとされる。米味噌より熟成が短く色が淡い傾向があり、麦の香ばしさと甘みを感じる素朴な味わいとされる。