麺 ── ラーメン
久留米ラーメン
Kurume Ramen
九州の豚骨ラーメンの源流とされる。継ぎ足しで炊き続ける濃厚なスープが特徴。
- 発祥: 福岡県久留米市
- 豚骨
- 東京から西へ約890km
福岡県久留米市
系譜
何でできているか
白濁して粘度のあるスープを口に含むと、豚骨の甘みと重みがまっすぐに来る。九州のとんこつラーメンの源流とされる一杯で、麺は博多や長浜よりやや太め。長時間炊き込まれたスープは混じりけのない豚骨だけの濃さで、脂の膜が最後まで丼の熱を逃がさない。すすった瞬間の粘りと、飲み込んだあとに残る余韻の長さが、他の九州とんこつと一線を画す。ほかの素材で薄めない、豚骨一本勝負の重さがこの一杯の芯にある。
どう作るのか
羽釜で炊いたスープを毎回作り切るのではなく、減った分だけ継ぎ足しながら日々炊き続ける「呼び戻し」という製法が特徴とされる。創業から何十年も同じ鍋で炊き続けているとうたう店もあり、継ぎ足すたびにスープの濃度と旨みが積み重なっていく。かつて仕込み中に強火で長時間煮詰めすぎて白く濁ってしまい、それがまろやかで濃厚だったため定着したという説も伝わる。鍋を空にしない、というただ一点が受け継がれてきた技法の核にある。
なぜこの形になったのか
1937年、長崎出身の創業者が支那そばと長崎ちゃんぽんの豚骨スープをヒントに屋台を始めたのが、九州で最初のラーメン店とされる。継ぎ足しで炊き続ける製法は、屋台という限られた設備と、毎晩客を待たせない速さを両立させる工夫だったとも考えられ、この製法とスープがのちに熊本や博多へと伝わっていったと位置づけられている。限られた設備の中で最大の濃さを引き出す知恵が、そのまま源流としての重みにつながっている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
派生
- 宇部ラーメン茶色がかった濃厚な豚骨スープが特徴の宇部市のご当地ラーメン。久留米で学んだ技法を土台に、炭鉱と工業の町で煮出す時間が延び、独自の色合いへと変化していったと伝わる。
- 奥州郡山とんこつラーメン白く濁った豚骨スープの、福島県郡山市のご当地ラーメン。姉妹都市である九州・久留米市から製法を学んで生まれた、明治の開拓移民の縁が今もどんぶりの中に残る一杯。
- 博多ラーメン豚骨を強火で炊いた白濁スープと極細ストレート麺。麺だけを追加する替え玉の習慣がある。
- 佐賀ラーメンやわらかい炊き加減の豚骨スープ。生卵を落とす食べ方が根付く。
- 熊本ラーメン豚骨スープに焦がしニンニクの油を合わせる。博多より太めの麺を使う。
- 玉名ラーメン熊本県玉名市のご当地ラーメン。1952年に久留米の名店「三九」が旧国鉄高瀬駅前に出店したのが始まりとされ、この味に感銘を受けた人々が後の熊本ラーメンの代表店を興したと伝わる。
対比
同じ福岡県
- あぶってかもスズメダイに塩をまぶして一晩おき、鱗も内臓も除かずに炙る。小骨が多く敬遠されがちな魚だが、明治期の博多湾で大量に獲れた際に塩をふって焼いてみたのが始まりと伝わる。
- あちゃら漬け白瓜やなす、れんこんなど夏野菜を赤唐辛子入りの甘酢に漬ける。博多湾の南蛮貿易で伝わったポルトガル語「アチャール」が語源とされ、お盆に客をもてなす縁起物の奇数野菜を使うという。
- あまぎのかわたけ朝倉市の黄金川だけで採れる天然の淡水海苔を、三杯酢や甘酢で和えて食べる。江戸時代には将軍への献上品だったと伝わる希少な食材で、現在は絶滅危惧種として保全活動が続くという。
- べたもち小麦粉の生地を平たい形にのばして蒸し、きな粉や小豆の粒あんをかけて食べる。豊前海でとれる舌平目「ベタ」の扁平な姿に見立てて名付けられたとされ、田植え後の祝いに欠かせないという。
- かぼちゃのだんご汁豊前市三毛門産の大玉かぼちゃをとろとろに煮て、練った小麦粉をちぎり入れる汁物。約450年前にポルトガル伝来という三毛門かぼちゃは、食べ物が乏しかった時代の命をつなぐ味だったという。
- ちゃんらー北九州市門司区の食堂で生まれたとされる麺料理。ちゃんぽん麺をいりこだしのうどん風つゆに入れた一杯で、長崎ちゃんぽんを食べたいが小遣いが足りない生徒のために考えられたと伝わる。