麺 ── ラーメン
鍋焼きラーメン
Nabeyaki Ramen
土鍋で煮立てたまま出す親鶏の醤油ラーメン。生卵とちくわを落とす。
- 発祥: 高知県須崎市
- 醤油
- 東京から西へ約650km
高知県須崎市
何でできているか
土鍋の蓋を開けた瞬間、湯気とともに親鶏の醤油スープの香りが立ちのぼる。やや甘みのある醤油ベースのスープはあっさりしながらもコクがあり、具は親鶏の肉、青ネギ、生卵、輪切りのちくわ。土鍋のまま火にかけられた状態で出されるため、食べ始めてもぐつぐつと煮え続け、最後の一口まで冷めることがない。生卵を割り入れると白身がふわっと固まり、スープにまろやかさがもう一段加わる。
どう作るのか
出前先に届くまでの時間を見込んで、あえて硬めに麺を茹でておくのがこの一杯の特徴とされる。届く頃にはちょうど良い硬さになるよう逆算する工夫で、丼ではなく保温性の高い鍋を使う点も欠かせない。発祥時はホーロー鍋が使われ、のちに近隣の店が土鍋に切り替えて主流になったと伝わる。鍋のまま食卓に置かれるため、最初の一口から最後の一口まで、火の通り方そのものが変わり続ける。
なぜこの形になったのか
戦後間もなく、須崎の食堂が出前の注文に応えるなかで、「熱々のまま食べてもらいたい」という思いから、丼の代わりに保温性の高い鍋を使い始めたのが始まりとされる。出前という届けるまでの時間差そのものが、土鍋で煮立てたまま出すという形を呼び込んだと考えられ、硬めに茹でる麺の工夫も、その時間差への具体的な答えになっている。届けるための工夫が、そのまま店で食べる一杯の形としても定着した。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ高知県
- チャーテの和え物熱帯アメリカ原産のウリ科植物チャーテ(ハヤトウリ)を生のまま和え物にする高知の秋の家庭料理。1株で100個以上実るため自家消費や近所への差し入れに使われ、栽培しやすい山間部で特に親しまれている。
- 中日そばうどんだしに中華麺を合わせた、高知県香南市赤岡町生まれの郷土麺。ちりめんじゃこやとろろ昆布が定番の具で、うどんとラーメンそれぞれの手間を省く工夫から生まれたと伝わる一杯である。
- 銀ぶろうずし大豊町西豊永地区で自家用に栽培されてきたいんげん豆「銀ぶろう」を甘く煮て、根菜とともに酢飯に混ぜ込むすし。不老長寿の豆として縁起物とされ、祝宴や祭事のときにつくられてきたという。
- 碁石茶高知県大豊町に伝わる、カビ付けと乳酸発酵という二段階の発酵を経て作られる後発酵茶。四角く切った茶葉を天日で干した見た目が碁石に似ることからその名がついたとされ、甘酸っぱい独特の風味を持つという。
- ぐる煮大根や人参、里芋などの根菜を出汁じゃこと醤油で煮込む冬の総菜。土佐弁で「仲間」を意味する「ぐる」が名の由来とされ、何度も温め直しながら食べる備蓄菜として親しまれてきたという。
- 葉にんにくのぬた刻んですり潰した葉にんにくに味噌や酢、ごま、砂糖を混ぜる高知の伝統的な調味料。朝鮮渡来が由来と伝わり、ブリなど生の魚に醤油の代わりにかけるのが一般的で、地域ごとに呼び名や具材が違うという。