麺 ── ラーメン
笠岡ラーメン
Kasaoka Ramen
親鶏でとった醤油スープに、鶏チャーシュー。養鶏の町の歴史が残した型。
- 発祥: 岡山県笠岡市
- 醤油
- 東京から西へ約580km
岡山県笠岡市
系譜
笠岡ラーメン岡山ラーメン
何でできているか
丼から立つのは豚骨とは違う、軽やかな鶏の香り。親鶏——卵を産み終えた老いた鶏——のガラだけを水から炊いた出汁に醤油だれを合わせたスープは、澄んだ琥珀色で表面に鶏油が薄く浮く。化学調味料に頼らず、鶏そのものの旨みで勝負する店が多い。具は豚のチャーシューではなく、親鶏のもも肉を醤油だけでことこと煮た「煮鶏」。斜め切りの青ネギが香りを添え、中細ストレート麺はモチッとした食感でスープをまとって喉を通っていく。
どう作るのか
材料は突き詰めると鶏肉と醤油と水だけという店が多く、煮鶏を煮た煮汁をそのまま煮詰めてラーメンのタレに転用する一気通貫の作り方が、この一杯の骨格とされる。豚骨のように何時間も骨を炊き込む下ごしらえを必要としない代わりに、タレの煮詰め加減ひとつで味の印象が大きく変わるため、納得のいく一杯に仕上げるまで長い年月をかけて微調整を重ねたと語る店主もいる。素材の種類を絞り込んでいるぶん、ごまかしの利かない一杯でもある。
なぜこの形になったのか
笠岡を含む備中・井笠地方は古くから養鶏業が盛んな土地で、卵を産み終えた親鶏が安く大量に手に入った。同時に製麺業も根づいており、麺を食べる文化的な土壌があった。この二つの地域産業が重なったところに、鶏を主役にした中華そばが生まれたと考えられている。豚骨も鶏がらも遠方から運ぶ必要がなく、地元で完結する一杯として定着した。特別な素材を求めず、手近にあるものだけで一杯を仕立てるという発想そのものが、この土地らしさを物語っている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ岡山県
- あみとだいこんの煮付け瀬戸内で秋の訪れを告げる、小エビのアミをだいこんと醤油や砂糖で煮付けた一皿。脂ののったアミとだいこんの相性がよく、荒天で漁に出られない冬場は塩漬けにして食べ継いだという。
- 手延べ素麺のばち汁浅口市鴨方町で、手延べそうめんをつくる際に端に出る「ばち」を大根や人参と煮た汁物。三味線の撥に形が似ることが名の由来とされ、そうめんよりコシが強く小さな子どもにも食べやすいという。
- ブリ雑煮岡山県南部で正月に食べる、出世魚ブリを具にした雑煮。ほうれん草や大根、百合根などの根菜を合わせ、縁起のよいブリで新年を祝う家庭料理として親しまれている。既存の「ブリ」は魚の食材ページで、本品は調理された正月料理のため新規作成。
- 千屋牛岡山県新見市で育つ黒毛和種。江戸時代からの最古級の蔓牛(系統牛)の血統を受け継ぐとされ、高梁川の清らかな水と肥沃な土壌の恩恵を受けて育つという。全国の和牛銘柄のルーツのひとつに数えられるという。
- デミかつ丼揚げたてのとんかつに熱々のデミグラスソースをかけた岡山市発祥のご当地丼。東京のホテルの洋食に感動した老舗の創業者が考案したと伝わり、店ごとにトッピングが違うという。
- 鮒めし児島湾の干拓地に育った水路でとれる寒鮒を、まな板で叩いてミンチにし、根菜と炒め煮した汁を熱いごはんにかけて食べる。「とんとこ汁」とも呼ばれ、冬の寒い日の料理として伝わる。矢掛町・玉野市・八浜にまたがる広域のため玉野市を代表点とした。