ごはんもの ── 寿司
鮎なれずし
Ayu Narezushi
秋に川を下る子持ちの落ち鮎を塩漬けし、炊きたてのご飯を腹に詰めて桶で2ヶ月ほど乳酸発酵させる岐阜市のなれずし。長良川鵜飼で獲れた鮎を使った鮎鮓は江戸期に将軍家へ献上されたと伝わるという。
- 発祥: 岐阜県岐阜市
- 東京から西へ約270km
岐阜県岐阜市
何でできているか
塩漬けした鮎の腹に炊きたてのご飯を詰め、二カ月ほど漬け込んで発酵させたなれずしで、噛むと酸味の効いた独特の香りとともに、鮎の身がまろやかに熟れた旨みがじんわりと広がるという。卵を抱えた雌の鮎を使うと、内臓のうまみが加わってより丸みのある味わいになると伝わり、鵜匠の家では今も正月に配られているそうだ。
どう作るのか
九月ごろに獲れる落ち鮎を開き、塩とともに二カ月ほど漬け込んでから塩抜きし、鮎の腹に炊きたてのご飯を詰めるという。木桶に三、四段重ねて並べ、竹皮を敷いてふたに石の重しをのせ、乳酸菌の力を借りて自然発酵させるそうだ。熟成が終われば一年を通して味わえ、オスの鮎を使うことが多いと伝わる。手順そのものは単純でも、仕上がりには家庭ごとの癖が出るといわれる。
なぜこの形になったのか
岐阜市を流れる長良川には千三百年以上の歴史を持つとされる鵜飼があり、そこで獲れた鮎が塩と米のみで発酵食品へと姿を変える技術が古くから受け継がれてきたという。獲れる時期が限られる川魚を保存し、冬の貴重なたんぱく源として蓄える知恵が、この発酵の形を育んだとされ、江戸時代には将軍家への献上品にもなったと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ岐阜県
- 赤だつの酢ぶて里芋の赤紫色をした葉柄「赤だつ」の筋を取り、塩もみしてから合わせ酢で和える山県市の一品。石灰質のやせた土壌が芋の栽培に適した土地に伝わり、産後の体力回復を願って食べさせたとも言われている。
- 鮎ぞうすい香ばしく素焼きにした鮎を、ほぐしながらだし汁とご飯でさっと煮た岐阜県の川魚料理。漁で傷がつき市場に出しにくくなった鮎をおいしく食べる工夫が始まりとされ、鮎料理を出す食事処で締めの一品として供されることが多いという。
- 鮒味噌素焼きにした鮒を戻した大豆と時間をかけて煮て、豆味噌とざらめで仕上げる西濃地域の川魚料理。旨味の強い豆味噌が鮒特有の臭みを和らげるとされ、身がほろほろになるまで煮込んで冬の保存食とするという。
- 鮎の塩焼鮎全体に塩をふり、ひれと尾に化粧塩をして炭火で両面を焼く岐阜県の鮎料理。1300年の歴史を持つ長良川鵜飼や、川をせき止めて魚を追い込む伝統漁法「ヤナ」で獲れた新鮮な鮎を使うのが特徴という。
- 五平餅つぶした米を串に刺し、くるみや落花生入りのたれで炙り焼く東濃・飛騨地域の一品。中山道を境に北は醤油味、南は味噌味が多いとされ、新米の収穫祝いや客をもてなす日のご馳走として供されてきたという。
- いももち里芋と米を一緒に炊いてよくつぶし、丸めて串に刺し炭火で焼いて生姜醤油をつける中津川市周辺の一品。稲刈り後のくず米と里芋を合わせたのが始まりとも伝わり、米が不作の年の「かさ増し」だったともいう。