生食
柿なます
Kaki Namasu
紅白なますに、寒風にさらして干した「ころ柿」を加えた正月料理。丸森町や白石市でつくられる渋柿の干し柿が甘みを蓄え、大根の歯ざわりと合わさる縁起の良い一皿と伝わる。
- 発祥: 宮城県丸森町
- 東京から北へ約270km
宮城県丸森町
何でできているか
大根とにんじんの紅白なますに、県南でつくられる干し柿「ころ柿」を加えた正月料理。しゃきしゃきとした大根とにんじんの歯ざわりに、干し柿の凝縮された自然な甘みが溶け込み、酢のさっぱりとした酸味が全体を引き締めるという。人参の赤と大根の白に干し柿の色が重なり、正月らしい彩りを添えるという。餅を食べる正月料理に添えると、口の中がさっぱり整うという。
どう作るのか
細切りにした大根とにんじんに軽く塩をふってしんなりさせ、酢や砂糖で味をととのえる。冷蔵庫でしばらく寝かせて味をなじませたのち、干し柿を加えて仕上げる。地ものの柚子を加える家庭もあるという。正月のおせち料理の一品として、紅白なますに甘みを添える定番の食べ方として親しまれているという。干し柿の自然な甘さが、子どもでも食べやすい味に仕上げてくれるという。
なぜこの形になったのか
県南の丸森町や白石市では、渋柿の皮をむいて寒風にさらす「ころ柿」づくりが古くから行われてきたと伝わる。正月のおせちに欠かせない紅白なますに、寒さの中で甘みを蓄えたころ柿を組み合わせることで、縁起のよい彩りと自然な甘みを両立させた料理が生まれたと考えられる。柿の皮に含まれるビタミン類が、干すことで一層濃縮されるとも伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
- へそ大根のにしめ輪切りの大根を茹でて串を通し、冬の寒風で一か月ほど干した「へそ大根」を、人参や凍み豆腐と煮しめにした丸森町の料理。串を抜いた穴がへそに見えることが名の由来と伝わる。
- いもなます千切りにしたじゃがいものでんぷんを念入りに洗い流し、油と酢でシャキシャキの食感に炒め上げる飯山市の一品。江戸時代から食べられてきたとされ、冠婚葬祭など人が集まる席にも大皿で振る舞われてきたという。
- 柿なます細切りにした大根と人参を塩でしんなりさせ、甘く干した柿を割いて合わせる岐阜県の一品。柿の産地として知られる岐阜では堂上蜂屋柿など上質な干し柿が手に入り、正月料理として食されることが多いという。
- いちじくの甘露煮加工用の青いいちじくを、水と砂糖、レモン汁だけでコトコト煮詰めるシンプルな保存食。県南地区を主産地に9月から10月にかけて各家庭で仕込まれ、瓶詰めにして分け合うと伝わる。
- 柿なます大根とニンジンの紅白なますに干し柿を加えた奈良の正月料理。砂糖が高価だった時代、干し柿の甘みで酸味をやわらげたとされ、白と赤の色は水引を意味し平安を願う縁起物として受け継がれている。
同じ宮城県
- 油麩丼棒状にして揚げた油麩を、かつ丼のように甘辛い出汁で煮て卵でとじ、ご飯にのせた登米市の丼。豆腐店が保存の利く麩を考案したのが始まりで、地元旅館の女将が丼に仕立てたと伝わる。
- あざら長く漬け込んで酸味の増した白菜の古漬けと、メヌケのあらを酒粕でじっくり煮込む気仙沼の料理。冷めても、翌日煮返してもうまみが増すと伝わる、庶民に親しまれてきた一皿。
- ばっけ味噌春先に摘んだふきのとう(方言で「ばっけ」)を茹でて刻み、くるみや味噌と練り合わせた常備菜。冬にたまった体の毒を出すとして好まれ、温かいご飯や焼き魚に添えて食べると伝わる。
- どんこ汁石巻港や気仙沼港で水揚げされるドンコを大根や豆腐とともに味噌で仕立てた冬の汁物。口が大きく尻がすぼまる姿から金運の縁起魚とされ、えびす講に神棚へ供える風習も伝わる。
- エビ餅田んぼの用水路や沼で獲れる沼エビを醤油と酒で調味し、つきたての餅に姿のまま絡めた栗原の餅料理。紅白の彩りが美しく、正月に来客をもてなす一皿として代々受け継がれてきたと伝わる。
- ふすべ餅素焼きにして囲炉裏でいぶしたドジョウを粉状にし、大根やごぼうと炒め煮にして醤油と唐辛子で仕上げた餡を、つきたての餅に絡める。海から遠い栗原の内陸ならではの餅料理と伝わる。