麺 ── ラーメン
大船渡さんまらーめん
Ofunato Sanma Ramen
水揚げの多いさんまを出汁に使う。津波からの復興の中で町の名物として育てられた。
- 発祥: 岩手県大船渡市
- 醤油
- 東京から北東へ約420km
岩手県大船渡市
系譜
大船渡さんまらーめん三陸磯ラーメン
何でできているか
丼を覗くと、脂の乗ったさんまの香ばしさがまず鼻に届く。醤油ベースのスープに脂ごと溶け込んだ出汁は、魚の甘みとコクが前面に出て、後味に少し青魚らしい深みが残る。麺は中太のちぢれ麺を合わせる店が多く、濃いめのスープをよく持ち上げる。丼にさんまを一尾まるごと焼いて乗せる店もあれば、つみれや削り節のようにほぐして加える店もあり、同じ「さんまらーめん」でも一杯ごとに表情が違う。
どう作るのか
店ごとに作り方が大きく違うのが、このラーメンの特徴とされる。焼いたさんまや燻したさんまを丸ごとスープに乗せる店、身をほぐしてつみれにする店、さんま節を削って出汁を取る店とやり方は様々で、統一されたレシピは存在しない。共通しているのは、大船渡の港に水揚げされたさんまを主役に据えるという一点だけで、麺の太さやスープの味付けは各店の裁量に委ねられている。
なぜこの形になったのか
大船渡はさんまの水揚げ量が全国有数の港町で、地元の呼びかけをきっかけに2010年、市内の複数の店が一斉にさんまを使ったラーメンを出し始めたとされる。翌年の東日本大震災のあとは、港のまちが歩んできた道のりを重ねて味わう一杯として位置づけられてきた。統一レシピを持たず店ごとに調理法が違うのも、水揚げされた魚をそれぞれの店が工夫して活かしてきた港町らしいあり方の表れと読める。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ岩手県
- 小豆ばっとう小麦粉を寝かせて幅広のうどん状に切り、ざらめで甘く煮た小豆汁に合わせる。建前や庭じまいの祝いに三陸沿岸地域で作られ、お盆の七日目に7回食べると無病息災とする風習も残る。
- へっちょこだんごたかきび粉やもちあわ粉など雑穀の団子の中央をへこませ、甘い小豆汁で煮る。「うきうきだんご」とも呼ばれ、収穫後の労をねぎらう「庭じまい」の行事食として、米が育ちにくい県北で作られてきた。
- ひなまんじゅう米粉の生地に食紅で色をつけ小豆あんを包み、木型や竹串で花や桃、うさぎなど30種以上の形に整える。花巻市大迫町のひな人形めぐりの風習とともに伝わり、桃の節句に「きりせんしょ」と共に供えられる。
- 氷頭なます鮭の頭の軟骨部分「氷頭」を薄くスライスし、塩をして酢でしめてから大根とにんじんのなますと和える。一尾からわずかしか取れない珍味とされ、宮古湾に鮭が遡上する三陸沿岸で正月料理として伝わる。
- 伝統餅料理あんこやずんだ、くるみ、納豆、雑煮など約300通りの食べ方がある餅料理の総称。仙台藩の命で月2回餅を搗いた風習が根付き、一関では年60回以上餅を食べる「餅暦」と、儀礼作法に則る「餅本膳」が今も残る。
- いもの子汁秋に旬を迎えるさといもを鶏肉や豆腐、大根、にんじんとともに醤油味で煮込む。さといも栽培に適した北上川流域の秋の味覚で、川岸に集まって鍋を囲む「芋煮会」が今も北上市二子地区で受け継がれている。