酒 ── 日本酒
灘の酒
Nada no Sake
兵庫県の灘五郷で仕込まれる酒。ミネラル分が多く鉄分が少ない中硬水「宮水」を使い、発酵が力強く進むことから、辛口で骨太な「灘の男酒」と呼び習わされてきたとされる。
- 発祥: 兵庫県神戸市灘区
- 東京から西へ約430km
兵庫県神戸市灘区
系譜
灘の酒丹波の酒
何でできているか
灘五郷の酒は、西宮の井戸から湧く「宮水」と呼ばれる水を仕込みに使う。カリウムやリンを多く含み、酒の色や味を損なう鉄分がほとんど無いこの水は、麹や酵母の働きを助けて発酵を早め、辛口で力強い酒質を生むとされ、伝統的に「灘の男酒」と呼び習わされてきたという。酒米には山田錦が広く使われてきたと伝わり、硬質な米が力強い発酵によく合うとされる。
どう作るのか
かつては六甲山系から流れる急流を利用した水車で米を精米し、精米の質と量を大きく引き上げたと伝わる。仕込まれた酒は、大坂から江戸へ酒樽だけを専門に運ぶ「樽廻船」という船で運ばれ、遠隔地の大消費地へまとまった量を早く届けられる体制が早くから整っていたといい、江戸の酒市場で高いシェアを占めるようになったと伝わる。
なぜこの形になったのか
宮水は江戸時代末期、蔵元の山邑太左衛門が、同じ仕込みでも井戸によって酒の出来が違うことに気づいたことから見出したと伝わる。水運の便に恵まれた立地に、丹波など各地から酒造りの技術者が集まったことが重なり、大量に醸して遠くまで届けるという、灘ならではの酒造りの形が育まれたとされ、今も国内有数の生産量を持つ産地として知られており、全国のブランド酒の中でも古参の産地として位置づけられているとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ兵庫県
- 明石焼小麦粉とじん粉、卵とだし汁を混ぜた生地でタコを包んで焼き、だし汁につけて食べる明石市の郷土料理。見た目はたこ焼きに似るが、ソースではなくだし汁につける点が大きな違いとされる。
- 赤穂の塩江戸時代に完成した入浜式塩田による、専業製塩の先駆けとされる塩。水尾と防潮堤で海水を制御し干満に左右されず作業できる画期的な仕組みで、300年にわたり日本の主要な製塩法であり続けたとされる。
- 淡路ビーフ淡路島で育つ純血の但馬牛系統。1986年に生産者らが立ち上げた銘柄で、霜降りの量よりも赤身と脂の調和を重視して選ばれる、出荷頭数の少ない牛肉とされる。淡路牛と呼ばれる一般呼称とは区別される、希少な銘柄という。
- 播州ラーメンはっきり甘い醤油スープ。織物工場で働く女性たちに好まれて定着したと伝わる。
- 播州手延べそうめん太子町の斑鳩寺に伝わる文書には応永25年(1418年)の条に「サウメン」の記述があり、兵庫県内で最も古いそうめんの記録とされる。江戸時代の安永年間には龍野藩の許可業種として奨励され、播州平野の小麦・揖保川の水・赤穂の塩が産地としての土台になった。
- ぼたん鍋白と赤の合わせみそでとっただしに、猪肉と季節の野菜をたっぷり入れて煮る丹波篠山の鍋。粉山椒を効かせて食べることが多く、切り分けた猪肉を牡丹の花びらのように盛り付ける店もあるという。