鍋・汁もの ── 鍋料理
若鶏の水炊き
Mizutaki
骨つきの若鶏を野菜とともにじっくり煮て白濁したスープをポン酢でいただく鍋。長崎に伝わった南蛮の鶏スープが博多で和洋折衷され、祭りの直会でも欠かせない一品になったと伝わる。
- 発祥: 福岡県
- 水炊き・ちり系
- 東京から西へ約890km
系譜
何でできているか
骨つきの若鶏に、肝や砂ずりなどの内臓、季節の野菜がそろう鍋料理。すまし汁と濁り汁を合わせただしに、鶏肉や好みの野菜、豆腐を入れて煮る。ポン酢と醤油を合わせたたれや、もみじおろし、おろししょうがなどの薬味も添えられるという。寒い時期に限らず、通年で楽しめる鍋だとされる。最後にうどんやごはんを煮汁に入れる楽しみ方も定番だという。
どう作るのか
骨つきの若鶏を出汁とともに長く煮込んでスープをつくり、好みの野菜や豆腐を加えて煮る。薬味を合わせたたれで食べ、最後に餅やうどん、ごはんを煮汁に入れて締めくくることもあるという。早生キャベツが旬を迎える春先など、季節ごとの野菜を組み合わせて食べられているとされる。だしのとり方に各家庭の工夫があるとも伝わる。
なぜこの形になったのか
外国船の寄港とともに長崎で広まった鶏肉の煮方に、西洋のスープや日本料理の要素が組み合わさって生まれたとされる。博多祇園山笠の祭事では欠かせない一品とされ、重い山笠を担ぐ男衆が体力をつけるために鶏肉を選んだのではないかとも伝わる。福岡県独自に育成された地鶏も、この料理をより美味しくする目的で生まれたという。祭りの直会でも欠かせない一品とされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
兄弟
- たらちり鱈の切り身を豆腐や野菜とともに昆布出汁や熱湯で煮て、ポン酢や醤油で食べる鍋。「ちり」は、熱湯に通した魚の身が縮れる様子にちなむとされる。鱈は冬に旬を迎える魚で、淡白な甘みが出汁に溶け合う。
- 寄せ鍋鶏肉や白身魚、海老に、白菜や葱、きのこ、豆腐などを取り合わせて煮る鍋。決まった型は無く、ごった煮ではなく具の煮え加減と鍋つゆの澄み方を保つのが理想とされる。決まった土地は持たず、冬の食卓で囲む鍋として広まった。
- 常夜鍋豚肉とほうれん草を、昆布と日本酒の出汁でさっと煮て、ポン酢で食べる鍋。「毎晩食べても飽きない」ことが名の由来とされ、出汁に味をつけない水炊きの系統にあたる。具は豚肉とほうれん草が基本。
対比
同じ福岡県
- あぶってかもスズメダイに塩をまぶして一晩おき、鱗も内臓も除かずに炙る。小骨が多く敬遠されがちな魚だが、明治期の博多湾で大量に獲れた際に塩をふって焼いてみたのが始まりと伝わる。
- あちゃら漬け白瓜やなす、れんこんなど夏野菜を赤唐辛子入りの甘酢に漬ける。博多湾の南蛮貿易で伝わったポルトガル語「アチャール」が語源とされ、お盆に客をもてなす縁起物の奇数野菜を使うという。
- あまぎのかわたけ朝倉市の黄金川だけで採れる天然の淡水海苔を、三杯酢や甘酢で和えて食べる。江戸時代には将軍への献上品だったと伝わる希少な食材で、現在は絶滅危惧種として保全活動が続くという。
- べたもち小麦粉の生地を平たい形にのばして蒸し、きな粉や小豆の粒あんをかけて食べる。豊前海でとれる舌平目「ベタ」の扁平な姿に見立てて名付けられたとされ、田植え後の祝いに欠かせないという。
- かぼちゃのだんご汁豊前市三毛門産の大玉かぼちゃをとろとろに煮て、練った小麦粉をちぎり入れる汁物。約450年前にポルトガル伝来という三毛門かぼちゃは、食べ物が乏しかった時代の命をつなぐ味だったという。
- ちゃんらー北九州市門司区の食堂で生まれたとされる麺料理。ちゃんぽん麺をいりこだしのうどん風つゆに入れた一杯で、長崎ちゃんぽんを食べたいが小遣いが足りない生徒のために考えられたと伝わる。