鍋・汁もの ── 鍋料理
飛鳥鍋
Asuka Nabe
鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 発祥: 奈良県明日香村
- 水炊き・ちり系
- 東京から西へ約380km
奈良県明日香村
何でできているか
鶏肉と季節の野菜を、牛乳とだし汁で煮込んだ鍋料理で、奈良盆地中南部で食べられている。牛乳のまろやかなこくとだしのうまみが溶け合い、鶏肉や野菜からもだしが出るため、締めにうどんを入れてもおいしく食べられる。年間を通して食べられる冬の定番料理とされる。鶏の旨味と牛乳のコクが溶け合った、やさしい味わいのだしを楽しめる。
どう作るのか
好みの季節の野菜や鶏肉などの具材を鍋に入れ、牛乳とだし汁で煮込む。近年は牛乳の代わりに豆乳を加えた「大和鍋」という、まろやかでヘルシーな新しいアレンジも広まっているという。年間を通して食べられるが、特に冬場は体が温まるために食べる機会が増える。季節ごとに異なる野菜を選べるため、年間を通してさまざまな味わいを楽しめるという。
なぜこの形になったのか
飛鳥時代に唐から来た使者が乳製品を伝え、これを喜んだ天皇のもとで乳牛が飼われるようになったのが日本における牛乳飲用の始まりと伝わる。当時は貴族の飲み物だったが、僧侶がひそかに口にするうちに、飼っていた鶏の肉を牛乳で煮て食べるようになったのがこの鍋の起源だという。牛乳が高価だった時代にはヤギの乳が代用され、昭和初期になって地域の産品である牛乳を使う今のかたちが考案されたとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
使われる
同じ奈良県
- あまごの甘露煮渓流の女王とも呼ばれるアマゴを素焼きにし、ほうじ茶で煮てから醤油とみりんで甘辛く煮含める吉野郡・宇陀郡の料理。クセのない川魚とされ、古くから家庭で作られてきたおふくろの味という。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。
- いもぼたうるち米に里芋を炊き込んでつぶし、小豆あんで包んだ奈良のぼた餅。もち米が貴重だった頃、里芋の粘りでもち米のような食感を出したとされ、収穫を終えた十一月の亥の日に仏壇へ供える地域が多い。