揚げもの ── 揚げ物
れんこんのはさみ揚げ
Renkon no Hasami-age
輪切りのれんこんに具材を挟んで揚げた一品。霞ヶ浦・北浦周辺のれんこん産地・行方市で、豊富に穫れるれんこんを日々の惣菜として食べ尽くす食べ方の一つとして紹介されている、土地の恵みを生かした一皿である。
- 発祥: 茨城県行方市
- 東京から北東へ約70km
茨城県行方市
系譜
何でできているか
輪切りにしたれんこんに具材を挟み、衣をつけて揚げる。表面はかりっと揚がり、噛むとれんこん特有のしゃきしゃきとした歯ざわりが最初に来て、挟んだ具材のやわらかさとの対比が楽しめる。れんこんの穴に具が入り込むことで、断面に模様のような層ができるのも見た目の面白さとされ、切り口を見せて盛りつける店も多いという。
どう作るのか
れんこんを厚めの輪切りにし、間に具材を挟んでから衣をつけて油で揚げる。れんこんはあらかじめ酢水にさらして変色を防ぎ、繊維を断つように薄く切ることでかみ切りやすく仕上げるとされる。地元では煮物の具材としても使われるほか、はさみ揚げにして揚げたてを味わう食べ方が親しまれているといい、行方市の直売所では加工品として販売されることもあるという。
なぜこの形になったのか
霞ヶ浦・北浦周辺に広がる行方市はれんこんの一大産地で、地元の食べ方として煮物と並んではさみ揚げが紹介されている。水はけのよい低湿地という土地条件がれんこん栽培に適しており、豊富に穫れるれんこんを日々の惣菜として食べ尽くす工夫の一つが、この揚げ物の形になったとみられる。全国有数の産地だからこそ日常の惣菜になり得た、土地の恵みがそのまま形になった料理といえる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
兄弟
使う
- 煮合い水戸市東部の下市地方に伝わる、れんこんやごぼうを炒めてだしと醤油で煮て、仕上げに酢を回しかける料理。名は「煮て和える」からと伝わる。仏事では人参を抜き白く仕上げる作法もある。
- 小倉れんこん輪切りにしたれんこんの穴に小豆を詰めて甘く煮た正月料理。じっくり煮込むと筑波山が夕陽に赤く染まる様子から「紫峰色」と呼ばれる色に仕上がる。穴が見通せる縁起物として食べられる。
- れんこんのきんぴら国内生産量日本一を誇る霞ヶ浦周辺のれんこんを、ごぼうや人参とともに太めに切って甘辛く炒めたきんぴら。ふたをせずさっと仕上げることで、シャキシャキとした食感を残すのが特徴。
- わかさぎとれんこんの酢漬け霞ヶ浦でとれる小魚のワカサギを揚げ、薄切りのれんこんとともに甘酢に漬け込む料理。骨まで丸ごと食べられる手軽さと、酢の効いたさっぱりした後味が特徴。柚子の皮を添えて香りを添えることもある。
対比
同じ茨城県
- 赤餅赤みを帯びたもろこし粉を湯で練り、だんご状にゆでてあんこやきなこをまぶす餅。稲や小麦が育ちにくい水害の多い地域で、もろこしだけが被害を免れたことから主食代わりに食べられてきた。
- あんこう鍋あんこうの身や皮、肝、胃袋などを野菜と煮る、茨城県北の冬の鍋。漁師が船上で食べたどぶ汁を、食べやすく仕上げたものとされる。味噌仕立てと醤油仕立てがある。旬は11月から3月ごろにあたる。
- あんこうの共酢ゆでたアンコウの身やヒレ、肝など複数の部位を、肝を練り込んだ酢味噌につけて食べる北部地域の冬の料理。西のフグ東のアンコウと並び称される茨城の冬の味覚として親しまれる。
- がりがりなます大根を「鬼おろし」という竹製のおろし器で粗くガリガリとすりおろし、酢漬けの魚と和えるなます。粗い食感が身上で、正月など人が集まる席でよく振る舞われてきた。ボラやコイが使われることもある。
- 五目いなりずし油揚げに、人参やごぼう、しいたけを混ぜ込んだ酢飯を詰めたいなりずし。笠間稲荷神社の門前町・笠間市では、そばやくるみも加えた華やかな具で古くから参詣客をもてなしてきたと伝わる。
- ごさい漬け塩漬けにして発酵させたイワシと大根を、柚子と唐辛子とともに漬け込む鹿行地域の冬の保存食。近年はイワシの水揚げが減り、代わりにサンマでつくられることが多くなっている。