揚げもの ── 揚げ物
揚げまき湯波の煮物
Agemaki Yuba no Nimono
生ゆばを重ねて棒状に巻き、輪切りにして油で揚げた「揚げまき湯波」を、薄味でじっくり煮た日光の郷土料理。表面が波打つ日光ゆばの技法を生かし、正月や祝いの席にも欠かせない。
- 発祥: 栃木県日光市
- 東京から北へ約120km
栃木県日光市
何でできているか
生湯波を重ねて棒状に巻き、輪切りにして油で揚げた「揚げまき湯波」を、だし汁と醤油・みりん・砂糖で薄味に煮含めた日光の郷土料理とされる。湯波と油の相性のよさに、だしの効いた優しい甘辛さが加わり、汁まで飲み干したくなる味わいに仕上がる。彩りにほうれん草などの青み野菜を添えることが多い。手間はかかるが、家庭の味として今も大切に守られている。
どう作るのか
揚げまき湯波を沸騰した湯に入れ、落としぶたをして弱火で10〜15分ほど煮てから、静かに水を注いで湯を洗い流し、ざるに上げて水気を切る。別の鍋でだし汁と調味料を煮立て、湯波を入れて落としぶたをしながら弱火で20分ほど煮含める。前日に煮ておくと味がよりしみ込むとされる。派手さはないが、体に染みる滋味深い一皿として好まれている。
なぜこの形になったのか
ゆばは唐からの留学僧によって精進料理の材料として伝えられ、肉食を忌む修験者の食から庶民へと広まったとされる。日光東照宮の例大祭の供え膳に使われるなど古くからこの地に根づき、乾燥ゆばの一種である揚げまき湯波は、湯波と油の相性のよさから、ふるさとの味として各家庭で親しまれてきたという。素朴でありながら、季節を映す味わいとして重んじられてきた。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ栃木県
- あいその甘露煮那珂川や鬼怒川で春の産卵期に群れるウグイを、あいそと呼び、弱火で長時間かけて骨まで柔らかく甘露煮にする。冷蔵庫が普及する前、川魚が貴重なたんぱく源だった内陸県の料理。
- 鮎めし那珂川など鮎の獲れる川筋で、素焼きにした鮎を米と一緒に炊き込む混ぜごはん。祭りや農作業の休みなど特別な日につくられ、余った鮎は串に刺して囲炉裏端に吊るし保存したという。
- 板台餅/ばんだい餅日光市栗山地区に伝わる、うるち米を硬めに炊いてつく餅。山小屋の板の上で斧の峰などで叩いてついたことから「板台餅」と呼ばれ、味噌だれやあんこ、じゅうねなど地域ごとの食べ方が残る。
- ばっとう汁・だんご汁(すいとん)季節の野菜を煮た味噌汁に、練った小麦粉を手でちぎり入れただんご汁。地域によって「はっとう汁」「だんご汁」と呼び名が変わり、米が足りない時の日常食として親しまれてきた。
- ちたけとなすの油炒め裂くと乳白色の汁が出るきのこ・ちたけを、なすとともに油で炒めた料理。里山の管理とともに8月ごろだけとれる希少なきのこで、うどんやそばのだしにも使われる栃木ならではの味覚。
- ちたけうどん栃木県で盆の頃に食べられる、ちたけ(乳茸)となすを炒めただし汁にうどんを入れる料理という。盆行事で打たれるうどんと、夏にだけ採れるきのこが重なって生まれた一杯とされる。