揚げもの ── 揚げ物
がね
Gane
さつまいもと野菜を太めの千切りにし、かにの姿に見立てて揚げた鹿児島の郷土料理。さつまいもが鹿児島弁で「がね」と呼ばれるかにに似ていることが名前の由来とされ、おやつとしても親しまれてきた。
- 発祥: 鹿児島県
- 東京から南西へ約970km
鹿児島県
系譜
何でできているか
太めの千切りにしたさつまいもと野菜を、衣でまとめてかにの姿のように揚げる。放射状に広げられた具材の先端がかりっと軽く揚がる一方、中心部はいもの甘みがしっとりと残り、一つの揚げ物の中で食感の差がはっきり味わえる。甘めの衣が油の香ばしさと混じり合い、おやつのような感覚でも食べられ、子どものおやつとしても親から子へ受け継がれてきたとされる。
どう作るのか
さつまいもと人参を太めの千切りにし、小麦粉・もち米粉・砂糖・卵などを合わせた衣にくぐらせる。木杓子で具を横長のかにの姿のように整え、菜箸で放射状に広げながら170度の油でじっくり揚げる。地域によっては黒砂糖やそば粉を混ぜて風味を変える作り方もあるといい、家庭ごとに受け継がれた配合の違いが味の個性になっているという。
なぜこの形になったのか
さつまいもの見た目が鹿児島弁で「がね」と呼ばれるかにに似ていることが名前の由来とされる。さつまいもは1698年に琉球から種子島へ伝わり、1705年に鹿児島県全域に広まったとされ、この普及が地域の食文化の基盤になったといわれる。痩せた土地でもよく育つさつまいもを、揚げ物として日常に取り入れる知恵が息づいており、かつては「孝行芋」とも呼ばれるほど生活を支えた作物だったと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ鹿児島県
- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
- 豚汁豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。