麺 ── うどん
煮ぼうとう
Nibouto
埼玉県深谷市に伝わる、幅広く平たい生麺を茹でずにそのまま汁に入れて煮込むうどんという。溶け出した打ち粉が汁にとろみをつけ、山梨のほうとうとは違う醤油仕立てに仕上がるとされる。
- 発祥: 埼玉県深谷市
- 東京から北西へ約70km
埼玉県深谷市
系譜
煮ぼうとう埼玉のうどん
何でできているか
主材料は小麦粉を練った幅広の平たい麺と、深谷名産のねぎをはじめとする大根・にんじん・白菜・鶏肉・油揚げなど冬野菜である。麺は下茹でせず生のまま汁に入れるため、打ち粉が溶け出して汁全体にとろみがつく。味付けは醤油ベースで、とろみのついた熱い汁ごとすすると体が芯から温まるという。冬の日常食として親しまれてきたとされる。
どう作るのか
薄く延ばした幅広の生麺を用意する。鍋で野菜をじっくり油で炒めてからだし汁を注ぎ、柔らかくなったところへ生麺をそのまま入れて煮込んでいく。同じ埼玉県から山梨に伝わる「ほうとう」と製法はよく似るが、味噌ではなく醤油で仕立てる点が異なるという。煮込むほどに汁と麺がひとつに馴染んでいき、仕上げに深谷ねぎをたっぷりのせるのが地元の流儀とされる。
なぜこの形になったのか
稲作の裏作として小麦を多く産していた埼玉県では、各地に多様なうどんが生まれたと伝わる。深谷では名産のねぎをたっぷり使い、冬に体を温める日常食として定着した。実業家・渋沢栄一が愛したとも伝えられ、地元では今も学校給食を通じて子どもたちに世代を超えて親しまれ、深谷の郷土の味として大切に受け継がれ、家庭の食卓にも欠かせない存在だと今も語り継がれている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ埼玉県
- 酒粕味噌ラーメン上尾市の老舗酒蔵が造る酒粕を、地元の中華料理店の味噌スープに溶かし込んだ冬季限定のラーメン。酒粕のコクと風味が味噌のうまみに重なり、寒い時期に体を温めるまろやかな後味を残す。
- どじょう煮荒川や利根川の恵みを受ける埼玉東部で、田んぼで捕れたどじょうをささがきごぼうと甘辛く煮付けた一品。栄養豊富で滋養強壮によいとされ、妊婦の栄養源としても重んじられてきた。
- 行田フライ埼玉県行田市周辺に伝わる「フライ」は、揚げ物ではなく焼き物。水で溶いた小麦粉の生地にネギや豚肉をのせて鉄板で焼く、お好み焼きに似た軽食で、足袋工場で働く女工に広まったとされる。
- 東松山やきとり豚のカシラ肉を炭火で焼き、辛味噌だれを付けて食べる。
- 冷や汁すり鉢でごまと味噌をすり、きゅうりや大葉などの夏野菜と冷水を合わせたつけ汁。うどん文化が根づく埼玉ではうどんのつけ汁として重宝され、川島町では「すったて」と呼ぶ。
- いがまんじゅうあんこ入りの田舎まんじゅうを赤飯でくるんで蒸した、鴻巣市発祥とされるハレの日の菓子。栗のイガのような見た目が名の由来で、甘じょっぱさともちもちした食感が持ち味。