麺 ── うどん
加須うどん
Kazo Udon
利根川の渡し場や總願寺の門前で参拝客をもてなしたことに始まるとされる埼玉県加須市のうどん。通常より多く踏み込み、寝かせることでコシを引き出す。
- 発祥: 埼玉県加須市
- 東京から北へ約50km
埼玉県加須市
系譜
加須うどん埼玉のうどん
何でできているか
太さは季節でも変わり、夏は細めに、冬は「ひもかわ」と呼ばれる幅広麺になる。共通するのは、噛むとしっかり押し返してくる強いコシと、つるりとしたのどごしのよさ。もり仕立てで食べることが多く、あっさりとしたつゆに麺をくぐらせるたびに、小麦そのものの香りと弾力が際立ち、噛むほどに甘みがじんわりにじみ出てくる。
どう作るのか
生地を足で踏んでは畳むという作業を、ほかの土地のうどんより多く繰り返すのがこの土地の流儀。踏み込む回数を増やし、寝かせる時間も長くとることで、コシとのどごしを強めに引き出す。塩加減や水加減、麺の太さは季節によって細かく微調整し、冷水でしっかりしめて水気をよく切ってから、あっさり味のつゆにつけて食べる。茹で上がった麺は一本一本が張りを持ち、箸で持ち上げてもぴんと形を保つ。
なぜこの形になったのか
一説によると、利根川の渡し場や總願寺の門前で、行き交う旅人や参拝客をもてなしたのがこの地のうどんの始まりとされる。関東平野の一角にあるこの地域は昔から小麦づくりが盛んで、麦の収穫期には「朝まんじゅう、昼うどん」と言われるほど日常的にうどんが食べられてきた。通常より多く踏み込みしっかり寝かせる作業の積み重ねは、身近な小麦を使い倒す土地の暮らしぶりがそのまま形になったものと読める。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ埼玉県
- 酒粕味噌ラーメン上尾市の老舗酒蔵が造る酒粕を、地元の中華料理店の味噌スープに溶かし込んだ冬季限定のラーメン。酒粕のコクと風味が味噌のうまみに重なり、寒い時期に体を温めるまろやかな後味を残す。
- どじょう煮荒川や利根川の恵みを受ける埼玉東部で、田んぼで捕れたどじょうをささがきごぼうと甘辛く煮付けた一品。栄養豊富で滋養強壮によいとされ、妊婦の栄養源としても重んじられてきた。
- 行田フライ埼玉県行田市周辺に伝わる「フライ」は、揚げ物ではなく焼き物。水で溶いた小麦粉の生地にネギや豚肉をのせて鉄板で焼く、お好み焼きに似た軽食で、足袋工場で働く女工に広まったとされる。
- 東松山やきとり豚のカシラ肉を炭火で焼き、辛味噌だれを付けて食べる。
- 冷や汁すり鉢でごまと味噌をすり、きゅうりや大葉などの夏野菜と冷水を合わせたつけ汁。うどん文化が根づく埼玉ではうどんのつけ汁として重宝され、川島町では「すったて」と呼ぶ。
- いがまんじゅうあんこ入りの田舎まんじゅうを赤飯でくるんで蒸した、鴻巣市発祥とされるハレの日の菓子。栗のイガのような見た目が名の由来で、甘じょっぱさともちもちした食感が持ち味。