発酵・保存 ── 漬物
奈良漬け
Nara-zuke
塩漬けにしたしろうりなどを熟成させた酒粕に繰り返し漬け替える、粕漬けの代名詞とされる漬物。あめ色に仕上がるまで漬け替えを重ねる、手間のかかる製法で古くから知られている。
- 発祥: 奈良県奈良市
- 東京から西へ約380km
奈良県奈良市
系譜
奈良漬け
何でできているか
主に使われるのはしろうりで、塩漬けにしたあと熟成させた酒粕に漬け込む。酒粕の糖分とうまみが少しずつ染み込むことで、あめ色をした芳醇な味わいの漬物に仕上がるという。漬物以外で食べられることの少ないしろうりが、粕漬けの主役として使われてきた。奈良漬けは全日本漬物協同組合連合会も「粕漬けの代名詞」と位置づけている。
どう作るのか
塩漬けにして水分を抜いたしろうりを、熟成させた酒粕に漬け込む。ここで終わらず、酒粕を新しいものに漬け替える工程を繰り返すのが特徴とされ、その手間によって色とうまみが少しずつ深まっていくという。仕上がりまでには長い月日がかかるため、家庭よりも専門の漬物業者がつくることが多いとみられ、切り分けると断面のあめ色が際立つ。
なぜこの形になったのか
奈良は日本最古の漬物の記録が残る土地とされ、正倉院に伝わる750年の文書には塩漬けの野菜「須須保利」の記述があるという。平安時代の『延喜式』には塩漬け・醤漬け・酢漬け・粕漬けなど20種類を超える漬物の記載が残るといい、古くからの保存食文化を土台に、酒粕を使った漬け替えの手間を惜しまない製法が根づいていったとみられている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ奈良県
- あまごの甘露煮渓流の女王とも呼ばれるアマゴを素焼きにし、ほうじ茶で煮てから醤油とみりんで甘辛く煮含める吉野郡・宇陀郡の料理。クセのない川魚とされ、古くから家庭で作られてきたおふくろの味という。
- 飛鳥鍋鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。