麺 ── そば
祖谷そば
Iya Soba
徳島県三好市祖谷地方に伝わる、つなぎを使わない太めのそば。米作りに向かない山あいの土地で、栽培期間の短いそばが主食として根付いた。
- 発祥: 徳島県三好市東祖谷
- 東京から西へ約580km
徳島県三好市東祖谷
系譜
何でできているか
つなぎの小麦粉を使わない、そば粉だけの太めの麺。喉ごしよりも噛んだときの香りと歯ごたえを楽しむ作りで、箸で持ち上げるとぷつぷつと切れやすいのも十割ならではの性質として受け止められている。色はやや黒みがかり、そばの実そのものの風味が強く残るのも特徴で、噛むほどに山の香りが立つ。水はけのよい傾斜地で育つそばの実は小粒でしまりがあるといわれる。
どう作るのか
そば粉を熱湯でこねる、湯ごねに近い製法で生地をまとめ、つなぎなしでも生地がまとまりやすくする店が多い。太めに切った麺を熱いつゆやだしにくぐらせて食べる形が一般的で、冷たい水そばで香りを立たせる出し方もある。石臼でそばの実を挽くところから手掛ける店も残り、つなぎを持たない分、打ち手の技術が味を大きく左右するとも言われている。
なぜこの形になったのか
祖谷は集落内の高低差が数百メートルにも及ぶ急傾斜地で、平地の乏しさから水田を広げにくい土地とされる。栽培期間が短く痩せた土地でも育つそばが、稲作に頼れない山あいの暮らしを支える主食として根付いたと伝わる。傾斜地の畑で細々と育てられてきたそばが、今も土地の記憶として太い麺の中に残っている。急峻な斜面を切り開いた小さな畑が、今もそばの産地として点在している。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
兄弟
同じ徳島県
- 阿波晩茶徳島県那賀町・上勝町に伝わる、乳酸菌で発酵させる後発酵茶。夏以降に摘んだ硬めの葉を茹でて木桶に漬け込み、10日から2週間ほど乳酸発酵させたあと天日で干して作られ、爽やかな酸味を持つとされる。
- 阿波美豚標高400メートルの徳島県阿波市の山中で、米を中心とした飼料を与えて育てる豚。飼育担当者が日々飼料の配合を調整し、ストレスの少ない環境と遺伝子組み換え作物を避ける飼育を心がけているとされる。
- 阿波牛徳島県内で肥育される血統明確な黒毛和種。昭和37年の東京食肉市場での共励会出品を機に評価を高めたとされ、しっとりときめ細かな肉質と適度な脂が特徴という。格付けはA5・A4・B5・B4規格に限られるとされる。
- 阿波のいとこ煮一度ゆでてから干した「ゆで干し」のさつまいもを水で戻し、小豆と弱火で2時間ほど炊き合わせる。冬に乾物づくりが盛んな徳島らしく、うま味が凝縮した干し芋を使う体の温まる副菜とされる。
- 阿波ういろあんに上新粉や阿波和三盆などを加えて型に流し、蒸し上げるもちもちとした菓子。江戸期に阿波和三盆が完成した祝いにつくられ始めたとされ、名古屋や山口にも同系統のういろうがあるという。