惣菜
阿波のいとこ煮
Awa no Itokoni
一度ゆでてから干した「ゆで干し」のさつまいもを水で戻し、小豆と弱火で2時間ほど炊き合わせる。冬に乾物づくりが盛んな徳島らしく、うま味が凝縮した干し芋を使う体の温まる副菜とされる。
- 発祥: 徳島県
- 東京から西へ約510km
系譜
阿波のいとこ煮茶ごめ
何でできているか
一般的にかぼちゃで作られることが多い「いとこ煮」を、徳島ではゆで干しにしたさつまいもと小豆で仕立てる。干すことでうま味と甘みが凝縮された芋のねっとりとした食感に、小豆のほっくりとした食感とやさしい甘さが重なり、素朴で滋味深い味わいになる。干し芋には生のまま干す「白干し」と、一度ゆでてから干す「ゆで干し」があり、阿波のいとこ煮ではゆで干しを用いるという。
どう作るのか
ゆで干しした干し芋を水で戻し、小豆と塩少々とともに鍋に入れて弱火で2時間ほど炊き上げる。干し芋は煮えるまで時間がかかるため、小豆をあらかじめ別に煮ておき、後から合わせるのがコツとされる。芋の切り方やゆで加減、小豆の分量は家庭によって異なり、それぞれに個性が出る仕上がりになるという。保存がきくことから、大きな鍋にまとめて作る家庭が多かったと伝わる。
なぜこの形になったのか
冬になると空気が乾燥し、干し柿や切り干し大根、干し芋といった乾物づくりが盛んになる土地柄が背景にあるとされる。多くの家庭が芋を畑で育てていたことから、保存の知恵として干し芋にする習慣が根づき、それを使う料理として阿波のいとこ煮が生まれたと考えられる。ハレの日の食材であった小豆を用いることから、体と心を温める寒い時季の料理として親しまれてきたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ徳島県
- あめごのひらら焼き平たい石をかまどで数時間熱し、味噌で土手をつくってあめごや岩豆腐、こんにゃくを焼く祖谷地方の野外料理。平石を「ひらら」と呼ぶことが名の由来とされ、来客をもてなす料理として親しまれてきたという。
- 阿波晩茶徳島県那賀町・上勝町に伝わる、乳酸菌で発酵させる後発酵茶。夏以降に摘んだ硬めの葉を茹でて木桶に漬け込み、10日から2週間ほど乳酸発酵させたあと天日で干して作られ、爽やかな酸味を持つとされる。
- 阿波美豚標高400メートルの徳島県阿波市の山中で、米を中心とした飼料を与えて育てる豚。飼育担当者が日々飼料の配合を調整し、ストレスの少ない環境と遺伝子組み換え作物を避ける飼育を心がけているとされる。
- 阿波牛徳島県内で肥育される血統明確な黒毛和種。昭和37年の東京食肉市場での共励会出品を機に評価を高めたとされ、しっとりときめ細かな肉質と適度な脂が特徴という。格付けはA5・A4・B5・B4規格に限られるとされる。
- 阿波ういろあんに上新粉や阿波和三盆などを加えて型に流し、蒸し上げるもちもちとした菓子。江戸期に阿波和三盆が完成した祝いにつくられ始めたとされ、名古屋や山口にも同系統のういろうがあるという。
- 阿波尾鶏徳島に古くからいた赤笹系の軍鶏を改良・固定し、白色プリマスロックと交雑して作られたとされる。JAS規格の基準どおり75日以上かけて育てられ、出荷羽数は全国有数という。