麺 ── そば
越前おろしそば
Echizen Oroshi Soba
福井県越前市に伝わる、大根おろしと削り節をのせて食べる冷たいそば。城主が京都から呼んだそば職人が非常食としてそば栽培を奨励したのが始まりとされる。
- 発祥: 福井県越前市
- 東京から西へ約320km
福井県越前市
何でできているか
そばの実を殻ごと挽く「挽きぐるみ」粉を使う店が多く、色濃く香りの立つ生地になる。丼にはたっぷりの大根おろしとかつお節をのせ、だしか生醤油を直接そそいで箸で混ぜて食べる。地元では辛みの強い在来大根を使う店もあり、鼻に抜けるようなその辛さがそのままそばの決め手になる。玄そばを石臼で粗く挽く店もあり、粒の粗さが香りの立ち方に直結する。
どう作るのか
そばを茹でて冷水でしめ、丼に盛った上に大根おろしと削り節をのせてつゆをかける、あるいはそばに直接大根おろしと生醤油を落として和える食べ方が広まっている。大根の下ろし方やつゆの濃さは店ごとに違い、粗くおろすか細かくおろすかで口当たりも変わる。薬味にねぎを添える店も多く、つゆを先に少し飲んでから混ぜ始めるよう勧める店もあり、一杯ごとに表情が変わる。
なぜこの形になったのか
一説によると、1601年に領主・本多富正が京都から呼び寄せたそば職人・金子権左衛門が越前でそば作りを広めたのが始まりとされる。稲作に厳しい山がちな土地で救荒作物として奨励されたそばに、城下の医者と相談のうえ体を温める大根おろしを合わせる食べ方が考案されたと伝わる。土地の知恵が一杯の中に凝縮された形といえ、今も店ごとに大根の品種や辛みの強さにこだわりを持ち続けている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ福井県
- 厚揚げの煮たの湯抜きして十文字に切り込みを入れた厚揚げを、だしと醤油、みりんで甘辛く煮てしょうが汁を効かせる福井の日常菜。油揚げの消費量が全国有数の土地で、報恩講のごちそうから各家庭の定番になったと伝わる。
- ぼっかけ厚揚げやごぼう、糸こんにゃくを削り節のだしで煮て、炊きたてのごはんに汁ごとぶっかける福井の一品。大正初期から100年以上食べ継がれ、勝山ではかまぼこや三つ葉を添えたお茶漬け風にもすると伝わる。
- 茶飯炒った大豆を熱い豆入り番茶に浸し、その茶で米を炊き上げる今庄の一品。奈良の「奈良茶飯」が宿場町に伝わったとされ、仏事や報恩講の膳、里帰りする娘へのもてなしにも欠かせない味と伝わる。
- 長寿なますすった白ごまに味噌と厚揚げ、からしと酢を練り合わせ、千切り大根や人参、さやえんどうを和える福井の正月なます。名前の通り長生きを願う縁起物とされ、法事や報恩講の膳にも並ぶという。
- でっち羊かんこしあんに寒天と砂糖、塩を溶かして固める、水羊かんに近い福井の冬の菓子。京都へ丁稚奉公に出た若者が正月に持ち帰った羊かんを水で伸ばして配ったのが始まりと伝わり、こたつで食べるのが定番という。
- 麩の辛し和えもどした角麩と塩もみきゅうりを、地からしと味噌、酢で和える報恩講の精進料理。福井の地からしは油を抜かずに丸ごと粉にした独特の香りで、越前市産の赤く色づく角麩が彩りを添えると伝わる。