麺 ── そば
出雲そば
Izumo Soba
そばの実を殻ごと挽く「挽きぐるみ」製法で作られる島根県のそば。丸い漆器の「割子」に何段も盛る割子そばと、出雲大社周辺で振る舞われた釜揚げそばの二つの食べ方がある。
- 発祥: 島根県出雲市
- 東京から西へ約640km
島根県出雲市
何でできているか
そばの実を殻ごと挽く「挽きぐるみ」という製法でそば粉にするため、色が濃く香りと風味が強い。丸い漆器の「割子」に一段ずつそばを盛り、上から直接つゆと薬味をかけて食べる冷たい形と、茹で湯ごと器に盛る温かい「釜揚げそば」という、系統の違う二つの食べ方が今も併存している。二つの食べ方が併存していること自体が、出雲そばの懐の深さを物語っている。
どう作るのか
割子そばは丸い漆器を三段ほど重ね、一段食べ終えるごとに残ったつゆを次の段に移しながら食べ進める。釜揚げそばは茹でた湯を切らずにそのまま丼へ盛り、そばつゆと薬味を加えて味わう。どちらも殻ごと挽いた粉ならではの濃い色と強い香りを前面に出す食べ方といえる。薬味にはねぎや海苔、もみじおろしを添える店が多く、器の朱色とそばの濃い色の対比も目を引く。
なぜこの形になったのか
釜揚げそばは、かつて出雲大社の周辺で参拝客に振る舞われていたと伝わる食べ方で、門前のもてなし料理としての性格が今も残る。挽きぐるみで香りを強く出す製法も、そば自体の風味をつゆより前に出す土地の好みを映していると考えられる。甘皮ごと挽くため香りが強く、噛むほどにそばの実の風味が続くのがこのそばの持ち味とされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
- 沖縄そば明治中期、那覇で唐人が営むそば屋から始まり、比嘉某の店が具に卵焼きを添えるなど工夫を重ねて広まった。かつては「がじゅまる」等を燃やした木灰を麺のつなぎに使っていたが、戦後に県民食として定着し、「沖縄そば」の名称は1972年頃に定着したとされる。
- 伊勢うどん伊勢神宮の参拝客をもてなす茶店で提供されてきたうどん。極太で柔らかい麺に、たまり醤油ベースの黒く濃いたれをからめて食べる。
- 越前おろしそば福井県越前市に伝わる、大根おろしと削り節をのせて食べる冷たいそば。城主が京都から呼んだそば職人が非常食としてそば栽培を奨励したのが始まりとされる。
- 対州そば長崎県対馬に伝わる、小粒な在来種のそばという。離島ゆえに他品種との交雑が少なく原種の性質を保ち、打つと強いコシとほのかな苦みが出るとされる。2018年にはそばで日本初のGI登録を受けた。
- 三瓶そば島根県大田市三瓶町・山口町で栽培されてきた在来種のそばという。小粒で引き締まり、苦味の強さに由来する深い味わいが特徴とされ、全国の製粉会社やそば屋から評価されている。
- 挽きぐるみそばの実を、一番粉・二番粉といった段階に取り分けずまるごと挽く製法、またはその粉で打ったそば。殻に近い部分まで挽き込むため色が濃く、香りが強く出るとされる。更科粉とは対極の考え方の粉になるという。
同じ島根県
- あご野焼きトビウオ(あご)のすり身を串を使わず焼き上げた出雲地方の野焼き。パリッとした表面と上品な甘みが、島根の定番土産として好まれているという。焼き上げる際に立つ香ばしいにおいも魅力のひとつという。
- アゴの子旨煮初夏にとれる子持ちトビウオの卵、アゴの子を出汁と醤油で炒め煮にした隠岐の酒の肴。粒が大きくねっとりとした食感が特徴で、しょうがを添えると魚卵特有のクセが和らぐという。
- 赤貝がらん蒸し中海でとれるサルボウガイ(赤貝)を殻ごと醤油だしで蒸す出雲地方の料理。別名「赤貝の殻蒸し」。殻を洗う音や「殻」がなまったことが名の由来ともいわれ、正月料理として親しまれてきたという。既存の「akagai」は食材ページで、本品は調理された郷土料理のため新規作成。
- 小豆雑煮甘さを控えて煮た小豆に丸餅を入れた雑煮で、あっさりとした味わいが「ぜんざい」に近いとされる。出雲地方では元旦のすまし雑煮に続き、正月二日から食べる家庭もあるという。広域の伝承のため出雲市を代表点とした。
- ばくだんおにぎり隠岐でとれる香り高い岩のりを軽くあぶり、醤油を塗って丸く大きなおにぎりを覆うように巻いた一品。見た目の豪快さから「ばくだん」と呼ばれ、弁当やおやつとして食べられている。出雲地方にも伝わる広域の料理。
- ドジョウのけんちんじる安来市に伝わる、ドジョウをごぼうや大根、しいたけと一緒にすまし汁仕立てで煮たけんちん汁。「ウナギ一匹ドジョウ一匹」と言われる養生食で、田植え後の泥落としに食べられたという。既存の「dojo」は食材ページで、本品は調理された郷土料理のため新規作成。