生食
長寿なます
Choju Namasu
すった白ごまに味噌と厚揚げ、からしと酢を練り合わせ、千切り大根や人参、さやえんどうを和える福井の正月なます。名前の通り長生きを願う縁起物とされ、法事や報恩講の膳にも並ぶという。
- 発祥: 福井県
- 東京から西へ約320km
系譜
長寿なます
何でできているか
大根と人参を、すりごまと厚揚げを練り込んだ味噌ベースの衣で和えた一品で、酢と辛子の効いた酸味と、ごまのこくのある香ばしさが重なり合うという。シャキッとした野菜の歯ごたえに、練り上げた衣のなめらかさが絡み、名前のとおり長生きを願う縁起物としての存在感があると伝わる。敦賀の一部地域には千切り油揚げを使う別系統の味わいもあるそうだ。
どう作るのか
炒った白ごまを油が出るまですり鉢でよくすり、味噌と砂糖を加えてなめらかにし、焼いて刻んだ厚揚げとからし、酢を加えてさらに根気よくすり混ぜるという。そこへ塩もみした大根と人参、色よくゆでたさやえんどうを和えるそうだ。敦賀の五幡と挙野の二地区では油揚げやねぎを使う「こっぱなます」がつくられ、名前は削り屑に似た大根の形に由来するといわれる。
なぜこの形になったのか
正月に食べすぎた胃腸を大根の酵素が整えるとされ、栄養価の高い人参や、たんぱく質豊富な厚揚げ、健康的とされるごまを合わせたこの料理が、長寿を願う縁起物として正月に欠かせない一皿になったとされる。法事や報恩講でも食される、体をいたわる実用性と願掛けを兼ね備えた献立として代々受け継がれてきたといわれている。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ福井県
- 厚揚げの煮たの湯抜きして十文字に切り込みを入れた厚揚げを、だしと醤油、みりんで甘辛く煮てしょうが汁を効かせる福井の日常菜。油揚げの消費量が全国有数の土地で、報恩講のごちそうから各家庭の定番になったと伝わる。
- ぼっかけ厚揚げやごぼう、糸こんにゃくを削り節のだしで煮て、炊きたてのごはんに汁ごとぶっかける福井の一品。大正初期から100年以上食べ継がれ、勝山ではかまぼこや三つ葉を添えたお茶漬け風にもすると伝わる。
- 茶飯炒った大豆を熱い豆入り番茶に浸し、その茶で米を炊き上げる今庄の一品。奈良の「奈良茶飯」が宿場町に伝わったとされ、仏事や報恩講の膳、里帰りする娘へのもてなしにも欠かせない味と伝わる。
- でっち羊かんこしあんに寒天と砂糖、塩を溶かして固める、水羊かんに近い福井の冬の菓子。京都へ丁稚奉公に出た若者が正月に持ち帰った羊かんを水で伸ばして配ったのが始まりと伝わり、こたつで食べるのが定番という。
- 越前おろしそば福井県越前市に伝わる、大根おろしと削り節をのせて食べる冷たいそば。城主が京都から呼んだそば職人が非常食としてそば栽培を奨励したのが始まりとされる。
- 麩の辛し和えもどした角麩と塩もみきゅうりを、地からしと味噌、酢で和える報恩講の精進料理。福井の地からしは油を抜かずに丸ごと粉にした独特の香りで、越前市産の赤く色づく角麩が彩りを添えると伝わる。