生食
蛸もみうり
Tako Momiuri
小口切りのきゅうりを塩でもみ、ゆでたこと酢で和える奈良の料理。田植えを終えて田の神に感謝する早苗饗に、大地にしっかり吸い付くタコにあやかり苗がよくつくよう願って作られてきたとされる。
- 発祥: 奈良県
- 東京から西へ約380km
何でできているか
小口切りにしたきゅうりをタコと合わせた酢の物で、奈良県全域に伝わる。塩でもんでやわらかくしたきゅうりのしゃきしゃきとした食感と、タコの弾力ある歯ごたえが、さっぱりとした酢の風味とよく合う。夏の定番の家庭料理として親しまれてきたという。タコは縁起のよい食材とされ、結婚式や宮参りなどハレの日にもよく食されている。
どう作るのか
小口切りにしたきゅうりを塩でもみ、やわらかくなったところでタコと和え、酢で味を調える。タコの代わりに、両面をあぶって千切りにした油揚げを使う「もみうり」もあるという。夏野菜のきゅうりを使うことから、夏に食べられることが多い。現在のきゅうりでは軽く塩もみするだけでよいが、昔は肉質のかたいきゅうりが多かったという。
なぜこの形になったのか
田植えを終えて田の神に感謝し、秋の豊作を祈る「早苗饗」の際、吸盤で吸い付くタコにあやかって田の苗がしっかり根付くようにとの願いを込めてタコを加えるようになったとされる。タコは縁起のよい食材とされ、結婚式や宮参りなど祝いの席でもよく食されてきたという。昔は肉質のかたいきゅうりが多かったため、柔らかくなるまで塩もみしていたと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ奈良県
- あまごの甘露煮渓流の女王とも呼ばれるアマゴを素焼きにし、ほうじ茶で煮てから醤油とみりんで甘辛く煮含める吉野郡・宇陀郡の料理。クセのない川魚とされ、古くから家庭で作られてきたおふくろの味という。
- 飛鳥鍋鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。