麺 ── ラーメン
富山ブラック
Toyama Black
真っ黒な濃口醤油スープに粗挽き胡椒。白飯と食べる前提の濃さで生まれた。
- 発祥: 富山県富山市
- 醤油
- 東京から北西へ約260km
富山県富山市
何でできているか
丼を覗くと、スープはほとんど黒に近い濃口醤油の色をしている。粗く挽いた黒胡椒がぴりっとアクセントを添え、極太のストレート麺がその濃さを受け止める。ひと口すすると塩気がまっすぐ来て、白飯を隣に置きたくなる濃さ。脇に添えられた白飯は、添え物というより一杯の一部として扱われている。麺よりも先に汁を数口飲ませるほどの塩気の強さが、この一杯の芯にある。
どう作るのか
濃口醤油をそのまま色に映すように、控えめに薄めてスープを仕立てるのがこの一杯の作り方とされる。出汁を丸くぼかすより、醤油の色と塩気を前面に出す配合が選ばれてきたと伝わる。仕上げに粗挽きの黒胡椒をたっぷりとふり、極太麺で受け止めることで、薄まらずに最後まで濃い味わいが続く。麺を太くすることで、濃いスープに負けない存在感を確保しているとも言える。
なぜこの形になったのか
一説によると、始まりは1955年ごろ、戦災からの復興工事に従事する肉体労働者のための一杯だったという。汗を大量にかく仕事のあと、塩分を手早く補える濃い味が求められたと考えられる。屋台で出されていたこの一杯が、白飯と合わせて食べる前提の塩気の強さを保ったまま、今の形に育ったと読める。ラーメンでありながらおかずとして機能する濃さは、働く体への実用的な答えだったのだろう。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ富山県
- ばいの煮もの富山湾の深海にすむ巻貝バイを、殻ごと出汁で煮る。「めでたいことが倍になる」という語呂から祝いの席に登場するとされ、小ぶりなツバイは煮物、大ぶりなものは刺身で食べ分けられる。
- べっこう煮溶かした寒天に醤油とみりんで味をつけ、卵を糸を引くように流し込んで固める。あめ色に卵がむら雲のように散る見た目が鼈甲のかんざしに似ることが名の由来とされ、県西部では「ゆべし」とも呼ぶ。
- ぶりしゃぶ薄くそぎ切りにしたブリを昆布だしにさっとくぐらせて食べる。表面だけ火が入り中はレアな状態になるとされ、氷見漁港で揚がる「ひみ寒ぶり」を使ったものは特に贅沢な冬のご馳走とされる。
- げんげの味噌汁ゼラチン質に覆われた深海魚ゲンゲを、ぶつ切りにして味噌汁にする。甘エビ漁に混じって揚がる厄介者として扱われてきたが、身の美味しさが見直され漁村の外にも広まってきたとされる。
- 氷見うどん富山県氷見市で江戸時代中期、輪島の素麺の技法を取り入れて作られ始めた手延べうどん。加賀藩への献上品でもあった。
- 報恩講料理親鸞聖人の命日に営む報恩講の膳に並ぶ料理の総称で、その年よく出来た野菜や山菜を普段用とは別にとっておく習わしがあるとされる。信仰の篤い南砺市の五箇山地区では、干し山菜や五箇山豆腐などで具だくさんの煮物が作られる。