惣菜
ばいの煮もの
Bai no Nimono
富山湾の深海にすむ巻貝バイを、殻ごと出汁で煮る。「めでたいことが倍になる」という語呂から祝いの席に登場するとされ、小ぶりなツバイは煮物、大ぶりなものは刺身で食べ分けられる。
- 発祥: 富山県
- 東京から北西へ約260km
何でできているか
巻貝の一種バイ貝を殻ごと甘辛く煮上げた一品。殻の中で煮詰まった身は弾力がありながらもやわらかく、噛むとバイ貝ならではの濃厚な旨みがじゅわりと広がる。煮汁が染み込んだ身と、つるりとした食感の肝の部分がまた違った味わいで、殻ごと煮ることでうまみを逃さず存分に堪能できるとされ、酒の肴にもよく合う一品とされる。
どう作るのか
鍋にバイ貝と水を入れて火にかけ、煮立ったら中火にしてゆでる。水にさらしながら殻の汚れをきれいに落とす。鍋に合わせだしとバイ貝を入れ、あくを取りながら殻が割れないよう静かに煮てゆく。身が硬くならないよう煮すぎないのが肝心という。食べる際は楊枝などで身をひねりながら肝の先まで丁寧に取り出すとよいとされている。
なぜこの形になったのか
複数の種類の巻貝が同じ漁場でまとまってとれる湾に恵まれた土地では、バイ貝が普段から食べられる身近な食材として根づいてきたと伝わる。語呂合わせから縁起のよい食材ともされ、祝いの席や祭事の宴に登場することが多いとされる。殻ごと味わう調理法は、獲れたての貝の風味を余さず生かす工夫として続いてきたと伝わっている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ富山県
- べっこう煮溶かした寒天に醤油とみりんで味をつけ、卵を糸を引くように流し込んで固める。あめ色に卵がむら雲のように散る見た目が鼈甲のかんざしに似ることが名の由来とされ、県西部では「ゆべし」とも呼ぶ。
- ぶりしゃぶ薄くそぎ切りにしたブリを昆布だしにさっとくぐらせて食べる。表面だけ火が入り中はレアな状態になるとされ、氷見漁港で揚がる「ひみ寒ぶり」を使ったものは特に贅沢な冬のご馳走とされる。
- げんげの味噌汁ゼラチン質に覆われた深海魚ゲンゲを、ぶつ切りにして味噌汁にする。甘エビ漁に混じって揚がる厄介者として扱われてきたが、身の美味しさが見直され漁村の外にも広まってきたとされる。
- 氷見うどん富山県氷見市で江戸時代中期、輪島の素麺の技法を取り入れて作られ始めた手延べうどん。加賀藩への献上品でもあった。
- 報恩講料理親鸞聖人の命日に営む報恩講の膳に並ぶ料理の総称で、その年よく出来た野菜や山菜を普段用とは別にとっておく習わしがあるとされる。信仰の篤い南砺市の五箇山地区では、干し山菜や五箇山豆腐などで具だくさんの煮物が作られる。
- ほたるいかの酢味噌和えゆでて目を取ったホタルイカに、ワケギを添えて辛子酢味噌をかける。3月に富山湾沿岸へ産卵のため群れで浮かび上がるホタルイカを使う春の一皿で、江戸期にはすでに漁が行われていたとされる。