惣菜
べっこう
Bekko
煮溶かした寒天に醤油とみりんで味をつけ、卵を糸を引くように流し込んで固める。あめ色に卵がむら雲のように散る見た目が鼈甲のかんざしに似ることが名の由来とされ、県西部では「ゆべし」とも呼ぶ。
- 発祥: 富山県
- 東京から北西へ約260km
系譜
べっこうえびす
何でできているか
溶き卵を流し入れた醤油風味の寒天寄せ。あめ色の寒天の中に卵がむら雲のように散らばり、つるんとしたなめらかな口当たりとぷるんとした弾力を併せ持つ。噛むとほのかな甘みと醤油の香ばしさが広がり、地域によっては塩味で仕立てて白っぽく仕上げることもあるとされる。見た目とは裏腹に、上品でクセの少ない味わいとされている。
どう作るのか
棒寒天を30分ほど水に浸し、ちぎってよく絞る。鍋に水とともに入れ火にかけ、弱火でゆっくり煮溶かす。溶けたら醤油やみりんなどの調味料を加える。火を止めて溶きほぐしておいた卵を、糸を引くように静かに流し込み型に入れて冷やす。卵の流し込み方や量によって、切ったときの断面の表情が大きく変わってくるといわれている。
なぜこの形になったのか
昔は卵が貴重だったため、この寄せ物は特別な日にだけ味わえるごちそうとして愛されてきたと伝わる。あめ色の寒天に卵が散った見た目が、装身具に似ていることから今の名で呼ばれるようになったとされ、地域によって甘みを強めておやつとして楽しんだり、控えめな味付けでおかずに仕立てたりと違いが見られるとされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ富山県
- ばいの煮もの富山湾の深海にすむ巻貝バイを、殻ごと出汁で煮る。「めでたいことが倍になる」という語呂から祝いの席に登場するとされ、小ぶりなツバイは煮物、大ぶりなものは刺身で食べ分けられる。
- ぶりしゃぶ薄くそぎ切りにしたブリを昆布だしにさっとくぐらせて食べる。表面だけ火が入り中はレアな状態になるとされ、氷見漁港で揚がる「ひみ寒ぶり」を使ったものは特に贅沢な冬のご馳走とされる。
- げんげの味噌汁ゼラチン質に覆われた深海魚ゲンゲを、ぶつ切りにして味噌汁にする。甘エビ漁に混じって揚がる厄介者として扱われてきたが、身の美味しさが見直され漁村の外にも広まってきたとされる。
- 氷見うどん富山県氷見市で江戸時代中期、輪島の素麺の技法を取り入れて作られ始めた手延べうどん。加賀藩への献上品でもあった。
- 報恩講料理親鸞聖人の命日に営む報恩講の膳に並ぶ料理の総称で、その年よく出来た野菜や山菜を普段用とは別にとっておく習わしがあるとされる。信仰の篤い南砺市の五箇山地区では、干し山菜や五箇山豆腐などで具だくさんの煮物が作られる。
- ほたるいかの酢味噌和えゆでて目を取ったホタルイカに、ワケギを添えて辛子酢味噌をかける。3月に富山湾沿岸へ産卵のため群れで浮かび上がるホタルイカを使う春の一皿で、江戸期にはすでに漁が行われていたとされる。