麺 ── ラーメン
酒田ラーメン
Sakata Ramen
自家製麺の文化が根強い港町の醤油ラーメン。魚介の出汁を効かせる。
- 発祥: 山形県酒田市
- 醤油
- 東京から北へ約360km
山形県酒田市
何でできているか
まず鼻先に来るのは、煮干しやトビウオ、昆布からとった魚介出汁の香り。そこに動物系のだしを重ねているぶん、見た目は澄んでいるのに口に含むと実は奥行きがある。中細のちぢれ麺は自家製で加水率が高く、つるりとした喉ごしとプルプルとした弾力を両立させる。一杯あたり二百グラムを超える麺を盛る店も珍しくなく、丼の中で麺がスープに負けない存在感を放つ。
どう作るのか
港町の麺屋は自前の製麺室を持つのが当たり前で、市内の店のおよそ八割が自家製麺を打つという、全国でも珍しい比率だという。小麦を数種類ブレンドしたり、鉄の棒で生地を延ばしたりと、配合も道具も店ごとに違う。だからスープとの絡み方も一杯ごとに微妙に違って、同じ「酒田ラーメン」でも店を変えれば、まったく別の一杯に出会える。食べ比べを目的に何軒もはしごする客が絶えないのも、この違いがあるからだろう。
なぜこの形になったのか
起こりは大正の終わり頃、港に開いた中国人の食堂だったと伝わる。冷蔵の利かない時代、酒田の沖では煮干しやトビウオが安く大量に手に入り、それが出汁の主役になったという。原料の小麦粉も北前船の寄港地として港経由で入りやすかったといい、各店が自前で麺を打つ土壌がここで整った。魚の恵みと港の物流、その両方への応えとして、今の一杯があると読める。冷えた海風の中で、温かい一杯を作り続けてきた港町らしい知恵とも読める。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ山形県
- 赤湯辛味噌ラーメン味噌スープの中央に辛味噌を乗せ、溶かしながら味を変えて食べる。
- あけびの味噌詰め焼きほろ苦いあけびの皮に、ひき肉と舞茸を味噌と砂糖で煎り煮したものを詰め、タコ糸で結んで焼く秋の一品。全国では実の白い部分を食べるのが一般的だが、山形では皮を食べる珍しい食文化が根づいているという。
- どんがら汁寒の時季にとれる寒ダラを頭から内臓まで余さず味噌仕立ての汁にする、庄内の漁師料理が起こりとされる冬の一杯。あぶらわたと呼ぶ肝のこくが決め手で、ねぎは入れず岩のりだけを添えるのが本来という。
- ハタハタの湯上げ産卵のため庄内浜に押し寄せるハタハタを丸ごと湯がき、大根おろしと醤油だけで食べるシンプルな冬の魚料理。うろこがなく下処理が手軽なことから、庄内の秋冬の食卓に定着してきたという。
- ひょう干しの煮物夏に摘んだすべりひゆ(ひょう)を茹でて天日干しにした保存食を戻し、糸こんにゃくや人参、油揚げと炒め煮にする正月料理。「今年も“ひょっと”していいことがありますように」と縁起を担いで食べるという。
- 芋煮里芋と牛肉、こんにゃく、ねぎを醤油味で煮込む秋の鍋で、最上川舟運の船頭が河原で棒ダラと里芋を煮て待ち時間を過ごしたのが始まりと伝わる。庄内側では豚肉と味噌仕立てに変わるなど地域差も大きい。