鍋・汁もの ── 鍋料理
鍛冶屋鍋
Kajiya Nabe
だし汁に醤油とみりんで甘辛く味付けし、タコとナスを煮込む三木市の鍋。金物の町で働く鍛冶職人がほてった体を冷やすために食べたと伝わり、行商が運んできた明石沖のタコと夏野菜のナスを合わせている。
- 発祥: 兵庫県三木市
- 醤油・寄せ鍋系
- 東京から西へ約440km
兵庫県三木市
何でできているか
活きのいいタコと夏が旬のなすを、だしと醤油で煮込んだ鍋料理で、金物の町として知られる三木市に伝わる。タコの弾力ある歯ごたえとなすのとろりとした口当たりが対照的で、あっさりとした醤油だしとよく合う。火を扱う鍛冶職人が好んだ、体を冷ます夏の料理として知られている。一時は廃れたものの、平成の初め頃に地域の郷土料理として見直され、再び食されるようになったという。
どう作るのか
だし汁にみりん、酒、醤油、砂糖を合わせて煮汁を作り、煮立ったところへタコとなすを入れて煮込む。シンプルな調理法ながら、タコの持ち味を生かした一皿に仕上がる。タコは6月から8月が旬とされ、特に7月下旬は産卵に向けて体力を蓄えるため味がよいという。火を扱う仕事でほてった体を冷ますため、鍛冶職人たちに好んで食べられてきたと伝わる。
なぜこの形になったのか
三木市の起源はおよそ1500年前とされ、鍛冶の発達とともに優れた職人を輩出してきたという。火を扱う鍛冶職人が夏に精をつけるために好んで食べたのが鍛冶屋鍋の始まりとされ、明治・大正期には行商人が売り歩く明石沖のタコと旬のなすを使って作られ、ほてった体を冷ます料理として喜ばれたと伝わる。一時は廃れたものの、地域の郷土料理として見直され、現在に受け継がれている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ兵庫県
- 明石焼小麦粉とじん粉、卵とだし汁を混ぜた生地でタコを包んで焼き、だし汁につけて食べる明石市の郷土料理。見た目はたこ焼きに似るが、ソースではなくだし汁につける点が大きな違いとされる。
- 赤穂の塩江戸時代に完成した入浜式塩田による、専業製塩の先駆けとされる塩。水尾と防潮堤で海水を制御し干満に左右されず作業できる画期的な仕組みで、300年にわたり日本の主要な製塩法であり続けたとされる。
- 淡路ビーフ淡路島で育つ純血の但馬牛系統。1986年に生産者らが立ち上げた銘柄で、霜降りの量よりも赤身と脂の調和を重視して選ばれる、出荷頭数の少ない牛肉とされる。淡路牛と呼ばれる一般呼称とは区別される、希少な銘柄という。
- 播州ラーメンはっきり甘い醤油スープ。織物工場で働く女性たちに好まれて定着したと伝わる。
- 播州手延べそうめん太子町の斑鳩寺に伝わる文書には応永25年(1418年)の条に「サウメン」の記述があり、兵庫県内で最も古いそうめんの記録とされる。江戸時代の安永年間には龍野藩の許可業種として奨励され、播州平野の小麦・揖保川の水・赤穂の塩が産地としての土台になった。