鍋・汁もの ── 鍋料理
いしる鍋
Ishiru Nabe
能登に伝わる魚醤いしるを出汁に使い、旬の魚介と野菜を煮る冬の鍋。少なくとも1700年代には作られていたとされ、秋田のしょっつる、香川のいかなご醤油と並ぶ発酵調味料が土台になっている。
- 発祥: 石川県
- 醤油・寄せ鍋系
- 東京から北西へ約290km
何でできているか
魚醤いしると旬の魚介、野菜を煮込んだ鍋料理。独特の芳香とクセのある風味が特徴で、いしるに溶け込んだ魚介の旨味が煮汁全体にじんわりと広がるとされる。水で割って煮込むだけでも十分に美味とされ、昆布だしと合わせるとさらに味わいが深まるという。ホタテ貝をそのまま鍋代わりに使う食べ方も昔から広く知られている。
どう作るのか
旬の魚介や野菜などを出汁といしるとともに鍋で煮て食べる。いしるは水と割って煮こむだけでも美味だが、昆布出汁にするとさらに味わいが増すとされる。ホタテ貝を鍋代わりにする貝焼きも広く知られており、貝の殻ごと火にかけて、中の具材を静かにゆっくり煮込む、風情のある食べ方として長く親しまれてきたといわれている。
なぜこの形になったのか
スルメイカの内臓などを塩漬けにして数年ほど発酵させる魚醤いしるは、流通網が行き届いていなかった時代、山村地域では入手しにくい魚の代わりに旨味を補う調味料として重宝されてきたと伝わる。地元でとれる魚介と野菜を、このいしるでそのまま気軽に煮込む簡便な調理法が、冬の定番の鍋料理として根づいてきたとされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ石川県
- あいまぜ能登の赤土で育つ大根や人参などの根菜を細く刻み、油揚げとともに煎り煮にする。正月やハレの日に作り置きされてきたとされ、使う野菜は土地ごとに違い見た目や味に地域性が出る。
- 大根ずし大根と身欠きニシンを米麹で漬け込む、加賀地方の発酵ずし。北前船が運んだニシンが庶民の手に届いたことで根づいたとされ、かぶらずしと並んで石川の正月に欠かせない、酸味の穏やかな発酵の味として親しまれている。
- えびす煮溶かした寒天にとき卵と砂糖、醤油を流し込んで固める。江戸期の料理書に記される卵寒天がルーツとされ、つるりとした見た目から「べろべろ」とも呼ばれる祝いの日の一品。
- 五色生菓子太陽・月・山・海・里に見立てた五種の餅や饅頭を菓器に詰める、金沢の婚礼菓子。加賀藩主に輿入れした珠姫のために献上されたのが始まりと伝わり、いまも祝いの返礼として配られる。
- UFOラーメンUFO目撃伝説で知られる石川県羽咋市の「はくいUFOグルメ」の一杯。すし店から洋食店まで複数の飲食店が参加し、醤油だれのスープにUFOをかたどった具材を添える。丼の上に羽咋という土地の物語が重なるとされる。