鍋・汁もの
うちがえ雑煮
Uchigae Zoni
いりこだしのつゆに里芋を煮て、餅の代わりに硬く水気を絞った岩豆腐を重ねてのせる祖谷地方の雑煮。豆腐が重なる様子が武士の「打ち違え」に似ることから名がついたとされる正月のごちそう。
- 発祥: 徳島県三好市
- 東京から西へ約570km
徳島県三好市
系譜
うちがえ雑煮祖谷そば
何でできているか
餅の代わりに、大きくて硬い「岩豆腐(石豆腐)」を具に使う、三好市祖谷地方独特の雑煮。大豆をふんだんに使い、にがりを多めに加えてしっかり水切りすることで、縄で縛って持ち運べるほど硬い豆腐に仕上げる。いりこだしのつゆに煮しめた里芋を入れ、その上に岩豆腐を重ねて盛るのが特徴で、豆腐の重なる姿が武士が刀を打ち違える様子に似ていることが名の由来とされる。
どう作るのか
いりこでだしを取り、しょうゆなどで味を調えてつゆを作る。里芋は八つ頭を使うことが多く、これを煮しめてつゆに数個入れ、その上に長方形に切った大きな岩豆腐を2枚のせて仕上げる。餅を焼いたり煮たりする一般的な雑煮とは違い、硬い豆腐をそのまま盛り付けるだけというシンプルな作りだが、豆腐自体の仕込みには手間と時間がかかるという。
なぜこの形になったのか
祖谷地方は米が育ちにくく、主食は麦やそばだったと伝わる。稲作に頼れない土地でたんぱく源として重宝されたのが、水分を抜いて硬く仕立てた岩豆腐だった。冷蔵庫のない時代、水気の少ない豆腐は日持ちがよく持ち運びもできたため、正月などのハレの日に欠かせない食材になったとされる。里芋には八つ頭のように一つの芋から多くの芽が出る種を選び、「芽出たい」にかけて祝いの席にふさわしい縁起物としたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ徳島県
- あめごのひらら焼き平たい石をかまどで数時間熱し、味噌で土手をつくってあめごや岩豆腐、こんにゃくを焼く祖谷地方の野外料理。平石を「ひらら」と呼ぶことが名の由来とされ、来客をもてなす料理として親しまれてきたという。
- 阿波晩茶徳島県那賀町・上勝町に伝わる、乳酸菌で発酵させる後発酵茶。夏以降に摘んだ硬めの葉を茹でて木桶に漬け込み、10日から2週間ほど乳酸発酵させたあと天日で干して作られ、爽やかな酸味を持つとされる。
- 阿波美豚標高400メートルの徳島県阿波市の山中で、米を中心とした飼料を与えて育てる豚。飼育担当者が日々飼料の配合を調整し、ストレスの少ない環境と遺伝子組み換え作物を避ける飼育を心がけているとされる。
- 阿波牛徳島県内で肥育される血統明確な黒毛和種。昭和37年の東京食肉市場での共励会出品を機に評価を高めたとされ、しっとりときめ細かな肉質と適度な脂が特徴という。格付けはA5・A4・B5・B4規格に限られるとされる。
- 阿波のいとこ煮一度ゆでてから干した「ゆで干し」のさつまいもを水で戻し、小豆と弱火で2時間ほど炊き合わせる。冬に乾物づくりが盛んな徳島らしく、うま味が凝縮した干し芋を使う体の温まる副菜とされる。
- 阿波ういろあんに上新粉や阿波和三盆などを加えて型に流し、蒸し上げるもちもちとした菓子。江戸期に阿波和三盆が完成した祝いにつくられ始めたとされ、名古屋や山口にも同系統のういろうがあるという。