鍋・汁もの
冷や汁
Miyazaki Hiyajiru
焼いた魚と味噌をすり鉢でまぜ合わせ、香ばしく炙ってから出汁でのばして冷やす宮崎の即席汁。夏の農作業の合間に手早く栄養を摂る知恵として広まったとされ、麦飯にかけてきゅうりを添えていただく。
- 発祥: 宮崎県
- 東京から南西へ約880km
何でできているか
「冷や汁」は、焼いてすった味噌に出汁を合わせた冷たい汁を、熱い麦飯にかけていただく宮崎県央地方の料理。タイやアジを素焼きにしてほぐした身をすりこんだものが贅沢版で、煮干しを使う場合もあるという。小口切りのきゅうりや青じそ、みょうがを添え、冷たい汁と温かいごはんの対比を楽しむ一品という。日向灘でとれる新鮮な魚介と太陽の恵みを受けた野菜を生かした食べ方でもある。
どう作るのか
タイやアジを素焼きにして身をほぐし、骨をていねいに取り除く。すり鉢で白ごまをすり、ほぐした魚の身と味噌を合わせてすり鉢の内側に塗りつけ、炭火の上にさかさまに伏せて表面に焦げめがつくまで炙る。焼いた味噌をだし汁でとき、味噌汁より濃いめに仕立てて冷やす。小口切りのきゅうりをのせ、熱々の麦飯にかけていただくという。
なぜこの形になったのか
暑く湿気の多い宮崎の気候のなかで、農民が夏の重労働の合間に、麦飯に生味噌をのせて水をかけて食べていたことがはじまりと伝わる。山地の多い宮崎県では、藩政時代には米が非常に貴重だったとされ、麦飯が日常の主食だったという。時間や食欲がないときでも手早く栄養と体力を補える生活の知恵として、夏の農作業を支える一杯になったと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ宮崎県
- チキン南蛮揚げた鶏肉を南蛮酢にくぐらせ、タルタルソースをかけた延岡発祥の一品。昭和30年代、洋食店のまかない料理として作られた甘酢漬けの唐揚げが元になったとされ、今や宮崎を代表する味として広く知られる。
- ふたたびだんごだんご粉を練って蒸し、摘みたてのよもぎを加えてもう一度つき直す延岡市のおやつ。通常一度きりの練りを「再び」おこなうことが名の由来で、あんを包んできな粉をまぶすと、若草色のやわらかな団子になる。
- 稗ずーしー猪の骨付き肉を湯がいた出汁に、米や稗、野菜を入れて炊く椎葉村の雑炊。縄文以前から食べられてきたとされる雑穀・稗を使い、猪をさばいた際には村中に振る舞われる冬の栄養源として伝わってきた。
- 日向黒皮かぼちゃの煮物宮崎市発祥の伝統野菜「日向黒皮かぼちゃ」を大きめに切り、砂糖と薄口醤油でコトコト煮る料理。西洋かぼちゃよりさっぱりとして甘みは控えめだが煮崩れしにくく、皮まで美味しく食べられるのが持ち味。
- いりこもちもち米を炒って粉にした「いり粉」を水飴で練り上げ、寝かせてから棒状に切る宮崎の菓子。江戸期に薩摩藩から伝わった節句菓子とされ、子どもの成長を願って近所に配る風習があったと伝わる。
- 地鶏の味噌ころばかし地鶏を水を使わずに焦がさないよう鍋で煮転がし、味噌をからめる小林市周辺の家庭料理。「ころばかし」は鍋の中で煮転がすことを指す県西地方の方言で、家庭ごとに具材や味付けが異なる。